安い焼酎の棚の前で、鏡月のボトルを手に取ったことがあります。大五郎や宝焼酎と並んで置かれている1本で、私も、たまにですが飲みます。
ただ、いざ「鏡月」と検索すると、体に悪い、原材料が曖昧、工業用アルコールが入っているらしい——そんな言葉が並びます。手元にボトルがある人ほど、気になると思うんですよ。
先に答えを書いてしまいます。鏡月が体に悪いとする根拠は、原材料の表示にも、酒税法にも見当たりませんでした。決めているのは中身ではなく、25度・20度・16度のどれを選ぶかと、何ml飲むかです。数字はすべてサントリーの公式表記と、国の資料から引きました。
- 焼酎は食品表示基準の上で、そもそも原材料名を書く義務が無い(国税庁の資料)
- 一方で添加物は酒類でも表示が義務。「隠せない項目」はある
- 16度の鏡月Colorsは、品目が「焼酎」ではなく「リキュール」
- 公式のエネルギーはColors 130kcal、鏡月Green 20度 113kcal(いずれも100mlあたり)。度数が5度低いほうが17kcal高い
- 鏡月Green 25度の純アルコール量は公式表記で100mlあたり20g。700ml瓶1本なら140g
- 「工業用アルコール」説に根拠となる資料は無く、公式の原材料表記は「醸造アルコール」。日本では工業用アルコールはアルコール事業法で許可制
結論|「体に悪い」の根拠は、原材料表示にも酒税法にも無い
「鏡月は体に悪い」と言われるときの根拠を、ひとつずつ当たってみました。原材料の表示にも、酒税法の条文にも、鏡月固有の問題は見当たりませんでした。「安全だと証明された」という意味ではなく、「悪いとする根拠が、表示にも条文にも見当たらない」という意味です。この線は最初に引いておきます。
ネットで見かける話は、だいたい次の3つに集約されます。
1. 原材料が明記されていなくて怪しい
2. 工業用アルコール(石油由来)が使われているらしい
3. 度数が高いのに飲みやすいから危ない
要点だけ先に言うと、1つ目は鏡月だけの話ではありません。焼酎という酒類は、法律上そもそも原材料名を書く義務が無いんですよ。そのうえでサントリーは、鏡月の原材料もカロリーも純アルコール量も公式サイトに出しています。2つ目は、噂の側に根拠となる資料が無く、公式の原材料表記は「醸造アルコール」です。3つ目は、中身ではなく杯数の話です。
では何が体への影響を決めているのか。中身ではなく、25度・20度・16度のどれを選ぶかと、何ml飲むかです。
なぜ「中身」ではなく「度数と量」なのか
1杯に入る純アルコールは、注いだ量 × 度数 × 0.8で決まります。0.8はアルコールの比重で、mLをgに直すための数字です。
銘柄が変えているのは、この式の「度数」だけなんですよ。鏡月なら、25度で100mlあたり20g、20度で16g、16度のColorsで12.8g。これはサントリー自身が公式に出している数字です。
手元に鏡月がある人に向けて言い切ると、同じ度数を同じ量飲むなら、銘柄を別の甲類焼酎に替えても、体に入る純アルコールは1gも変わりません。替えるかどうかは味と好みの話で、見るべきは手元の1杯の度数とmLです。だからこの記事は「鏡月だから体に悪いのか」ではなく、どの度数を選んで、何ml飲むかに答えます。
甲類焼酎という分類そのものが体に悪いのか、という問いは甲類焼酎は体に悪いのかをまとめた記事で別に扱っています。
「原材料が曖昧」の正体|焼酎は法律上、原材料名を書く義務がそもそも無い
「原材料が明記されていない」という説には、前提の取り違えがあります。
焼酎は、食品表示基準の上ではそもそも原材料名を書く義務がありません。
書いていないことと、隠していることは違います。ここを分けないと、制度上「書かなくていい」ものを「都合が悪いから伏せている」と読んでしまいます。
国税庁の資料には「酒類は表示不要」と書いてある
根拠は、国税庁が出している資料です。
原材料名 … 酒類は表示不要(同5条1項)※2(清酒は清酒の製法品質表示基準により、国内製造ワインは果実酒等の製法品質表示基準により原材料名の表示義務があります。)/アレルゲン … 酒類は表示不要(同5条1項)※2/原産国名 … 酒類は表示不要(同5条1項)※2国税庁酒税課「食品表示法の概要(酒類表示編)」令和2年3月・6ページ
ただし、「書く義務が無い」は「書いてはいけない」ではありません。同じ資料には、義務の無い項目を表示するときは食品表示基準で定める方法により表示するよう努める必要がある(同41条)、という注も付いています。
なお引用のカッコ内にあるとおり、清酒と国内製造ワインには別途、原材料名の表示義務があります。焼酎は該当しません。
資料は国税庁のサイトでPDFとして公開されています(令和2年3月版。2026年9月時点で、国税庁の酒類表示ページに掲載されているのはこの版だけです)。
逆に、酒類でも必ず書く義務があるのが「添加物」
では酒類は何も書かなくていいのか、というと、そうではありません。同じ資料に、こうあります。
添加物 使用された添加物を重量順に全て表示/添加物表示は、添加物を使用した酒類においても必須です。/原則として、使用した全ての添加物を「物質名」で表示します。国税庁酒税課「食品表示法の概要(酒類表示編)」令和2年3月・6ページおよび9ページ
添加物は、酒類でも表示が必須です。しかも重量順に全部。原材料名は義務ではないのに、添加物は義務。ここに隠せない項目があるわけです。
ただし、「添加物は全部書いてあるから安心」とまでは言えません。キャリーオーバーなどで表示が免除される場合があることと、「酸味料」「香料」のように一括名での表示が認められていて個別の物質名までは分からない場合があることの、2つの理由からです。
鏡月は、義務の無い原材料名を公式サイトに出している
そのうえで、サントリーは鏡月の原材料を公式サイトに出しています。
鏡月Green 25度の700ml瓶は「醸造アルコール、米、米こうじ、麦、麦こうじ/酸味料」。20度は「醸造アルコール、米、米こうじ、麦、麦こうじ」。「/」の後ろが添加物の欄です。
面白いのはここで、同じ鏡月Greenでも、25度には「/酸味料」があって、20度には無いんですよ。ただし、20度が「無添加」だという意味ではなく、公式サイトの表示に添加物の記載が無い、ということです。
鏡月プレミアムの20度は「醸造アルコール、さとうきび」で、Greenとは原料そのものが違います。プレミアムの25度は、公式の商品ページに原材料の記載を確認できませんでした。
表に並べたのはすべて公式サイト上の表記です(ボトルのラベル現物ではありません)。
| 表示事項 | 食品表示基準上の義務 | 鏡月Green 25度(公式表記) | 鏡月Green 20度(公式表記) | 鏡月Colors 16度(公式表記) |
|---|---|---|---|---|
| 原材料名 | 酒類は表示不要 | 醸造アルコール、米、米こうじ、麦、麦こうじ | 醸造アルコール、米、米こうじ、麦、麦こうじ | 醸造アルコール、米、米こうじ、麦、麦こうじ、糖類 |
| 添加物 | 使用したものを重量順に全て表示(義務) | 酸味料 | 記載なし | 酸味料、香料 |
| アレルゲン | 酒類は表示不要 | 公式サイトの該当欄に記載なし | 公式サイトの該当欄に記載なし | 公式サイトの該当欄に記載なし |
| 原産国名 | 酒類は表示不要 | 公式サイトの該当欄に記載なし | 公式サイトの該当欄に記載なし | 公式サイトの該当欄に記載なし |
| 原料原産地名 | 国内で製造・加工された加工食品が対象(鏡月は韓国製造の輸入品) | 対象外 | 対象外 | 対象外 |
| 輸入者 | 輸入品は輸入者の住所・氏名を表示(義務) | ラベル現物を確認していないため未記載 | 同左 | 同左 |
「工業用アルコール」説|噂に根拠は無く、公式表記は「醸造アルコール」
「鏡月には工業用アルコールが入っている」「石油から作ったアルコールだ」。これもよく見かける説です。
先に答えを書きます。この説の根拠として示された資料は、今回調べた範囲で見つかりませんでした。そしてサントリーが公式に出している原材料表記は「醸造アルコール」です。
ただ、「デマです」の一言で終わらせると、なぜそう言えるのかが残ります。噂には核があるからです。石油由来の原料から作られるアルコールは、工業用として実際に存在します。だから「そんなものは無い」ではなく、それが日本の制度でどう扱われているかまで書きます。
「工業用アルコール」とは何を指すのか
日本にはアルコール事業法という法律があって、そこでいう「アルコール」はアルコール分が90度以上のものを指します。アルコール分とは、温度15度のときに原容量百分中に含まれるエチルアルコールの容量のこと。お酒として売られている25度や16度とは桁が違う、かなり高濃度のものです。
そして工業用に使われるアルコールには、発酵によらない製法のものもあります。穀物やサトウキビを発酵させるのではなく、石油から得られる原料を化学的に反応させて作る方法です。「石油から作ったアルコール」という言い方の元になっているのは、おそらくこれです。
日本の制度は、工業用アルコールが酒に回ることを「不正な使用」として管理している
経済産業省がアルコール事業法の概要としてまとめている文章に、こうあります。
アルコール事業法は、広く工業用に使用され、国民生活及び産業活動に不可欠なアルコールについて、酒類と同一の特性を有していることにかんがみ、酒類の原料への不正な使用の防止に配慮しつつ、アルコールの製造、輸入及び販売の事業の運営等を適正なものとすることにより、我が国のアルコール事業の健全な発展及びアルコールの安定的かつ円滑な供給の確保を図り、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする法律です。経済産業省「アルコール事業法の概要」1.目的
アルコールが酒類の原料に不正に使用されることを防止しつつ工業用に確実に供給されることを確保するため、アルコールの製造、輸入、販売、使用について、許可制としています。経済産業省「アルコール事業法の概要」2.(1)
法律の目的に「酒類の原料への不正な使用の防止」と書かれていて、製造・輸入・販売・使用が許可制になっている。日本では、工業用アルコールは「酒に回さないよう管理する対象」だということです。
ここで線を引いておきます。これは制度の説明であって、個別の製品の成分を証明するものではありません。しかも鏡月は韓国で製造された輸入品で、この法律が直接かかるのは日本国内でのアルコールの製造・輸入・販売・使用です。だから私は、条文を根拠に「鏡月に工業用アルコールは入っていない」とは書きません。
それでも、この章の答えは動きません。「入っている」と言う側に根拠となる資料が無く、公式の原材料表記は「醸造アルコール」。噂のほうに根拠が無い、というのが着地です。「醸造アルコール」が何を指すかも含め、条文の側から深く読みたい方は甲類焼酎と酒税法の条文を扱った記事へ。原典は経済産業省のページで読めます。
16度の鏡月は「焼酎」ではない|しかも20度よりカロリーが高い

鏡月には16度の「鏡月Colors」というシリーズがあります。度数が低いぶん軽い、という印象を持っている人が多いと思うんですよ。正直に言うと、私も表を作るまで同じように思っていました。
ところが公式の数値を並べると、逆でした。Colors(16度)は130kcal、鏡月Green(20度)は113kcal。度数が5度低いほうが、100mlあたりで17kcal高いんです。しかも品目は「焼酎」ですらありません。
| 製品(公式表記) | アルコール度数 | 品目 | エネルギー(100mlあたり) | 純アルコール量(100mlあたり) |
|---|---|---|---|---|
| 鏡月Green | 25% | 焼酎甲類 | 141kcal | 20g |
| 鏡月Green | 20% | 焼酎甲類 | 113kcal | 16g |
| 鏡月Colors(アセロラ・ゆず・白ぶどう) | 16% | リキュール | 130kcal | 12.8g |
25度・20度は「焼酎甲類」、16度のColorsは「リキュール」
公式の詳細情報欄には、こう書かれています。鏡月Greenが「アルコール度数: 25% / 20% 品目: 焼酎甲類」。鏡月Colorsが「アルコール度数: 16% 品目: リキュール エネルギー: 130kcal/100mlあたり」。
Colorsの品目は「リキュール」です。焼酎ではありません。
品目は酒税法上の分類で、それ自体が体への良し悪しを意味するものではありません。酒税法は、リキュールを「酒類と糖類その他の物品(酒類を含む。)を原料とした酒類でエキス分が二度以上のもの」と定義しています(第3条第21号)。Colorsの原材料表示に「糖類」があることと、この定義は噛み合っています。この章で見るのは、その糖類がカロリーにどう出ているか、です。
甲類と乙類はどう違うのか、という話は甲類焼酎と乙類焼酎の違いをまとめた記事にあります。現行のColorsはアセロラ・ゆず・白ぶどうの3種で、詳細はサントリーの鏡月Colorsのページに載っています。
130kcal 対 113kcal|度数が5度低いのに、カロリーは17kcal高い
引き算だけ書くと、130 − 113 = +17kcal/100ml。どちらもサントリーの公式値で、推定は入っていません。「度数が低いほうがカロリーも低い」という直感は、少なくともこの2つの間では成立していないわけです。
注意が1つ。鏡月には「鏡月Green」と「鏡月プレミアム」があって、公式の数値が違います。Greenは141kcal(25度)と113kcal(20度)、プレミアムは139kcal(25度)と111kcal(20度)。混ぜると、差の数字そのものが変わります。
ただし、これは100mlあたりの比較で、実際に何ml飲むか、何で割るかは入っていません。だから「16度のほうが太る」「16度のほうが体に悪い」という話ではないんです。純アルコール量で見れば、むしろ16度がいちばん少ない(後の章の表で出します)。「16度=軽い」とは限らない。アルコールでは軽く、カロリーでは軽くない。「度数が低いから軽い」と一括りにせず、どちらの軸で選ぶかを決める——この表の使い方はそれだけです。
差はどこから来るのか|原材料表示に「糖類」がある
鏡月Colorsの原材料は、アセロラ・ゆず・白ぶどうの3種とも「醸造アルコール、米、米こうじ、麦、麦こうじ、糖類/酸味料、香料」。鏡月Greenとの差は「糖類」と「香料」の2つです。
公式のエネルギーを、公式の純アルコール量で割ってみます。
・鏡月Green 25度 … 141kcal ÷ 20g = 7.05
・鏡月Green 20度 … 113kcal ÷ 16g = 約7.06
・鏡月Colors 16度 … 130kcal ÷ 12.8g = 約10.16
先に見てほしいのは、Greenの2つが7.05と7.06で揃っていることです。度数が違っても、カロリーが純アルコール量にきれいに比例している。つまりGreenのカロリーは、アルコールの分だけでほぼ説明できるんですよ。食品成分表(八訂)がアルコールのエネルギー換算係数を7.0としていることとも、おおむね合います(サントリーの純アルコール量は比重0.8で計算した値なので、成分表の係数と厳密に同じ土俵ではありません。あくまで目安です)。
ところがColorsだけ10を超える。公式のkcalは整数に丸めてありますが、丸めで動くのは比の小数第2位までで、7と10の差は丸めでは出ません。酸味料は25度のGreenにも入っていて、それでも比は7.05のままなので、酸味料でも説明がつかない。米や麦、こうじもGreenと同じ並びで書かれていて、そのGreenが7です。残るのは、Greenには無くてColorsにはある「糖類」と「香料」。このうちカロリーの上乗せとして素直に読めるのは糖類です。上乗せ分はアルコール以外の原料から来ていて、原材料表示の「糖類」と数字が噛み合う——これが、同じサントリーの公式表示どうしを比べて言える結論です。
糖質量そのものは、サントリーは公表していません。分かっているのは、公式のカロリーがアルコールの分だけでは説明がつかないことと、Greenに無い原材料が糖類であること。16度が「軽くない」理由には、この2つで足ります。
鏡月のラインナップを、公式の数値だけで並べる
鏡月は1種類ではなく、度数も品目も違う商品が並んでいます。ここは解説より、正しい表を1つ置くほうが早いと思います。
数値はすべてサントリー公式の表記(2026年9月時点)で、「—」は公式サイトで確認できなかった項目です。
| 製品 | 度数 | 品目 | 原材料(公式表記) | エネルギー(100mlあたり) | 純アルコール量(100mlあたり) |
|---|---|---|---|---|---|
| 鏡月Green 25度(700ml瓶) | 25% | 焼酎甲類 | 醸造アルコール、米、米こうじ、麦、麦こうじ/酸味料 | 141kcal | 20g |
| 鏡月Green 20度(700ml瓶) | 20% | 焼酎甲類 | 醸造アルコール、米、米こうじ、麦、麦こうじ | 113kcal | 16g |
| 鏡月プレミアム 25度(700ml瓶) | 25% | 焼酎甲類 | 公式の商品ページに記載を確認できず | 139kcal | 20g |
| 鏡月プレミアム 20度(700ml瓶) | 20% | 焼酎甲類 | 醸造アルコール、さとうきび | 111kcal | 16g |
| 鏡月Colors 16度(アセロラ・ゆず・白ぶどう) | 16% | リキュール | 醸造アルコール、米、米こうじ、麦、麦こうじ、糖類/酸味料、香料(3種共通) | 130kcal | 12.8g |
| 鏡月 業務用サワーベース(料飲店限定) | 35% | 焼酎甲類 | — | 203kcal | — |
「鏡月」と「鏡月プレミアム」は別物
Greenとプレミアムは原材料そのものが違い(米・麦こうじ系と、さとうきび)、エネルギーも別の数字です。
それともう1つ。「糖質ゼロ」「プリン体」の注記が付いているのは、公式サイト上ではプレミアムのブロックです。
*食品表示基準に基づき、100mlあたり糖質0.5g未満を糖質ゼロと表示 **100mlあたりプリン体0.5mg未満サントリー「鏡月」ブランドサイト・鏡月プレミアムの注記
つまり「鏡月は糖質ゼロ」と一般化はできません。GreenやColorsにこの表示が付いているわけではないからです。
希望小売価格は公式が出している
価格について1つだけ。メーカーの希望小売価格は、サントリーの公式ページに出ています。鏡月Green 25度の700ml瓶が918円、20度が816円、鏡月Colorsの700ml瓶が816円(いずれも税別・公式の希望小売価格)。公式には「価格は販売店様の自主的な価格設定を拘束するものではありません」という注記も添えられていて、店頭でいくらかは別の話です。
度数と割り方で最終的な1杯がどうなるかは、焼酎の度数と割ったときの度数をまとめた記事に早見表があります。元のデータはサントリーの鏡月ブランドページです。
「飲みやすい」ほうが危ないのは、中身ではなく杯数の話
噂の3つ目、「度数が高いのに飲みやすいから危ない」。これは私も、実感として分かります。
ただ、ここは経路を分けたほうがいいと思うんですよ。飲みやすさが体に効くのではありません。飲みやすさが杯数に効くんです。杯数が伸びれば、その日に体へ入る純アルコールが増える。体に効いているのは、最後のこの部分だけです。
飲みやすいお酒でも、入れた量が同じなら数字は同じ。見るべきは味の印象ではなく、注いだmLです。
安いと、杯数のほうが伸びる
私は甲類焼酎を飲むことがあります。大五郎、鏡月、宝焼酎。頻度はたまに、という程度です。
そのうえで正直に書くと、安いお酒のときは、杯数が伸びやすいという実感があります。「もう1杯くらい、いいか」のハードルが、明らかに下がるんですよ。
そして翌日に響くかどうかを分けていたのは、私の場合、銘柄ではなく、その日の総量とペースでした。これは私個人の体感であって、医学的な説明ではありません。
安い甲類焼酎をもう1本掘り下げた話は、別の銘柄を扱った記事に書いてあります。
700ml瓶を1本空けると、純アルコールは140g
「鏡月を1本空けた」の1本は、量にするとどれくらいか。公式の数字だけで出せます。
鏡月Green 25度の700ml瓶を1本空けると、純アルコールは140gです。厚生労働省が「生活習慣病のリスクを高める量」として示している線と並べると、こうなります。
| 製品(700ml瓶1本) | 純アルコール量(100mlあたり・公式) | 1本あたり(公式値×7) | 男性40gの線の何倍 | 女性20gの線の何倍 |
|---|---|---|---|---|
| 鏡月Green 25度 | 20g | 140g | 3.5倍 | 7倍 |
| 鏡月Green 20度 | 16g | 112g | 2.8倍 | 5.6倍 |
| 鏡月Colors 16度 | 12.8g | 89.6g | 2.24倍 | 4.48倍 |
純アルコール量はサントリー自身が公表している
この数字はメーカーの公表値で、この記事が勝手に推定したものではありません。
純アルコール量(100mlあたり)20g(60mlあたり)12g/純アルコール量は、以下の計算式に基づき記載しています。純アルコール量(g) = 容量(ml) × アルコール分(%)/100 × 0.8サントリー 商品詳細ページ(鏡月Green 25度 700ml瓶)
20度なら100mlあたり16g、16度のColorsなら12.8g。700ml換算の140g・112g・89.6gは、この公表値を7倍しただけの数字です。100mlあたりまでがサントリーの公表値で、7倍がこの記事の計算です。
「純アルコール量でお酒を測る」という考え方そのものは、ウイスキーで同じ計算をした記事のほうが詳しいです。
厚労省が引いている線は男性40g・女性20g
では140gという数字は、どのあたりにいるのか。厚生労働省のガイドラインには、こう書かれています。
国内では、第2期計画において、「生活習慣病のリスクを高める量(1日当たりの純アルコール摂取量が男性 40g以上、女性 20g以上)を飲酒している者の割合を男性 13.0%、女性 6.4%まで減少させること」(※)を重点目標として示しています。厚生労働省「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」(2024年2月)
700ml瓶1本の140gは、この線の男性で3.5倍、女性で7倍にあたります。
ただし、この40g・20gは「ここまでなら安全」という意味ではありません。ガイドライン自身が「これらの量は個々人の許容量を示したものではありません」と注記しています。示されているのは、リスクが上がるとされる量であって、安全の閾値ではないということです。もう1つ、1回の飲酒機会で純アルコール60g以上は「一時多量飲酒」として避けるべきとされています。700ml瓶1本は、この線も大きく超えます。
ここで、軸の違いをはっきりさせておきます。カロリーでは16度のColorsがいちばん高く、純アルコール量では16度がいちばん少ない。矛盾ではありません。見ている軸が違うだけで、どちらもサントリーの公式値です。
じゃあ、どうするか|一度だけ、自分の1杯を量ってみる

ここからは、読んで終わりにしない話です。やることは3つだけ。
1. 一度だけ、自分の1杯を量ってみる
2. 飲む量を、飲み始める前に決めておく
3. 一週間のうち、飲まない日を作る
2つ目と3つ目は、私が勝手に言っていることではありません。厚労省のガイドラインにも「あらかじめ量を決めて飲酒をする」「一週間のうち、飲酒をしない日を設ける(毎日飲み続けるといった継続しての飲酒を避ける)」として挙がっている項目です。
量るのは、減らすためではなく、自分が何g飲んでいるのかを知るためです。知らないまま加減しようとするから、毎回ぶれるんですよ。
純アルコール20gは、25度なら100mL|計量カップで一度だけ量ってみる
私は一度、焼酎の量を計量カップで量ってみたことがあります。ついでに、純アルコール20gが実際にどれくらいの量なのかも量りました。25度の焼酎なら100mLです。
鏡月Green 25度の公式表記「100mlあたり20g」と、そのまま一致します。
私は週に5〜6日飲みます。3日以上続いたら、意識的に1日空けるようにしています。特別なことは何もしていなくて、「だいたいこのくらい」をやめただけです。
道具は、台所にある普通の計量カップで足ります。100mLの目盛りが読めれば十分で、専用のものは要りません。量る道具がひとつあるだけで、その「だいたい」は無くなります。
減らしたい・不安があるときの相談先
飲む量を減らしたい、自分の飲み方が心配になってきた、家族の飲み方が気になる。そう思ったときに相談できる窓口が、各都道府県にあります。精神保健福祉センターです。お酒の話を責められずにできる場所がある、というだけで少し気が楽になると思うんですよ。本人だけでなく、家族からの相談も受け付けています。
晩酌そのものを減らしたい・やめたいという話は、晩酌がやめられないと感じたときの記事に書きました。
- 全国の精神保健福祉センター一覧(厚生労働省)… https://www.mhlw.go.jp/kokoro/support/mhcenter.html
- 本人だけでなく、家族からの相談も受け付けています
鏡月についてよくある質問
どれも公式の表記と国の資料の範囲で答えています。
Q. 鏡月はどこの国のお酒ですか?
韓国です。サントリー公式のブランドページは、韓国北東部の雪岳山(ソラクサン)に触れたうえで「そんな雪岳山系の銘水から、鏡月は生まれました」と書いていて、商品名も「韓国焼酎 鏡月プレミアム」です。製造している会社は、サントリー公式の商品ページ・ブランドページに記載を確認できませんでした。輸入品なので、国内で製造・加工された加工食品が対象の「原料原産地名」は表示対象外で、代わりに輸入者の表示が必要になります。
Q. 鏡月は何焼酎ですか?甲類ですか?
鏡月Green(25度・20度)、鏡月プレミアム(25度・20度)、料飲店限定の業務用サワーベース(35度)は、公式の品目が「焼酎甲類」です。一方、16度の鏡月Colorsは品目が「リキュール」で、焼酎ではありません。
Q. 鏡月とキンミヤはどう違いますか?
どちらも甲類焼酎ですが、公式の原材料表示が違います。鏡月Greenは「醸造アルコール、米、米こうじ、麦、麦こうじ」系で、酸味料の有無が度数で変わります。キンミヤ側の詳細はキンミヤ焼酎を扱った記事にあります。
Q. 鏡月は太りますか?糖質はどれくらいですか?
飲む量と割り方で変わるので、太る・太らないは断定できません。公式が糖質ゼロと表示しているのは鏡月プレミアム(100mlあたり糖質0.5g未満)で、鏡月GreenとColorsの糖質量は公表されていません。ただしColorsの原材料には「糖類」があり、公式のエネルギーも100mlあたり130kcalと、鏡月Green 20度の113kcalより高くなっています。
Q. 居酒屋の鏡月は度数が違うと聞きましたが本当ですか?
サントリーは料飲店限定の「鏡月 業務用サワーベース」を公式に出していて、こちらは35度・品目 焼酎甲類・203kcal/100mlあたりです。公式には「35度のアルコール度数により実現出来る1:5の希釈率により、割材の味わいがより引き立ちます。」「※料飲店様限定商品。」と書かれています。ただしこれは、そういう商品があるという事実であって、個々のお店が何を使っているかを示すものではありません。
Q. 「ふんわり鏡月」はまだ売っていますか?
2026年9月時点で、サントリーの公式ブランドサイトの現行ラインナップには見当たりませんでした。掲載されているのは、鏡月Green(25度・20度)、鏡月プレミアム(25度・20度)、鏡月Colors(16度・3種)、業務用サワーベース(35度)です。「鏡月ウーロン」「鏡月ジャスミン」なども同様で、終売かどうかまでは確認できていません。
Q. 鏡月は悪酔いしやすいですか?
銘柄で決まる話ではない、というのが私の体感です。本文に書いたとおり、翌日に響くかどうかを分けていたのは総量とペースでした。鏡月は公式が純アルコール量を出しているので、その日に何g入れたかを数字で出せます。甲類焼酎と悪酔いの話を掘りたい方は甲類焼酎の記事へどうぞ。
まとめ|決めているのは、中身ではなく度数と量
4つだけ、並べ直しておきます。
1. 「原材料が曖昧」は鏡月固有の話ではない。焼酎は法律上、そもそも原材料名を書く義務が無い。そのうえでサントリーは公式サイトに出している
2. 「工業用アルコール」説には根拠となる資料が無く、公式の原材料表記は「醸造アルコール」。日本の制度も、工業用アルコールが酒に回らないよう許可制で管理している
3. 16度のColorsは焼酎ではなくリキュール。100mlあたりのカロリーは20度より17kcal高い
4. 鏡月Green 25度の700ml瓶1本=純アルコール140g。厚労省が「生活習慣病のリスクを高める量」とする線の3.5〜7倍
「安全だ」という話ではありません。今回確認できた公式データと法令の範囲では、鏡月だから体に悪いという根拠が見当たらなかった、ということです。決めているのは、中身ではなく度数と量。気になったら、今夜の1杯を一度だけ量ってみてください。適量を守って、長く楽しめる飲み方のほうを選びたいですね。


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