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ジンは体に悪い?糖質0gでもジントニックは炭水化物12.7g

2026 8/25
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お酒の知識
2026年8月28日
ジントニックのグラスとライム

家の棚にビーフィーターの瓶があります。週末の晩酌はジントニックが定番のひとつです。

ある日その瓶の裏を見たら、アルコール分40度と書いてありました。40度の酒を週末ごとに飲んでいて平気なんだろうか——そう思ってメーカーの栄養成分表を開いたのが、この記事の始まりです。

先に結論です。ジンそのものは、公式表示で炭水化物0g・糖類0gでした。カロリーも40度なら100mlあたり223〜224kcalで、同じ度数のウイスキーとほぼ同じ。

つまり答えはジンの成分表には書いていません。数字が動くのは液体が瓶を出たあと——ジン45mlをトニック135mlで割ると炭水化物が約12.7g足され、ジン60mlはビール500ml缶1本とほぼ同じ純アルコール量になります。

根拠にしたのは、メーカーの公表値と、EU規則・欧州医薬品庁・厚労省・食品成分表などの公的資料、それに研究論文の抄録です。数字は2026年8月時点です。

この記事でわかること
  • 公式表示では翠・ROKU・ビーフィーターとも糖類0g。ただし40度で100mlあたり223〜224kcal
  • 糖が無いのは蒸留のせいだけでなく、「London gin」や「dry」を名乗るなら1Lあたり0.1gという条件があるから
  • ジントニック1杯(ジン45ml+ウィルキンソン トニック135ml)の炭水化物は約12.7g
  • 同じ翠ジンソーダ缶でも、糖類0gのものと3.84gのものに分かれる
  • ジン60mlはビール500ml缶1本とほぼ同じ純アルコール量。厚労省のガイドラインに「適量」という語は無い
  • 「ジュニパーベリーは腎臓に悪い」の出どころを、欧州医薬品庁の文書で確かめた結果
目次

結論|ジンそのものは糖類0g。数字が動くのは、瓶を出たあとだった

「ジンは体に悪いのか」を調べるなら、まず開くのはメーカーの栄養成分表示です。サントリーの一覧に載っているジンは3銘柄でした。100mlあたりの数字です。

翠が40度で224kcal、ビーフィーターが40度で223kcal、ROKU(六)が47度で261kcal。そして3銘柄とも、炭水化物も糖類も0gと表示されていました。

ただし0gなのは糖の話で、カロリーの話ではありません。40度なら100mlあたり223kcal、45mlで約100kcalです。

もう1つ、この先で何度も出る言葉を決めておきます。純アルコール量——飲んだ酒に含まれる純粋なアルコールの重さで、厚生労働省もメーカーも同じ式を使っています。

純アルコール量(g)=摂取量(ml)×度数/100×0.8

40度のジン45mlなら14.4g。何で割っても、割らなくても、この数字だけは変わりません。

同じジン45mlが、飲み方で何に変わるのかを表にしました。

※ジンは40度、割り材はジン1に対して3の比率。氷が溶けた分は考えていません。純アルコール量とエネルギーは、公式の100ml表示から本記事が計算した値です。

飲み方(ジン40度45ml)純アルコール量エネルギー炭水化物数字の出どころ
ストレート(ジンだけ)14.4g約100kcal0g公式表示から本記事が計算
ジンソーダ(+無糖の炭酸水135ml)14.4g約100kcal0g同上
ジントニック(+ウィルキンソン トニック135ml)14.4g約152kcal約12.7g2社の公式表示を本記事が合算

ジンのカロリーと糖質を公式の表で確認する|太るかどうかは、ここでは決まらない

サントリーの一覧は100mlあたりと30mlあたりの2段組で、シングル1杯ぶんがそのまま載っています。30mlなら翠67kcal、ビーフィーター67kcal、ROKUは47度なので78kcalです。

言葉の断りを1つ。メーカーが「糖質0g」と表示しているわけではありません。表示は炭水化物0gと糖類0g。炭水化物は糖質と食物繊維を合わせたものなので、炭水化物が0gなら糖質も0g——という導出です。以降も表示どおり「炭水化物」と書きます。

下の表は度数の低い順に並べました。

※成分表の値は100gあたりなので、備考にある公式の比重(ウイスキーなら100mL=95.2g)で本記事が100mLあたりに換算しました。サントリー公式の一覧に無い銘柄(タンカレー、ゴードン、ボンベイ・サファイアなど)は数字を確認できていないので載せていません。

銘柄・品目度数100mlあたり30mlあたり炭水化物糖類純アルコール量(100ml)出どころ
ビーフィーター ジン40%223kcal67kcal0g0g32gサントリー公式
サントリージン翠40%224kcal67kcal0g0g32gサントリー公式
(比較)ウイスキー40.0%約223kcal—0g——成分表100gからの換算値
(比較)ウオッカ40.4%約225kcal————成分表100gからの換算値
ROKU(六)47%261kcal78kcal0g0g37.6gサントリー公式
(比較)成分表の「ジン」47.4%約263kcal—0.1g(100gあたり)——成分表100gからの換算値

「糖類0g」の0は、どういう0なのか

この0は「1粒も入っていない」という意味ではありません。サントリーは一覧の欄外にこう書いています。

「消費者庁の定める食品表示基準にのっとり、熱量又は栄養成分が以下の場合は『0』としている場合があります。……炭水化物 0.5g未満/100g または100mlあたり/糖類 0.5g未満/100g または100mlあたり」
(出典:サントリー 栄養成分一覧 https://products.suntory.co.jp/ingredient/ingredient02.html )

つまり0gと書けるのは100mlあたり0.5g未満のとき、表示ルール上の0です。

とはいえ「隠れた糖がある」という話でもありません。日本食品標準成分表のジンは炭水化物0.1g/100gで、0.5g未満という条件とちゃんと噛み合っています。基準の書き方が違うだけです。

度数を揃えると、蒸留酒のカロリーはほぼ同じになる

サントリー公式のビーフィーター40度は100mlあたり223kcal。成分表のウイスキー(40.0容量%)は100gあたり234kcalで、比重で換算すると約223kcal/100mLです。

40度どうしなら、ジンもウイスキーもほぼ同じ数字でした。

ただし出どころの性質は違います。片方はメーカーの公表値、もう片方は成分表からの換算値です。

注意が必要なのが成分表の「ジン」の行。47.4度の試料の値で、100mLに換算すると約263kcal。市販の40度のジンには当てはまりません。

ウイスキー側の内訳はウイスキーのカロリーを調べた記事に。なお糖が0gであることと太らないことは別の話で、その理屈は糖質ゼロでも太る理由にまとめてあります。

なぜジンは糖類0gなのか|「London gin」を名乗るなら1Lあたり0.1gまで

理由は2段になっています。1つは工程で、蒸留する以上そもそも糖はほとんど残りません。もう1つが、名乗るための条件として明文化されていること。EUの蒸留酒規則(Regulation (EU) 2019/787)附属書I、カテゴリー22「London gin」にはこうあります。

「it is not sweetened in excess of 0,1 grams of sweetening products per litre of the final product, expressed as invert sugar」
(最終製品1Lあたり、転化糖換算で0.1gを超える甘味付けをしていないこと)

同じ規則のカテゴリー20(d)は、gin に「dry」を付けてよい条件として「may be supplemented by the term ‘dry’ if it does not contain added sweetening exceeding 0,1 grams of sweetening products per litre of the final product, expressed as invert sugar」と定めています。
(出典:Regulation (EU) 2019/787 Annex I https://www.legislation.gov.uk/eur/2019/787/annex/I/adopted )

1Lあたり0.1gは100mlあたり0.01gですから、表示のルールに照らせば、当然0gになる量です。

大事なのは条件のほうです。0.1g/Lがかかるのは「London gin」と「dry」を名乗る場合で、規則上の gin 一般に甘味の制限はありません。だから「ジンは法律で糖質ゼロと決まっている」は言い過ぎ。甘味を加えたオールド・トム・ジンのように、糖が入っているジンもあります。なおカテゴリー20は最低度数37.5%とも定めています。

そして、自分で書いておくべきことが1つ。翠とROKUは日本製で、そもそもこの規則の対象外です。それでも公式表示はどちらも糖類0gでした。0gの理由を法令だけに求めると説明がつきません。蒸留が先にあって、そのうえで名乗りの条件を明文化している国がある、という順序です。

日本の酒税法には、そもそもジンの定義が無い

日本の酒税法にジンという品目はありません。第三条第二十号がスピリッツを「第七号から前号までに掲げる酒類以外の酒類でエキス分が二度未満のもの」と定めているだけで、ジュニパーを使えという要件もありません。

日本の棚に並ぶ「ジン」に、0.1g/Lの縛りはかかっていません。この分類の考え方はスピリッツとリキュールの分け方を詳しく見た記事にあります。

ジントニックにすると炭水化物が12.7g足される|太るとしたら、たぶんここ

トニックウォーターで満たされたグラスと氷

ジンの糖質を気にしている人の多くは、ストレートでは飲んでいないはずです。

アサヒ飲料の公式ページによると、ウィルキンソン トニック(PET500ml)は100mlあたりエネルギー38kcal・炭水化物9.4g。原材料名の先頭は果糖ぶどう糖液糖です。

表示は「炭水化物」で「糖質」ではありません。ただ原材料が果糖ぶどう糖液糖・炭酸・酸味料・香料だけなので実質ほぼ糖質ですが、ここでは表示どおりに書きます。

ジン45mlをトニック135mlで割ると、135ml × 9.4g ÷ 100ml = 12.69 → 約12.7g。ジン側の炭水化物は公式表示が0gなので足しません。

※ジン1:トニック3という比率は、本記事が置いた前提です。公式のレシピではありません。比率が変われば値も変わります。

エネルギーはジン45mlで約100kcal、トニック135mlで約51kcal、合わせて約152kcal。ただしこれはメーカーの違う2つの公式値を本記事が足した数字で、どちらのメーカーも「ジントニックは152kcal」とは言っていません。

割り材だけを並べると、こうなります。

※ほろよいは酒であって割り材ではなく、メーカーも違います。糖の濃さを比べるために並べています。

100mlあたりエネルギー炭水化物糖類原材料の先頭メーカー
ウィルキンソン トニック38kcal9.4g表示なし果糖ぶどう糖液糖アサヒ飲料
(比較)ほろよい〈グレープ〉54kcal9.2g8.85gぶどうサントリー
炭酸水(無糖のもの)0kcal0g0g水・二酸化炭素—

トニックウォーターは、ほろよいとほぼ同じ糖度の液体だった

調べていて、いちばん意外だったのがこの数字です。

ウィルキンソン トニックの炭水化物は100mlあたり9.4g。サントリーのほろよい〈グレープ〉は9.2g。苦いはずのトニックウォーターが、甘いチューハイとほぼ同じ糖の濃さでした。

どちらもメーカー自身の公表値です。ついでに言うと、ほろよいは糖類8.85gと内訳まで開示しているのに、トニックは炭水化物までしか書いていません。同じ甘さでも、開示の細かさは商品で違います。

念のため、だから体に悪いという話ではありません。書けるのは「ほろよい1本に近い糖の濃さの液体を、1杯に135ml入れている」という事実までです。

ジンソーダなら、足されるのは炭酸だけ

同じジン45mlを無糖の炭酸水で割ると、足されるのは炭水化物0g・0kcal。一方で純アルコール量は14.4gのまま、1gも減りません。

糖を減らしたいならソーダ、アルコールを減らしたいならジンの量を減らす。この2つは別の操作です。混ぜると「ソーダにしたから大丈夫」という妙な安心につながります。

糖質を抑えたトニックウォーターも売られていますが、公式の栄養成分を確認できなかったので数字は書きません。割ったあとの度数の出し方は割ったときの度数の計算と同じです。ライムを入れるジンリッキーは別の飲み物なので扱いません。

そしてこの1杯には、もう1つ14.4gという数字が入っています。糖ではなくアルコールの話で、それは後半で見ます。

翠ジンソーダ缶は体に悪い?同じ翠でも、缶によって糖類が0gと3.84gに分かれる

翠(すい)ジンソーダ缶も調べました。検索する人が多いわりに、公式の栄養成分を載せている記事がほとんど無い場所です。

先に1つ整理させてください。ボトルの翠(40度)と、缶の翠ジンソーダ(5〜7%)は別物です。同じブランド名なので混同されがちですが、度数も中身も違います。

サントリーのRTD栄養成分一覧から、現行の3種を引きます。100mlあたりの表示です。見てのとおり、同じ翠ジンソーダ缶でも糖類が0gのものと3.84gのものに分かれます。原材料を見ると、〈レモン&ジンジャー〉だけに「糖類」が入っていました。

※100mlあたりの表示です。缶の容量ラインナップを公式で確認できなかったので、缶1本あたりの値はあえて出していません。〈グレープフルーツ&トニック〉は公式の表に「※製造を終了しました」と付記されているため入れていません。

翠ジンソーダ缶(100mlあたり)アルコール分純アルコール量エネルギー炭水化物糖類プリン体原材料に「糖類」
〈すっきり爽やか〉5%4g33kcal0.4〜0.9g0g0mgなし
〈本格濃いめ〉7%5.6g42kcal0.2〜0.7g0g0mgなし
〈レモン&ジンジャー〉5%4g45kcal4.1g3.84g0mgあり

「本格濃いめ」7%は糖類0g。度数と糖の量は連動していない

いちばん度数の高い〈本格濃いめ〉7%が糖類0gで、度数の低い〈レモン&ジンジャー〉5%が3.84g。度数の高さと糖の多さは、同じ方向を向いていませんでした。

ただし「じゃあ7%のほうが安心だ」とはなりません。純アルコール量は〈本格濃いめ〉が100mlあたり5.6g、〈レモン&ジンジャー〉が4g。糖で見るかアルコールで見るかで、答えがひっくり返ります。

どちらが悪いかの順位付けは、この記事ではしません。缶どうしの比較は缶チューハイを横断で比べた記事の役目です。ここで言えるのは、「翠ジンソーダ」という名前だけでは中身が決まらないということだけです。

ジン1杯は純アルコール何g?そして、厚労省は「適量」を定めていない

計量ジガーとロックグラスに注がれた透明な蒸留酒

ここまで糖とカロリーを見てきましたが、健康の話の主役は別にあります。純アルコール量です。

先ほどの式に当てはめると、40度のジンは30ml(シングル)=9.6g、45ml=14.4g、60ml(ダブル)=19.2g。30mlの9.6gはサントリー公式の30ml表示とも一致します。

そしてガイドラインが自分で挙げている例が、ビール500ml(5%)=20g。ジンのダブル1杯は、ビール500ml缶1本とほぼ同じ量のアルコールです。

ここが「体に悪いか」の本当の答えだと思っています。問題は度数そのものより、度数が高い酒ほど「何杯飲んだか」と「何g摂ったか」がずれることのほうです。

下の表はジンの量ごとの純アルコール量。最後の1行だけ読み方が逆になっています。

※ビール500ml(5%)=20gはガイドラインが挙げている例で、それ以外は本記事が同じ式で計算した値です。同じ表に並んでいますが、出どころは違います。

ジンの量40度の純アルコール量47度の純アルコール量同じ純アルコール量になるビール(5%)の量
30ml(シングル)9.6g11.3g240ml
45ml14.4g16.9g360ml
60ml(ダブル)19.2g22.6g480ml
100ml32g37.6g800ml
【参考】純アルコール20gに相当する量62.5mL53.2mL500ml

「何杯飲んだか」と「何g摂ったか」がずれていく

ジンは見た目が水と変わりません。ソーダで割れば味も薄まります。だから本人の感覚は「3杯」でも、ダブル(ジン60ml)で作っていれば中身はビール500ml缶3本ぶんに近い——ということが起こります。

度数が高い酒は、危険なのではなく数えにくいんです。

この記事の役目もそこにあります。やめろと言うためではなく、1杯に何を入れて、それを何杯飲んだのかを数えられるようにするための数字を並べています。純アルコール量を主役に据えた見方は蒸留酒が体に悪いと言われる理由を条文から見た記事でも扱いました。

厚労省のガイドラインに「適量」という言葉は出てこない

「厚生労働省では純アルコール20gが適量とされています」——ジンの記事でよく見かける一文です。ですが令和6年2月の『健康に配慮した飲酒に関するガイドライン』全17ページに、この語は1度も出てきません。

よく引かれる20gの正体は、健康日本21(第三次)の目標に出てくる数字です。「生活習慣病(NCDs)のリスクを高める量(1日当たりの純アルコール摂取量が男性40g以上、女性20g以上)を飲酒している者の減少」——この文の中の数字です。

しかもガイドライン自身が、すぐ下にこう注記しています。

「なお、これらの量は個々人の許容量を示したものではありません。」
(出典:厚生労働省『健康に配慮した飲酒に関するガイドライン』令和6年2月)

20gは「ここまでなら大丈夫」という線ではなく、そこを超えるとリスクが上がると研究が示している線です。同じガイドラインの表1では、大腸がんについて1日20g程度(週150g)以上でリスクが上がるとした研究が紹介されています。胃がんは男性の欄が「0g<」で(女性は週150g)、少量でもリスクが上がることを示す記号です。数字が小さいから安全という意味ではありません。

これは私にも返ってきます。上の表の62.5mLも、20gに相当する量を計算しただけの数字で、すすめている量ではありません。

ガイドラインがすすめているのは、量ではなく飲み方のほうです。「あらかじめ量を決めて飲酒をする」「飲酒の合間に水(又は炭酸水)を飲む」。私も水を並べた日は、はっきりペースが落ちます。

ネットで見かけるジンの噂を、一次資料で確かめる

ジンで検索すると、ジュニパーベリー(ねずの実)の話が必ず出てきます。腎臓に悪い、デトックスになる、利尿作用が強い——方向は逆でも、どれも同じ落とし穴を踏んでいます。量の話が抜けているんです。

欧州医薬品庁(EMA)はジュニパーベリーについてハーブモノグラフという文書を出しています。想定されている使い方は刻んだ果実を1日2.5〜6g煎じて飲むというもの。ジン1杯とは桁が違います。

なおEMAの文書は医薬品としての用法についてのもので、酒としてのジンの安全性を評価したものではありません。この2点を頭に置くと、以下の噂はどれも同じ理屈で片付きます。

「ジュニパーベリーは腎臓に悪い」は、旧版と精油の話が混ざったもの

現行版から開きます。ジュニパーベリー(果実)のモノグラフ Revision 1(EMA/HMPC/241320/2021・2023年最終化)です。

4.3 禁忌:「Hypersensitivity to the active substance(s).」(有効成分に対する過敏症)
4.8 副作用:「None known.」(知られていない)
4.9 過量投与:「No case of overdose has been reported.」(報告例なし)

現行版で禁忌に挙がっているのは、過敏症だけです。

では「腎臓」はどこへ行ったのか。旧版(EMA/HMPC/441929/2008)では重度の腎疾患が4.3の禁忌でしたが、現行版では4.4の「推奨しない」欄へ移っています。

そしていま禁忌に重度の腎疾患が残っているのは、果実ではなく精油のモノグラフ(EMA/HMPC/12402/2010)です。対象は精油を1日60〜100mg経口で摂る使い方で、これもジンではありません。

つまりこの噂は、古い版の禁忌欄と、果実ではなく精油の話が混ざったものだと考えられます。

ただし「だからジュニパーは腎臓に無害」と一般化はできません。精油版は今も禁忌にしています。そしてジンで腎臓を心配するなら、話はジュニパーではなくアルコールのほうになります。
(出典:EMA ハーブモノグラフ Juniperus communis L., pseudo-fructus, Revision 1 https://www.ema.europa.eu/en/documents/herbal-monograph/final-european-union-herbal-monograph-juniperus-communis-l-pseudo-fructus-galbulus-revision-1_en.pdf / 同 aetheroleum https://www.ema.europa.eu/en/documents/herbal-monograph/final-community-herbal-monograph-juniperus-communis-l-aetheroleum_en.pdf )

「妊娠中はジュニパーが危ない」——避けるべきなのは事実だが、理由が違う

同じ現行版の4.6には、こうあります。

「Safety during pregnancy and lactation has not been established. In the absence of sufficient data, the use during pregnancy and lactation is not recommended.」
(妊娠・授乳中の安全性は確立していない。十分なデータが無いため使用は推奨されない)

これは「危険が確認された」ではなく「データが無い」という意味の文です。

そのうえではっきり書いておきます。妊娠中に飲まない理由は、ジュニパーではなくアルコールそのものです。厚労省のガイドラインも、飲酒を避けることが必要な場合として「妊娠中・授乳期中の飲酒」を挙げ、「妊娠中の飲酒により、胎児へ胎児性アルコール症候群等をもたらす可能性があります。」と書いています。

「ジンは利尿作用が強いから脱水する」——利尿は酒全般の話

EMAが認めているジュニパーの伝統的な使いみちの1つは、たしかに尿量を増やして尿路を洗い流す補助です。ただしそれは果実を1日2.5〜6g煎じた場合の話で、冒頭の「桁が違う」に戻ります。

飲んだときに尿が近くなるのはアルコールの働きで、ジン固有のものではありません。「ジンだから」ではなく「酒だから」——このセクションはずっと同じ形をしています。

「ジンは二日酔いしにくい」——根拠とされる研究は、ジンを使っていない

根拠として挙げられるのは、たいてい Rohsenow らの2010年の研究(Alcohol Clin Exp Res 34(3):509-18・PMID 20028364)です。不純物(コンジナー)の少ない酒と多い酒を比べたもので、その2つはウォッカとバーボン。ジンは使われていません。

参加したのは21〜33歳の健康な大量飲酒者95人。結論はこうです。

「Congener content affects only how people feel the next day so does not increase risk.」
(コンジナーの量は翌日どう感じるかにしか影響せず、リスクを高めるものではない)

なお確認したのはPubMedの抄録で、本文は開いていません。

では「ジンは二日酔いしやすい」のか。それも言えません。無いのは根拠であって、反証ではありません。書けるのは「ジンで直接調べた研究を確認できなかった」までです。

結局、翌日の残り方を決めているのは酒の種類より飲んだ量のほうでした。話は純アルコール量に戻ってきます。

私のジンの飲み方|ビーフィーターのジントニックが週末の定番

ここまで数字と条文ばかり並べてきたので、最後に自分の飲み方を書いておきます。家にある瓶の裏に40度と書いてあった、そこから栄養成分表を見に行っただけの記事なので、答え合わせのつもりで読んでもらえたらと思います。

ジントニックは、トニックの量を決めてから作る

ビーフィーターは家にストックしていて、週末の晩酌はジントニックが定番のひとつです。

この記事を書いてから変わったのは1つだけで、先にトニックの量を決めてから注ぐようになりました。ジン45mlに何mlのトニックを入れるかで、1杯の炭水化物が決まるからです。135mlなら約12.7g、180mlなら約16.9g。

店で出てくる比率は店ごとに違います。家で作るときだけは、その比率を自分で決められる——数字を並べてみて、いちばん実用的だったのはそこでした。

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糖を足したくない日はソーダで割る

糖を足したくない日は、トニックではなく無糖の炭酸水で割ります。足されるのは炭水化物0g・0kcalで、味は軽くなってもアルコールは14.4gのままです。

炭酸水は箱で常備しています。ネットで買うので、銘柄はそのときどきで違います。切らして「まあいいか」となる日を減らすのが目的なので、選び方より在庫のほうが大事だと思っています。炭酸水メーカー(ソーダストリーム)も持っていて、水はこれで作ることもあります。

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ジンについてよくある質問

本文で触れなかった疑問に、短く答えておきます。答えはすべて公式の表示と公的資料の範囲内です。

Q. ジントニックは何杯で酔いますか?

酔い方は体質と体調で変わるので、杯数では答えられません。数えられるのは量です。ジン40度45mlなら1杯で純アルコール14.4g、2杯で28.8g。ビール500ml(5%)1本が20gなので、2杯でその1.4本ぶんほどです。

Q. ジンとウイスキー、どちらが太りますか?

度数を揃えるとほとんど差がありません。ビーフィーター40度が100mlあたり223kcal(サントリー公式)、成分表のウイスキー(40.0容量%)の換算値が約223kcal。差がつくのは度数と割り材のほうでした。

Q. ジンにプリン体は入っていますか?

サントリーは100mlあたり0.5mg未満を「プリン体0」と表示しており、翠ジンソーダ缶は3種とも0mgです。ただしアルコール自体が尿酸値に関わるので、0=痛風に安全とはなりません(ハイボールのプリン体)。

Q. ジンは毎日飲んでも大丈夫ですか?

大丈夫かどうかは私には言えません。ただ1日ではなく1週間の合計で見る数え方は使えます。ジン45mlのジントニックを毎晩1杯なら週100.8g、表1で大腸がんのリスクが上がるとされたのが週150gです。150g未満なら安全という意味ではありません(晩酌がやめられないとき)。

まとめ|ジンが体に悪いかどうかは、ジンではなく杯数と割り材が決めている

数字だけ振り返ります。

  • ジンそのものは公式表示で炭水化物0g・糖類0g。ただし40度なら100mlあたり223〜224kcalで、ウイスキーとほぼ同じ
  • 糖が無いのは蒸留のせいが大きい。そのうえで「London gin」や「dry」なら1Lあたり0.1gという条件がある。ただしEU規則の話で、日本の酒税法にジンの定義は無い
  • ウィルキンソン トニックで割ると、1杯に炭水化物が約12.7g足される(ジン45ml+トニック135mlの場合)
  • 翠ジンソーダ缶は、同じブランドでも糖類0gのものと3.84gのものがある
  • ジン60mlはビール500ml缶1本とほぼ同じ19.2g。度数が高い酒は、杯数の体感と摂取量がずれる
  • ジュニパーベリーの噂は、欧州医薬品庁の文書を開くと旧版と精油の混同だった

そして、厚労省のガイドラインに「適量」という言葉はありません。よく引かれる20gは、そこを超えるとリスクが上がると研究が示している線です。

だから「ジンは体に悪いですか」という問いには、飲む人が自分で答えを出せます。1杯に何を入れて、それを何杯飲むのか。数えられれば、それで足ります。

軽くしたい日にはノンアルコールカクテルの作り方という手もあります。

※本記事は公的資料とメーカーの公表値をまとめたもので、個々の健康状態への助言ではありません。
20歳未満の飲酒と、飲酒後の運転は法律で禁止されています。

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酒おやじ
お酒のプロ / 現役経営者
お酒に関わる仕事の現役経営者。ウイスキーを中心に、本当にうまいと思ったお酒とおつまみだけを正直にレビューします。
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