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  4. ストロングゼロ(ストゼロ)はやばい?厚労省の数字で測り直した

ストロングゼロ(ストゼロ)はやばい?厚労省の数字で測り直した

2026 8/24
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カクテル・リキュール
2026年3月16日2026年8月24日

「ストロングゼロはやばい」。それが気になって検索した方が、ここにたどり着いていると思います。

先に結論から。測り直したら、やばさの正体は人工甘味料でも「脳が溶ける」でもありませんでした。

問題は2つです。缶の値段が横並びの市場で、度数だけが高いこと。そして缶は薄められないので、開けた時点で入ってくる量が決まってしまうこと。測るのは、厚生労働省の飲酒ガイドラインが実際に持っている3つの物差しだけです。

安くて、すぐ酔える。そこに手が伸びる気持ちは、私にもわかります。嫌なことがあった時期に、ストゼロを買い込んで飲んだことがありました。今思えば、あれで何かが解決したわけではないんですが。

この記事は、私が以前ここに書いていた内容を4か所、訂正しています。数字を引き直したら、自分の書いたことが持たなかったからです。

この記事でわかること
  • 500ml缶=純アルコール36g、350ml缶=25.2g(サントリー公式)
  • 現行5種の公式成分一覧(カロリー・糖類・プリン体・甘味料の有無)
  • 厚労省ガイドラインは「適量」を定めていない
  • 毎日1本なら350ml缶でも週176.4gで、表1の3つの行を超える
  • 純アルコール1gあたりの値段で他の酒と並べた表
  • それでも飲むなら、週の本数をどう決めるか

先に対策だけ知りたい方へ。この記事の結論は「缶は薄められないことが問題」です。グラスに移して炭酸水で割れば、9%は約4.5%まで下がります(総量は変わりません)。私は炭酸水を箱で常備しています。
※厚労省の3つの物差しで測り直した結果は下に全部あります。

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目次

結論|ストゼロがやばいのは成分ではなく、開けた時点で36gが決まることだ

まず数字を1つ。-196ストロングゼロの500ml缶1本には、純アルコールが36g入っています。350ml缶なら25.2g。サントリーが公式ページに算出式ごと書いている数字で、メーカーは何も隠していません。

問題はここから先。缶チューハイは値段が横並びの市場なので、単価を下げる手段は実質的に度数を上げることしかない。ストロング系は、その構造が生んだ形だと私は見ています。ただし安いこと自体がリスクなのではありません(この切り分けは単価の章で)。

もう1つが、缶であること。ボトルと違って薄める操作が最初から無く、開けた瞬間に36gが確定します。

「安く酔える」と「量を自分で決められない」の同居が唯一の本当の問題です。世間の5つの説は、先に表で仕分けておきます。

世間で言われる「やばい」説判定判定の根拠詳しくは
度数9%=500ml缶1本で36g入る本当サントリー公式に「純アルコール量(500mlあたり)36g」の記載理由1・物差し1
飲みやすくて量が自分で決まらない本当缶は薄められず、開けた時点で量が確定する理由2
精神科医が「危険ドラッグ」と言った発言は事実。ただし個人の見解2019年12月のFacebook投稿。査読を通った研究ではない理由3
人工甘味料が入っている条件つき(定番5種のうち4種)〈無糖ドライ〉は原材料に甘味料の記載なし理由4
「脳が溶ける」根拠が確認できないそういう現象を指す医学用語ではない悪酔いのセクション

まず数字を確認する|ストロングゼロ現行5種の公式データ(2026年8月時点)

呼び方を1回だけ整理。「ストゼロ」はストロングゼロの略、「スト缶」はストロング系缶チューハイ(一般に度数7〜9%)の略で、ストゼロはその代表銘柄です(チューハイとサワーの違い)。正式名称は「-196ストロングゼロ」。ブランド「-196(イチキューロク)」の発売は2005年、ストロングゼロは2009年です。

ここで1つ訂正を。以前は「500ml缶で約240〜270kcal」と書いていましたが、現行5種はすべて52〜54kcal/100mLでした。500ml換算で260〜270kcal。240という下限に根拠はありませんでした。

以下はサントリー公式の値です。表示は「100mLあたり」なので、500mLへの換算は5倍でよく、100gあたりではありません。

フレーバー度数100mLあたり500ml缶糖類プリン体甘味料
ダブルレモン9%54kcal270kcal0g0mgアセスルファムK・スクラロース
ダブルグレープフルーツ9%54kcal270kcal0g0mgアセスルファムK・スクラロース
ダブルシークヮーサー9%53kcal265kcal0g0mgアセスルファムK・スクラロース
ダブル完熟梅9%53kcal265kcal0g0mgアセスルファムK・スクラロース
無糖ドライ9%52kcal260kcal0g0mg—(記載なし)

〈無糖ドライ〉だけは甘味料が入っていない

表の補足を先に。350ml缶なら182〜189kcal。アルコール量は5種共通(500ml缶36g・350ml缶25.2g)、希望小売価格も350ml缶159円・500ml缶216円(税別)で共通です。

見てほしいのは一番右の列。〈無糖ドライ〉の原材料は「レモン、グレープフルーツ、ライム、ウオツカ(国内製造)、スピリッツ/炭酸、酸味料、香料」で、甘味料の記載がありません。他の4種にはアセスルファムK・スクラロースの記載があります。つまり「ストロングゼロ=人工甘味料」という言い方は、定番5種を母数にすると5分の4でしか成り立ちません(リキュールとスピリッツの違い)。

ただし甘味料が無いからといって、体に入るものが軽くなるわけではありません。度数は5種とも9%で、1本あたりのアルコール量は1gも変わりません。

「糖類ゼロ」は「糖質ゼロ」ではない

公式表示にあるのは「-糖類 0g」で、糖質ゼロとは書いてありません。実際、炭水化物は5種で0.1〜1.0g/100mL。糖類は糖質の一部にすぎないので、糖類が0でも、糖質が0とは限りません。プリン体0mgも、公式の注記は「100mlあたり0.5mg未満を0と表示」です。

そして糖類が0でも、カロリーは残ります。熱量の主な出どころは糖ではなくアルコールで、1gあたり約7kcal。36g分で単純計算250kcal前後と、表の260〜270kcalにほぼ一致します。カロリーは「甘さ」ではなく「強さ」から来ている、ということです(焼酎のカロリー)。

「やばい」と言われる5つの理由を、本当か噂かで仕分ける

さっきの表を1行ずつ開きます。根拠なしで「噂だ」と切って捨てたら、印象で語っているのは私のほうなので、5つとも根拠を付けます。銘柄の横断比較は体に悪いチューハイランキングに譲り、ここはストゼロ1銘柄に絞ります。

理由1:度数9%=500ml缶1本で36g(本当)

純アルコール量=お酒に含まれる純粋なアルコールの重さ。厚労省ガイドラインの算出式はこうです。

摂取量(ml) × アルコール度数/100 × 0.8(アルコールの比重)

ストゼロの500ml缶なら 500 × 0.09 × 0.8 = 36g、350ml缶なら 25.2g。同じ式をサントリー自身も公式ページに載せていて、答えも同じです。判定は「本当」。以降はアルコール量や「36g」と略します。

理由2:飲みやすくて、量が自分で決まらない(本当・これが核心)

9%はワインの3分の2くらいの度数です。それを冷やして、強炭酸と果実の香りに乗せる。飲んでいる最中に9%を感じさせないようにできています。

そしてもう一つ。缶は、薄められません。

ボトルの焼酎なら「今日は濃いから水を足そう」ができる。缶にはその操作がなく、開けた時点で36gが確定します。飲みやすさと、量を決められないことが重なると「気づいたら入っていた」が普通に起きる。判定は「本当」。これが、この記事で一番言いたいことです。

理由3:精神科医の「危険ドラッグ」発言(発言は事実。ただし個人の見解)

何度も引かれている発言があります。国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所 薬物依存研究部 部長(報道当時の肩書)の松本俊彦氏が、2019年12月31日にFacebookへ投稿したものです。

松本俊彦氏のFacebook投稿(2019年12月31日/報道より)
「ストロングZEROは『危険ドラッグ』として規制した方がよいのではないか。半ば本気でそう思うことがよくあります。私の臨床経験では、500mlを3本飲むと自分を失って暴れる人が少なくありません。大抵の違法薬物でさえも、使用者はここまで乱れません」

発言があったこと自体は事実です。ただし臨床経験に基づく個人の見解であって、査読を通った研究ではありません。報道からの孫引きである点も隠しません。この記事は以前、氏の肩書を「薬物依存症センター長」と書いていました。これも誤りです。

もう一つ。「ストロングゼロはやばい?」の見出しで医師に取材したBLOGOS記事の話者は、東京アルコール医療総合センター長の垣渕洋一氏。松本氏とは別人です。

判定は「発言は事実。ただし医学的コンセンサスではない」。ただ、臨床でそう言わせる何かがあるのは確かで、それはこのあと数字で説明がつきます。

理由4:人工甘味料への不安(条件つき|5種のうち4種)

先ほどの表のとおり、定番5種のうち4種に甘味料の記載があり、〈無糖ドライ〉には無いという状態です。

そのうえで正直に書くと、アセスルファムKやスクラロースの安全性そのものは、この記事で一次資料に当たれていません。だから「体に悪い」とも「問題ない」とも書きません。書けるのは、使われているかどうかと、甘味料の有無で度数もアルコール量も1gも変わらないことだけ。判定は「条件つき」です。

理由5:カロリー(条件つき|糖類0gでも500mlで260〜270kcal)

実際は500ml缶で260〜270kcal、350ml缶で182〜189kcal。熱量の大半はアルコール由来なので、糖類をゼロにしても、度数が9%である限りカロリーは下がりません。詳しくは上の「糖類ゼロ」のセクションで。判定は「条件つき」。体重への出方は人によるので断定はしません(ビールは太るのか)。

厚労省のガイドラインは「適量」を決めていない|あるのは3つの物差しだけ

「厚労省の適量は男性20g」——検索すると山ほど出てくるこのフレーズ、この記事も以前そう書いていました。

2024年2月公表の厚生労働省「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」に、その数字はありません。全文を検索すると、「適量」という語自体が一度も出てきません。

載っているのは、健康日本21(第三次)の目標値である「生活習慣病(NCDs)のリスクを高める量(1日当たりの純アルコール摂取量が男性40g以上、女性20g以上)」のほう。しかも、こう注記されています。

厚生労働省「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」(2024年2月)より
「※これらの量の飲酒をしている者の減少を目標としたものです。なお、これらの量は個々人の許容量を示したものではありません。」

ガイドライン自身が「これは個々人の許容量ではない」と断っているわけです。

補足すると、「20g」自体は、健康日本21(2000年開始の第一次)の「節度ある適度な飲酒=1日平均純アルコール約20g程度」として実在します。ただし2024年のガイドラインの数字ではありません。BLOGOSの取材で垣渕氏が言う「成人男性は1日の目安を20グラム」も、2018年時点のこの古い目安を指しています。

では2024年のガイドラインが実際に持っているものは何か。算出式(ml×度数/100×0.8)・一時多量飲酒60g以上・表1(疾病別の週あたりの量)の3つです。下の表の2つの「20g」と混ぜないでください。

よく引かれる数字本当の出どころ2024年ガイドラインに載っているか
男性20g/女性10g(節度ある適度な飲酒)健康日本21(第一次・2000年)に約20gの記載。女性10gの明記は確認できず× 載っていない
男性40g/女性20g(生活習慣病のリスクを高める量)健康日本21(第二次・第三次)の目標値○ 引用として掲載。ただし「個々人の許容量を示したものではありません」と注記

物差し1|1回に60g以上は「避けるべき」と名指しされている。ストゼロ2本で72g

算出式はもう使いました(36gと25.2g)。残る2つが本題です。

ガイドラインの中で、はっきり「避けるべき」と名指しされている行為があります。

厚生労働省「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」(2024年2月)より
「一時多量飲酒(1 回の飲酒機会で純アルコール摂取量 60g以上)は、外傷の危険性も高めるものであり、避けるべきです。」

ストゼロの500ml缶2本は72g。この行に当たります。500ml缶+350ml缶でも61.2gで超える。350ml缶2本なら50.4gで下回る。「もう1本だけ」の2本目で線をまたぐ構造です。

留保を1つ。「1回の飲酒機会」の時間的な定義は書かれていません。1時間で2本と5時間かけて2本を同じに扱ってよいのかは、この資料からは読み取れませんでした。それと、これは1回の話。週で見た総量は、次の物差しで測ります。

物差し2|毎日1本なら350ml缶でも週176g。「350mlなら安心」は成り立たない

小さめのチューハイグラスと水のグラスが並ぶ食卓

2つ目の物差しが表1。疾病ごとに「これ以上の飲酒をすると発症等のリスクが上がると考えられる」量の一覧です。大事なのは単位が「週あたり」だということ。日割りも併記されていますが、注記には「研究結果の数値を元に、仮に7で除した場合の参考値(概数)」とあります。本体は週の総量のほうです。

毎日1本飲むと、500ml缶なら36g×7=週252g、350ml缶でも25.2g×7=週176.4g。

表1と照らすと、男性は 出血性脳卒中150g/週・大腸がん150g/週・前立腺がん(進行がん)150g/週 の3つを、缶を350mlに落としても超えます。女性はさらに手前で、脳梗塞75g/週・乳がん100g/週をはじめ5つの疾病に該当します。

そのうえで高血圧(男女)・食道がん(男性)・出血性脳卒中(女性)は表1で「0g<」、つまり少しでも飲めばリスクが上がると考えられる、とされています。缶のサイズも本数も関係ありません。

表1の数字は「これ以上でリスクが上がると考えられる」という閾値であって、超えたら発症するという意味ではありません。ガイドライン自身も「これらよりも少ない量の飲酒を心がければ、発症しないとまでは言えませんが、当該疾患にかかる可能性を減らすことができると考えられます」と書いています。

そして表を作って分かったこと。効いているのは缶のサイズではなく、頻度のほうでした。350ml缶でも毎日なら176.4g、週5本なら126g。500ml缶でも週4本なら144g。缶を小さくするより、飲まない日を作るほうが総量に効く。私も3日続いたら1日空けますが、数字にして順番が合っていたんだなと思いました。

缶サイズ週に飲む本数週あたりのアルコール量表1の150g/週(男性の出血性脳卒中・大腸がん・前立腺がん)と比べて
500ml缶毎日(週7本)252g超える
500ml缶週5本180g超える
500ml缶週4本144g超えない
350ml缶毎日(週7本)176.4g超える
350ml缶週6本151.2g超える
350ml缶週5本126g超えない

この記事は以前「350ml缶なら適量ギリギリ」と書いていた。取り消します

旧版には、こう書いてありました。

「350ml缶を1日1本まで。このルールだけ守れば、男性なら適量ギリギリで収まります」

2つの点で成り立ちません。1つ目、ここで言う「適量20g」は2024年のガイドラインの数字ではありませんでした。2つ目、週の総量で見ると毎日1本は176.4gで、表1の3つの行を超えます。「ギリギリ」ではなく、はっきり外側でした。

言い訳はしません。何本ならいいのかは、後半で「国の基準ではなく、私が割り算した線」として出します。

他の酒と比べる|アルコール量・カロリー・そして「1gあたりの値段」

ビール500ml(5%)と比べると、アルコール量は20g対36gで1.8倍、カロリーは約197kcal対260〜270kcalで約1.35倍です(アルコール量はビール5%の慣行値、カロリーは食品成分表の4.6%換算値と、度数の前提が少し違います)。

そしてここからが、この記事だけの表。純アルコール1gあたり、いくら払っているかを出しました。ストゼロの500ml缶は216円÷36g=6.00円/g、350ml缶は6.31円/g。同じ159円で売られている7%缶が約8円/gですから、同じ値段の棚の中で、1gあたり2割前後安く酔える位置にいます。角ハイボールの350ml缶(7%・217円)は11.07円/gで、倍近い差です。

先に、自分の主張を一番弱める事実を。ストゼロは「最も安い酒」ではありません。甲類焼酎「直球勝負」12%の4Lペットは2,152円(税別)で純アルコール384g=5.60円/g。業務用の18Lパックなら3.73円/gまで落ちます。

正確に言えば、ストゼロが安いのは「缶で完結する=自分では薄められない形」の中でのこと。他社9%缶の希望小売価格は未確認なので、「ストゼロが最安」ではなく「9%缶というカテゴリーが最も安い層にいる」と書くのが正確だと思います(同じ9%帯は氷結ストロング、表のタカラの缶はタカラ焼酎ハイボールで個別に)。

そして単価と健康リスクは別の話です。4Lペットのほうが安くても、あちらは水で好きなだけ薄められる。問題は「安い」×「薄められない」×「飲みやすい」の3点セットが1本の缶に同居していることです。

※価格は希望小売価格(税別・2026年8月時点)で実売ではなく、2026年10月1日の酒税改正で改定予定。アルコール量は各社の公式表示値または算出式によります。

商品度数容量アルコール量希望小売価格(税別)1gあたり
-196ストロングゼロ 500ml缶9%500ml36g216円6.00円
-196ストロングゼロ 350ml缶9%350ml25.2g159円6.31円
タカラ「焼酎ハイボール」〈ドライ〉350ml缶7%350ml20g159円7.95円
こだわり酒場のレモンサワー 350ml缶7%350ml19.6g159円8.11円
角ハイボール〈濃いめ〉350ml缶9%350ml25.2g217円8.61円
角ハイボール 350ml缶7%350ml19.6g217円11.07円
(参考)直球勝負 12% 4Lペット12%4,000ml384g2,152円5.60円
(参考)業務用 千石 25% 18Lパック25%18,000ml3,600g13,420円3.73円

悪酔いする?「飲み続けた結果」はどうなる?

「ストゼロは悪酔いする」という声はよく見ます。私自身の実感としても、ストロングゼロはめちゃくちゃ残ります。同じくらいの量でも、ハイボールやビールなら翌日はまったく平気なのに、ストゼロだけは残り方が違う。500ml缶を2本飲んだ翌朝が、とくにきつかった。ウイスキーをロックで飲むこともあって、度数の高い酒そのものには慣れているつもりです。それでも缶だけは、どうも変な酔い方をする。

ただ、これを「ストゼロは悪酔いする酒だ」と一般化はしません。そもそも「悪酔い」に医学的な定義があるのかを、この記事では確認できていません。書けるのは量の話です。同じ350ml缶でも5%缶なら14g、7%缶なら19.6g、ストゼロなら25.2g。同じ「1本」で入る量が1.3〜1.8倍違う。私の体感の差も、単に量の差かもしれません。

その「量」で、私は一度だけ本当に痛い目に遭っています。急性アルコール中毒で、病院に運ばれました。原因はストロングゼロではありません。いろいろな酒をちゃんぽんした夜で、体調も少し悪かった。倒れる瞬間の記憶はなく、気づいたら病院のベッドの上でした。

私は酒に強いほうで、それまで記憶を失ったことも、酔い潰れたこともありませんでした。自分は大丈夫な側だと思っていたわけです。あの夜に分かったのは、限界は少しずつ近づいてくるのではなく、条件が重なると一気に来るということ。ガイドラインが「避けるべき」と名指しする一時多量飲酒60g以上——ストゼロなら500ml缶2本の72gで超える線——を、私が他人事と思えないのは、この体験があるからです。

次に「脳が溶ける」。そういう現象を指す医学用語はありません。ガイドライン全文で脳への言及は若年者に関するものだけでした(「10歳代はもちろん20歳代の若年者についても、脳の発達の途中であり、多量飲酒によって脳の機能が落ちるとのデータがある」、および20歳未満の飲酒は「脳の発育に悪影響を及ぼし」依存症の危険性も上がるという記載)。成人の脳萎縮についての記載は確認できませんでした。

「飲み続けた結果どうなるか」も同じで、「何年でこうなる」という時間軸を示した公的資料は、私が見た範囲にはありません。書けるのは、垣渕氏の言う依存の進み方——習慣的に飲む段階から、飲まずにいられない段階、連続して飲む段階へ——という整理と、ガイドラインの「毎日飲酒を続けた場合、アルコール依存症の発症につながる可能性があります」という一文までです(晩酌がやめられないとき)。

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それでも飲むなら|週の本数を先に決めて、缶のサイズをレバーにする

グラスに注いだチューハイを炭酸水と氷で割る様子の俯瞰

「じゃあやめろってことか」と思われたなら、それは私の意図ではありません。

缶は開けたら量が確定します。裏を返すと、量を決められるタイミングは「どのサイズを買うか」と「週に何本買うか」の2つしかないということ。ガイドライン自身も、飲酒への配慮の例として「あらかじめ量を決めて飲酒をする」を挙げています。

表1の150g/週(男性の出血性脳卒中・大腸がん・前立腺がんの行)を超えない本数を逆算すると、350ml缶で週5本、500ml缶で週4本。さっきの表の「超えない」の行が、そのまま答えです。

ただし、この数字の性格をはっきりさせておきます。これは国が定めた本数ではありません。表1の1つの行を、私が割り算しただけの数字です。表1には缶のサイズにも本数にも関係なく「0g<」とされている疾病があり、ここまでなら安全、という意味ではありません。女性は閾値がもっと手前なので、この本数は当てはまりません。「休肝日」も同じで、週の総量を落とすための実務的なやり方です。

缶のまま飲まず、割って濃さを下げるという手もある

「缶は薄められない」と書いてきましたが、抜け道が一つ。グラスに移してしまうことです。

500ml缶を同量の炭酸水で割れば、度数は9%から約4.5%へ。氷を入れればもう少し下がる。ビール並みの濃さです。

ただし絶対に取り違えないでください。薄めても、アルコールの総量は36gのまま変わりません。減るのは1口あたりの濃さと、飲むペースだけ。それでも意味はあります。ガイドラインの配慮の例にも「水などを混ぜてアルコール度数を低くして飲酒をする」「飲酒の合間に水(又は炭酸水)を飲む」が入っています。

私の場合、水を並走させた日は3杯目までのペースが目に見えて落ちます。だから2Lのミネラルウォーターは箱で常備しています。強炭酸水も箱で常備しています。割り材とチェイサーの両方に使うので、水よりむしろ減りが早いくらい。炭酸水メーカーで作ることもありますが、飲みながら継ぎ足す日は箱で買っておくほうが結局ラクです。

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ストロング系から降りるなら|量を自分で決められる選択肢

ストロング系から少し離れたい方向けに、選択肢を3つ。基準は1つだけ。「量と濃さを自分で決められるか」です。単価の話をした後に安さで選ぶと話が一周するので、安さでは選びません。

念のため、どれも「無くても困らない」ものですし、ストゼロをやめるべきだとも思っていません。同じサントリーの「-196無糖〈クリア〉」7%を挙げないのは、度数を下げる話で7%を勧めると基準がぶれるからです。

度数を1段下げる(ほろよい 3%)

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350ml缶で純アルコール8.4g。ストゼロの350ml缶(25.2g)の3分の1です。

面白いのは、1gあたりの単価で見るとこの手の低アルコール缶は最も高い部類になること。缶の値段が横並びなら、度数が低いほど1gあたりは高くつくからです。ふつうはコスパが悪い話ですが、この記事の論理では逆。量が増えにくい設計です。甘さがしっかりあるので、酒というよりジュース感覚で1本で終われるタイプです。

甘味料が気になるなら(本搾り)

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私自身、晩酌の定番にしている一本です。果汁とウオッカ(と炭酸)だけで作られていて、香料・酸味料・甘味料が入っていません。レモンは度数6%で、350ml缶なら純アルコール16.8g。ストゼロの350ml缶の3分の2です。

ただし「無添加だから健康」ではありません。体に入るアルコールの量は度数と飲んだ量で決まるので、そこは甘味料と関係がない。評価そのものは本搾りは体に悪いのかに書きました。

濃さを自分で決める(レモンサワーの素)

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この記事の背骨に一番合うのがこれ。「今日はちょっと薄めにしよう」という判断を、自分でできます。缶にはできないことです。

先に自分から書いておくと、1gあたりの単価で見れば、1,800mlの紙パックはストゼロよりさらに安い。それでも挙げているのは、安いからではなく濃さと量を自分で決められるからです。

これはうちに常備していて、私も飲みますが、妻のほうがよく飲みます。作ってあげることも多い。酒が強くない人でも、自分が飲める濃さまで下げられるのが大きいところです。グラスに氷とレモンを入れれば見た目もそれらしくなるので、家で飲む分にはこれで十分。

一度、計量カップで測ってみるのがおすすめです。私も焼酎でやって、思っていたより多く注いでいました。目分量は濃いほうにずれます。

(表の「こだわり酒場のレモンサワー」は缶の完成品、こちらは割って飲む「素」。別商品なのでご注意を)

「販売中止」の噂と、公式サイトで実際に起きている変化

「ストロングゼロが販売中止になる」という話が定期的に流れます。事実を3つだけ。

1つ目。この記事は以前「サントリーは度数8%以上の新商品を今後発売しない方針」と書いていました。誤りです。表明したのはアサヒビールとサッポロビール。サントリーは「他社の動きなどを受けて新たな対応・検討をしていることはない」と回答しています(2024年2月14日・Business Insider Japan取材時点)。

ただし、この話には9か月後の続きがあります。2024年11月6日、サントリーホールディングスの鳥井信宏社長が「今年後半に予定したアルコール度数9%のストロング系の新商品の発売を中止した」と述べました。ただし同じ場で「販売は続ける方針」とも語っています(産経新聞 2024年11月6日)。つまり「サントリーは何もしていない」でも「サントリーも中止した」でもない。止めたのは予定していた新商品で、既存品は続ける——というのが正確なところです。

2つ目。公式の定番一覧は6種から5種になり、〈ビターレモン〉が載っていません。終売のリリースは無いので、書けるのは「定番一覧に無い」までです。

3つ目。ブランドトップの商品一覧にストロングゼロは無く、無糖ページの下層にあります。商品ページの表示は残したまま、販促の導線から外れている——サイト構造の観察であって、声明ではありません。

なお2026年10月1日の酒税改正で、RTD(発泡性)は1kLあたり2万円の増税。500ml缶なら酒税分だけで10円上がります(店頭価格の上げ幅とは一致しません)。

よくある質問(FAQ)

本文で拾いきれなかった聞かれ方に、短く答えます。

Q. ストロングゼロのアルコール量は何グラム?

500ml缶で36g、350ml缶で25.2gです。サントリーが公式ページに算出式ごと明記しています。ビール500ml(5%)が20gなので、その1.8倍です。

Q. 「スト缶」って何のこと?

ストロング系缶チューハイの略称です。一般に度数7〜9%の缶チューハイを指し、ストロングゼロ(ストゼロ)はその代表格。銘柄名ではなくカテゴリーの呼び名です。

Q. ストゼロは何本までなら飲んでいい?

国が本数の上限を決めているわけではありません。表1の150g/週(男性3疾病)から私が割り算すると350ml缶で週5本、500ml缶で週4本。ただし表1には「0g<」の疾病もあるので、安全という意味ではありません。

Q. 「脳が溶ける」って本当?

そういう現象を指す医学用語はありません。厚労省ガイドラインの脳の記述は10〜20歳代の若年者に関するもので、成人の脳萎縮についての記載は確認できませんでした。

まとめ

3つだけ持ち帰ってください。

1つ目。500ml缶=36g、350ml缶=25.2g。缶は薄められないので、開けた時点でこの量が決まります。

2つ目。厚労省は適量を決めていません。あるのは算出式と、1回60gという線と、表1の週あたりの量だけ。毎日1本なら350ml缶でも週176.4gです。

3つ目。やばさの正体は成分ではなく、缶という形の中で最も安く酔えてしまうことです。ただし、安いこと自体が体に悪いわけではありません。

だから提案は1つ。今週は何本にするかを、飲む前に決めておく。缶に対してこちらが握れるレバーは、結局そこしかありません。

※この記事の内容には個人の感想が含まれます。健康に関する具体的な判断は、かかりつけ医にご相談ください。20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。

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