飲む日が3日続いたら、次の日は意識して1日空けるようにしています。週に5〜6日は飲むので、その1日をどう過ごすかは地味に大事なんですよ。
で、あるとき思ったわけです。ビールにもチューハイにもノンアルがある。じゃあ焼酎は? 棚に並んでいるのはビールテイストとチューハイテイストばかりで、ネットで探しても、あるようで、ない。
先に結論を置きます。性格の違う4つのソースを横断して数えても、焼酎テイストのノンアルは1商品しか出てきませんでした(2026年8月19日時点)。ただ、「焼酎ハイボールのノンアル」のほうは大手2社が本気で作っています。この記事は、その切り分けと、飲まない日の現実的な答えです。
※20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。飲酒後の運転は絶対にしないでください。
- 4つのソースを横断して数えた、焼酎テイストのノンアルの実数(取得日つき)
- 唯一確認できた「小鶴ZERO」のスペック・原材料・成り立ち
- 麦焼酎テイストのノンアルは見つかるのか
- 「焼酎ハイボールのノンアル」を出している大手2社と、味の作り方の違い
- 「焼酎エキス」で酔うのか/「カロリーゼロ」は0kcalなのか
- 0.00%なのに20歳未満に売られない理由(法律ではありません)
- ノンアルコールビールを焼酎で割った1杯に残るアルコールの量
- どこで買えるか、飲まない日に何を飲むか
結論|焼酎テイストのノンアルは、4つのソースを横断しても1商品しか出てこない
最初に、言葉を2つに分けさせてください。ここを分けないと話が全部ねじれます。ひとつは焼酎そのもののテイスト=芋や麦の焼酎の味をアルコールなしで再現しようとしたもの。もうひとつは焼酎ハイボールという飲み方のテイスト=焼酎を炭酸で割った1杯を再現しようとしたものです。前者は1商品しか見つかりませんでしたが、後者は大手2社が作っています。この非対称が、この記事の中身です。
- 焼酎テイストで確認できたのは小正醸造「小鶴ZERO」1点だけ(2026年8月19日)
- 麦焼酎テイストは確認できなかった
- 「焼酎ハイボール」のノンアルは、宝酒造「辛口ゼロボール」とサントリー「のんある晩酌 ハイボール」
- ノンアルコールビールを焼酎で割った1杯はノンアルではない
- 飲まない日は、焼酎そのものより「飲み方」で探すほうが早い
4つのソースを横断して数えた結果
第三者の民間データベース、焼酎の専門店、メーカー公式サイト、その公式オンラインショップ。性格の違う4つを横断して数えました(すべて2026年8月19日時点)。4つとも、行き着いたのは同じ1商品でした。
| ソース | 種別 | 焼酎テイストの掲載数 | 母数 | 取得日 |
|---|---|---|---|---|
| ノンアル飲料データベース | 第三者の民間データベース | 1件 | 全260件 | 2026-08-19 |
| 焼酎専門店のノンアルコール一覧 | 焼酎専門店(1店) | 1件 | カテゴリ内の全掲載 | 2026-08-19 |
| 小正醸造 公式サイト ノンアルコールページ | メーカー公式 | 1点 | 掲載1点 | 2026-08-19 |
| 小正醸造 公式オンラインショップ | メーカー公式EC | 1点 | 2商品(もう1点はツバメサイダー) | 2026-08-19 |
- 第三者データベースは民間のもので、日本市場の全数を保証しません。登録漏れはありえます
- 焼酎専門店は1店の品揃えであって、市場全体ではありません
- メーカー公式の2つは、小正醸造という1社を見ているだけです
- だから書けるのは「4つ数えても1つしか出てこない」まで。「日本に1商品しかない」とは書けません。地方の限定品がひとつでも見つかれば崩れる話です
日本酒は6件、梅酒は11件。焼酎だけが1件
この1件がどれくらい少ないのか。同じデータベースのカテゴリ別の登録件数です(2026年8月19日時点)。ビール96件・サワー80件という主戦場と比べるのは酷ですが、同じ和酒である梅酒11件・日本酒6件と比べても、焼酎の1件は突出して少ないんですよ。
| カテゴリ | 登録件数 |
|---|---|
| ビール | 96 |
| サワー | 80 |
| スパークリングワイン | 29 |
| カクテル | 21 |
| 果実酒 | 13 |
| 梅酒 | 11 |
| ハイボール | 7 |
| 日本酒 | 6 |
| 黒ビール | 5 |
| 焼酎 | 1 |
| その他 | 1 |
- カテゴリは重複して数えられるため、単純合計の270件は総数260件と一致しません
- 日本酒にも梅酒にもノンアルがある以上、「和酒だからノンアルが作られない」では説明がつきません(焼酎と日本酒の違い)
- では焼酎だけなぜ少ないのか。理由は記事の後半でまとめて扱います

「たくさんある」と見えるのはなぜか|検索1位も楽天1万件も、焼酎のノンアルではない
ここまで少ないのに、ネットで探すと「いろいろありそう」に見えます。見えているものと、実際に買えるものが一致していないだけなんですよ。
まず、「焼酎 ノンアルコール」の検索1位は霧島酒造の公式サイトのノンアルコールページです。焼酎の大手がノンアルのページを持っている。ところが開くと、掲載は「発酵あまさけ 白麹仕込み」1点でした(2026年8月19日確認)。甘酒であって、焼酎テイストの製品ではありません。AI検索に聞くと「霧島酒造もノンアルコール焼酎を展開している」と返ってくることがあるので、自分の目で確かめました。これは蔵元が悪いという話ではありません。メーカーのカテゴリページは商品を並べる場所で、検索した人の疑問に答える記事ではないからです。
次に、楽天市場で同じ語を検索すると10,192件と表示されます(2026年8月19日時点)。ところが商品名を追うと、出てくるのは小鶴ZERO、辛口ゼロボール、のんある酒場レモンサワー、月桂冠スペシャルフリーあたり。同じ数商品の、ケース数違い・本数違い・ショップ違いが延々と並んでいるだけでした。ECの検索は在庫の単位で数えるので、商品の種類数とは別物なんですよ。
検索上位10件も、大半はメーカーのページ・ECの検索結果・商品データベース・動画で、記事らしい記事は3本だけ。いちばん新しいものでも2023年の更新です。
だからこの記事ではランキングも「○選」も作りません。代わりに、出した数字には全部取得日を打ちます。数年後に同じ批判が自分に返ってこないように。
唯一の1本「小鶴ZERO」を分解する|0.00%・300ml・290円
4つのソースが全部同じ場所を指していた、その1商品を分解します。鹿児島の小正醸造がつくる小鶴ZERO。おすすめもレビューもせず、どういう製品なのかをスペック・原材料・成り立ちの3方向から見ます。
スペック|どの数字が公式で、どれが公式でないか
先に表です。右端に「出典の種別」という列を置きました。どの数字がメーカー公式で、どれがそうでないかを分けないと、この商品は正確に書けないからです。
2つ断っておきます。ひとつ、アルコール分0.00%はメーカー公式サイトでは確認できませんでした。第三者のデータベースと楽天の商品名表記がそう書いている状態です。弱点なので隠さず表に書きました。
もうひとつ、発売は2011年4月1日。「2012年に開発された」という情報が複数流通していますが、2011年12月公開の取材記事が「今年4月の発売以降、わずか7カ月で10万本を突破」と書いているので、2011年4月発売で整合します。
| 項目 | 内容 | 出典の種別 |
|---|---|---|
| メーカー | 小正醸造(鹿児島県日置市) | メーカー公式 |
| 容量 | 300ml | 卸の商品データベース(専門店・EC・第三者DBとも一致) |
| 原材料 | さつま芋・米麹(国産米)、香料、酸味料、甘味料(アセスルファムK) | メーカー公式サイト |
| アルコール分 | 0.00%と表記されている | 第三者DBと楽天の商品名表記。メーカー公式サイトでは確認できず |
| 栄養成分 | 0kcal・糖質0g(100ml当たり) | 第三者DB(公式サイトに記載なし) |
| 価格 | 290円(内税・2026年8月時点)/焼酎専門店では289円(税込) | メーカー公式オンラインショップ・小売 |
| 発売日 | 2011年4月1日 | 卸の商品データベース |
原材料表示を読むと、香料・酸味料・甘味料が入っている
公式サイトに載っている原材料表示を、そのまま引きます。
「さつま芋・米麹(国産米)、香料、酸味料、甘味料(アセスルファムK)」
一方、この商品の説明としてよく見かけるのは「焼酎の製造過程から発酵過程を省いただけで、素材も製法もほぼ焼酎と変わりない」という言い方。さらに2011年12月の取材記事には、開発中の場面としてこう書かれています。
「香料で芋の香りを人工的に作れば、より焼酎の風味に近づけられるかもしれない。しかし、芋焼酎と同じ製法にこだわった。」
この3つは、正直、噛み合いません。レシピが変わったのか、当時の説明が部分的だったのか、私には分かりません。分からないので、どちらかを嘘だと決めつけることはしません。並べて渡すところまでが私の仕事です。「イメージと違う」「騙されている」と煽るつもりもありません。甘味料アセスルファムKが気になる方は人工甘味料の話へ。
なお小鶴ZEROはさつま芋と米麹を使った芋焼酎テイストで、分類でいえば乙類(単式蒸留)側の味を狙ったものです(甲類と乙類の違い)。
どう飲むもの?|飲み方の案内が載っているのは卸のデータベース
飲み方の案内は、メーカー公式サイトではなく卸の商品データベースのほうに載っています。そのまま引きます。
「小鶴ZEROはノンアルコールですが、温めて熱燗にするとお湯割りのような雰囲気になり、冷やすと水割りや、ロックのような雰囲気をお楽しみいただけます。」
温めれば「お湯割り側」、冷やせば「ロック側」に寄るという案内です。書かれているのは温度と雰囲気の話で、香りや味の描写ではありません。小正醸造の公式サイトのノンアルコールページにあるのは商品名と原材料表示だけで、飲み方の記載はありませんでした(2026年8月19日確認)。ここも出典の種別は分けておきます。
成り立ちのほうは取材記事に残っています。「ノンアルコールの焼酎はないか」という取引先や消費者の声を受けて開発に着手し、100回近い試行錯誤の末に完成。発売後7ヶ月で10万本を突破しています。ただしこれは2011年4〜11月の実績で、いまの人気を示す数字ではありません。
なお、この記事に味の感想は1行も書いていません。私はこの1本について、飲んだと書ける状態にないからです。
麦焼酎テイストのノンアルは、なぜ見つからないのか
「ノンアルコール焼酎 麦」「ノンアルコール麦焼酎」「麦焼酎 ノンアルコール」。この3つの語で月に合計300回以上検索されています。それだけ探している人がいるということです。
答えを先に書きます。麦焼酎テイストのノンアルは確認できませんでした(2026年8月19日時点)。
ただしここでは、さきほどの4つのソースをそのまま持ち出せません。4つのうち3つが、芋の側に寄っているからです。専門店のノンアルコール一覧は芋焼酎カテゴリの下にぶら下がったページですし、残る2つは芋焼酎の蔵元1社の公式ページと公式ショップ。麦のノンアルが世の中にあったとしても、そもそも出てこない場所を3つ数えていることになります。
麦を探せるのは、実質全260件を横断できる第三者データベース1つ。そこに麦焼酎テイストは1件も無かった——これが正確な書き方です。楽天の件数の中身を数えておいて、自分の根拠だけ4つに見せるのはフェアじゃないので、ここは弱いまま置いておきます。
では、なぜ芋だけなのか。ここも推測は書きません。唯一見つかった1商品を作ったのが鹿児島の芋焼酎の蔵元だった——書けるのはこの事実までで、理由を語った一次情報は見つかりませんでした。
ただ、麦焼酎を飲む人が求めているのは「麦の香ばしさ」と「お湯割りの温かさ」だと思うんですよ。そこに近づける方法は後半で書きます。
焼酎のノンアルは無いが、「焼酎ハイボールのノンアル」は大手が作っている

ここから先は別カテゴリの話です。焼酎そのものではなく、焼酎ハイボールという飲み方のノンアル。ここに来ると景色が変わります。作っているのは宝酒造とサントリー。どちらも大手です。
3商品を1枚に並べました。左が焼酎そのもの、真ん中と右が飲み方のノンアルです。
| 小鶴ZERO | タカラ 辛口ゼロボール | サントリー のんある晩酌 ハイボール | |
|---|---|---|---|
| 何のテイストか | 芋焼酎そのもの | 焼酎ハイボール(メーカー表記は「辛口ノンアルコールチューハイ」) | ハイボール(ウイスキー) |
| 食品としての品目 | 確認できず | 炭酸飲料 | 炭酸飲料 |
| アルコール分 | 0.00%(公式では未確認) | 0.00%(公式) | 0.00%(公式) |
| 容量 | 300ml | 350ml(500mlもあり) | 350ml |
| 価格と時点 | 290円 内税/公式ショップ・2026年8月 | 参考小売価格131円 税抜/2025年2月リリース時点 | 希望小売価格158円 税別/2023年6月発売時点 |
| 味の作り方 | 香料・酸味料・甘味料で組み立てる | 焼酎ハイボールの味を濃縮したエキスを使う | ウイスキー原酒からアルコールを抜く |
| 甘味料の扱い | 甘味料(アセスルファムK)を使用 | 「甘味料ゼロ」を掲げる(食品添加物の甘味料不使用という意味) | 確認していない |
タカラ「辛口ゼロボール」|焼酎ハイボールの味を濃縮したエキスを使う
宝酒造が2022年10月4日に発売し、2025年3月以降に順次リニューアルしている商品です。メーカー自身の呼び方は「辛口ノンアルコールチューハイ」で、商品名に「焼酎」の2文字は入っていません。
作り方の説明は具体的です。2022年の新発売リリースにこうあります。
「アルコールを含まずにタカラ「焼酎ハイボール」のおいしさを濃縮した“タカラ「焼酎ハイボール」エキス”を新たに開発し使用しています。」
狙う味は、ブランドサイトの言葉を借りれば「大衆酒場で愛されている“焼酎ハイボール”のようなキレッキレで爽快な味わい。」だそうです。
規格はアルコール分0.00%、350ml。参考小売価格は131円(消費税抜き)で、2025年2月18日のリリース時点の数字です。なお「参考小売価格」は「定価」ではなく、実際の売値を拘束しないものなので店頭価格は上下します。
ラインアップはオリジナル(350ml・500ml)、ジンジャエールと季節限定の夏のライムミント(ともに350mlのみ)。2026年8月19日にブランドサイトで確認した構成です。本家にあたるお酒のほうは宝焼酎ハイボールは体に悪い?で扱っています。
取り扱いのない地域もあるので、価格と在庫はネットで見ておくと確実ですよ。
サントリー「のんある晩酌 ハイボール」|ウイスキー原酒からアルコールを抜く
もう1本は、サントリーが2023年6月27日に発売したものです。作り方の考え方がまったく違います。リリースの逐語を引きます。
「厳選されたウイスキー原酒から極力熱をかけずにアルコール分を取り除く『ハイボールありのまま製法』により、おいしさとアルコール度数0.00%の両立を実現しました」
エキスで味を組み立てるのではなく、できあがった酒からアルコールだけを抜くという発想です。350ml・0.00%で、希望小売価格158円(税別・2023年6月の発売時点)。こちらも「価格は販売店の自主的な価格設定を拘束するものではありません」と注記されています。
念のため、これはウイスキーの話であって、焼酎の話ではありません。「焼酎でも同じことができる」とも「できない」とも私は書けません。書けるのは、蒸留酒からアルコールを抜く製法が現に商品として成立している、という事実までです。
焼酎については、「飲み方のノンアル」のほうが商品が多い
上の表から見えるのは、焼酎については、酒そのもののノンアルより飲み方のノンアルのほうが商品が多いということです。前者は1つ、後者は少なくとも2つ、作り手は大手2社。
ただ、この言い方が粗いことも認めておきます。のんある晩酌ハイボールはウイスキー原酒からアルコールを抜いたうえでハイボールの形にしたもので、両方の性格を持っています。だから書けるのは、市場全体の方向ではなく焼酎というカテゴリに限った、商品数という指標での観測だけです。
ジンやウイスキー、ラム系にはノンアルスピリッツという第3の選択肢もありますが、焼酎テイストは確認できませんでした(ノンアルコールカクテルの記事)。
「焼酎エキス」で酔うのか|0.00%と「ゼロ表示」の実際
ここからは、買う前に引っかかりやすい表示の話です。「焼酎エキス」という原材料名を見て不安になった方に向けて、表示のルールだけを短く整理します。
「焼酎エキス」が入っていても、表示は0.00%
線引きを短く書きます。酒税法ではアルコール分1度以上の飲料が「酒類」(第2条第1項)。業界の自主基準ではノンアルコール飲料と名乗れるのは0.00%のものと定義されています。そして辛口ゼロボールの原材料にある「焼酎エキス」は焼酎ハイボールの味を濃縮した原料の名前で、製品のアルコール分は0.00%と表示されています。
つまり、表示を信じるなら「焼酎エキスで酔うのでは」という心配は要りません。0.00%と1度未満の違いや微アルコールの扱いはノンアルコールカクテルの記事にまとめてあります。
「カロリーゼロ」は0kcalではない|ゼロ表示の閾値
次に、缶に並ぶ「ゼロ」の意味です。宝酒造が自社リリースの注記で基準をはっきり書いてくれています。
「食品表示基準による。100ml当たりエネルギー5kcal未満をカロリーゼロと表示」「100ml当たり糖質0.5g未満を糖質ゼロと表示」、そして別の注記として「100ml当たりプリン体0.5mg未満をプリン体ゼロと表示」。表にすると、こうなります。
| 表示 | 表示できる基準(100ml当たり) | 350ml缶に換算した理論上の上限 | 出典の別 |
|---|---|---|---|
| カロリーゼロ | 5kcal未満 | 17.5kcal弱 | 食品表示基準によるとメーカーが注記 |
| 糖質ゼロ | 0.5g未満 | 1.75g弱 | 同上 |
| プリン体ゼロ | 0.5mg未満 | 1.75mg弱 | メーカーの別注記(業界の表示慣行) |
- 右から2列目は理論上の上限で、実際にそれだけ入っているという意味ではありません
- カロリーと糖質は「食品表示基準による」とされていますが、プリン体は別の注記です。同じ根拠として混ぜないでください(ハイボールのプリン体)
- 「甘味料ゼロ」は食品添加物の甘味料を使っていないという意味。糖類(果糖ぶどう糖液糖など)が使われることはあります
- 小鶴ZEROは甘味料(アセスルファムK)を使用しています。同じ「ゼロ」でも作り方は対照的です
法的な品目は「炭酸飲料」|お酒ではない
辛口ゼロボールのリリースの【商品概要】には「品目:炭酸飲料」と明記されています。のんある晩酌ハイボールも品目は炭酸飲料です。
焼酎ハイボールのノンアル版でありながら、法的な区分は酒類ではなく炭酸飲料。酒税法で酒類になるのは1度以上なので、0.00%はそもそも酒ではない、というだけの話です。
0.00%なのに、20歳未満には売られない理由
酒でないなら誰でも買えるのか。業界の自主基準にはこうあります。
「製品に20歳以上の者を対象としている旨を表示する。」(Ⅳ3(1))
「酒類については小売業者に対する販売管理研修において区分陳列及び年齢確認の上、消費者に販売するよう指導されていることに鑑み、ノンアルコール飲料についても同様に対応するものとする。」(Ⅳ4)
実際、小正醸造の公式オンラインショップは0.00%の小鶴ZEROの商品ページでも年齢確認を求めてきます(2026年8月19日確認)。
法律で20歳未満への販売が禁じられているのは、酒類=アルコール分1度以上のものです。0.00%は酒税法上の酒類ではありません。年齢確認は飲酒に関する連絡協議会(9団体)の自主基準に基づく業界の運用です(制定 昭和63年12月9日/最終改正 令和8年7月1日)。法令とは別の物差しだと覚えておくと混乱しません。

ノンアルコールビールを焼酎で割るのは、「ノンアル」ではない
検索していると、逆向きの言葉が混ざって出てきます。「ノンアルコールビール 焼酎割り」。ノンアルを探す話ではなく、ノンアルを割り材として使う話です。月に300回近く検索されているのに、正面から答えている記事が見当たらないので書いておきます。
私自身、キンミヤをホッピーで割るのはよく飲むやり方なので、否定する気はまったくありません。そのうえでひとつだけ。ノンアルコールビールが0.00%でも、そこに焼酎を入れれば、その焼酎の純アルコールはそのまま残ります。
厚生労働省のガイドラインの計算式は、純アルコール量(g)=摂取量(ml)×度数/100×0.8。
- 焼酎25度を60ml入れた場合:60 × 0.25 × 0.8 = 12g
- ビール中ジョッキ1杯(350ml・5%):350 × 0.05 × 0.8 = 14g
つまり焼酎を60ml入れた1杯には、ビール1杯に近い量のアルコールが入っている。前提は「焼酎60ml」で、30mlなら6gと半分以下です。量を書かずに「多い」「少ない」は言えません。
体に悪いという話ではなく、この1杯は、飲まない日の飲み物としては数えられないということだけです。中身の計算はキンミヤ焼酎のカロリーとキンミヤ焼酎は体に悪い?で扱っています。

なぜ焼酎だけ、ノンアルが作られないのか
ここからは「無い理由」です。ただ、先に断っておきます。私は答えを持っていません。持っているのは、出典のある事実がいくつかと、確認できなかったという事実だけ。それでも並べる価値はあると思うので、順に置いていきます。
焼酎の定義は「発酵させたもろみを蒸留したもの」
酒税法第3条第10号は、単式蒸留焼酎を穀類や芋類とそのこうじ・水を原料として発酵させたアルコール含有物を、単式蒸留機で蒸留したものと定義しています。国税庁『酒のしおり』の製造工程図も、原料→製麹→発酵→単式蒸留→原酒→ろ過→貯蔵という並びです。
ここから分かるのは単純な事実です。発酵を省くと、蒸留する対象そのものが無くなります。だから「発酵過程を省いただけ」という説明には無理が出る。逆に、小鶴ZEROの原材料に香料・酸味料・甘味料が並ぶのには筋が通っています。蒸留で移すはずだった香りを、別の方法で組み立てているからです。
念のため。これは「だから焼酎テイストのノンアルは作れない」という話ではありません。現に小鶴ZEROは存在します。ここで説明したのは原材料表示の読み方だけです。
技術の問題ではない|ウイスキーでは脱アルコールが商品化されている
「蒸留酒だからノンアル化が難しい」という説明もよく見かけます。ただ、さきほどのサントリーの「ハイボールありのまま製法」はウイスキー原酒からアルコールを取り除いて0.00%にするというものでした。「蒸留酒だから技術的に無理」では、焼酎の不在を説明できません。
では何が理由なのか。「香味成分がアルコールに溶けているので抜くと何も残らない」「脱アルコールはコストが高い」「焼酎は価格が安いので採算が合わない」。いずれももっともらしく、実際に流通している説明です。
ですが、メーカーや業界団体がそう語っている一次情報を、私は見つけられませんでした。見つけられなかったものを、それらしく書くことはしません。ここは空白のままにしておきます。
「ノンアル焼酎」という商品名が棚に並びにくい事情
制度の側に、ひとつ効いていそうな条文があります。さきほどの業界自主基準です。
「既存のアルコール飲料と同一のブランド名及び誤認を招くような類似する意匠は使用しない。」(Ⅳ3(2))
宝酒造が「焼酎ハイボール ノンアルコール」ではなく「辛口ゼロボール」という別の名前を採用し、自社では「辛口ノンアルコールチューハイ」と呼んでいるのは、この条文と整合的です。つまり「ノンアル焼酎」という直球の商品名は、そもそも棚に並びにくい。探しても名前で引っかからないわけです。
ただし、これで説明がつくのは名前の付け方までです。宝酒造は現に別の名前を用意して商品を出しているのだから、この条文は商品そのものを止めていません。「探しても名前で見つからない」ことの説明にはなっても、「作られない」ことの説明にはならない。ここは分けて読んでください。
これは制度の説明で、個別の商品がこの基準をどう満たしているかを私が判定する話ではないので、そこには踏み込みません。
縮んでいるカテゴリと、伸びているカテゴリ
最後に市場の規模を並べます。国税庁『酒のしおり(令和7年7月)』の課税数量から、平成25年度と令和5年度を比べたものです。
| 品目 | 令和5年度の課税数量 | 対平成25年度比 |
|---|---|---|
| 単式蒸留焼酎(本格焼酎) | 360,449kL | 70.4% |
| 連続式蒸留焼酎(甲類) | 300,990kL | 68.5% |
| ウイスキー | 205,408kL | 187.5% |
| スピリッツ等 | 1,057,652kL | 282.2% |
- 令和5年度が最新です。2026年のいま読むと2年前のデータになります
- 原資料の注記:スピリッツ等には原料用アルコールを含みます
- ビールは令和5年度に発泡酒が急増しており(酒税の一本化の影響)、単純な人気の増減として読めない品目があります
- ノンアル飲料DBの件数(ビール96・サワー80に対し焼酎1)と、宝酒造がリリースに書いている「ノンアルコール飲料市場は…特に、チューハイテイストが注目を集めています。」という一文も同じ方向を向いています
- ただし「焼酎が売れないからノンアル焼酎が作られない」とは書きません。並べただけで、因果は確かめていません
どこで買えるか|コンビニ・スーパー・イオン・ネット
買う場所の話です。ここも「確認できた範囲では」という前置きつきで書きます。
- 小鶴ZEROはメーカー公式オンラインショップ・焼酎専門店・ECで買えます(2026年8月時点)。公式ショップで290円(内税)、焼酎専門店で289円(税込)
- コンビニの定番棚にあるかは確認できていません。ノンアル棚の主力はビールテイストとチューハイテイストです
- 辛口ゼロボールやのんある晩酌ハイボールは、コンビニやスーパーのノンアル棚で見かけます
- イオンなどの量販店の品揃えは確認していません。「買える」とも「買えない」とも書けません
正直、焼酎テイストのノンアルを店頭で探すのは効率が悪いと思います。ではネットなら気軽か、というとここに落とし穴がありました。1本の値段ではなく、送料を含めた総額で見てください。2026年8月19日時点で確認した条件を並べます。
| 買い方 | 本体価格 | 送料の条件 | 1本あたりの総額 |
|---|---|---|---|
| メーカー公式オンラインショップで1本 | 290円(内税) | 地域別に800〜1,630円。送料無料は商品合計13,000円以上 | 1,090〜1,920円 |
| 焼酎専門店で1本 | 289円(税込) | 店ごとの送料規定による(未確認) | 289円+送料 |
| Amazonで12本ケース | 約3,200円 | ケースは送料無料 | 約267円 |
- 「まず1本だけ」がいちばん高くつきます。300mlの小瓶1本のために、本体の3〜6倍の送料を払う形になるからです
- 公式ショップの送料無料ラインは商品合計13,000円以上。小鶴ZERO(290円)だけで届かせるのは現実的ではありません
- ケースは多すぎると感じるなら、買わないという選択も含めて考えていいと思います。飲まない日の代わりは、この先で別に用意しました
- 価格も送料もいずれも2026年8月19日時点のものです。変わります
飲まない日に、焼酎の代わりに何を飲むか

ここからが、たぶんいちばん実用的な話です。「無い」で終わらせても、飲まない日は来ます。飲み物選びに限定して書きます(飲まない日そのものの作り方は晩酌がやめられないという話へ)。
お湯割りの代わりなら、そば茶や麦茶が方向として近い
焼酎のお湯割りが持っているものを分解すると、香ばしさと温かさ、それからゆっくり飲めることの3つだと思うんですよ。この3つなら、そば茶や麦茶で方向としては近づけます。麦焼酎テイストのノンアルが見つからない、という話への現実的な答えがこれです。ただし同じ味にはなりません。近いのは香ばしさの方向だけです。
近づけるコツは、中身より飲み方の側にあります。お湯割りに使うのと同じ厚手の器で、同じ席で飲む。器が変わると「別の飲み物を飲んでいる」感じが強く出ます。濃さも、薄いと一気に物足りなくなるので気持ち濃いめに。なお、そば茶はそばアレルギーのある方は避けてください。
ソーダ割りの代わりなら、強炭酸+レモン、または苦味を足す
焼酎のソーダ割りのほうは、求めているものが違います。こちらはキレと炭酸の刺激です。
我が家には炭酸水メーカーがあって、これはもう何年もリピートして使っています。飲まない日に強めの炭酸をその場で作れるというだけで、選択肢がずいぶん変わりました。氷をたっぷり入れて、強めの炭酸を注いで、レモンを搾る。これで「ソーダ割りの外側」はだいたい再現できます。
足りないものを甘さで埋めようとすると、かえって遠ざかります。物足りなさの正体は甘さではなく、苦味と刺激です。トニックウォーターを少しだけ混ぜると、ぐっと近づきますよ。
もちろん焼酎ハイボールと同じにはなりません。ただ、見た目と口に入れたときの刺激が揃うと、人間は案外だまされてくれます。強炭酸は市販の炭酸水でも十分で、ガス圧が高いタイプのほうがレモンを入れても抜けにくいです。
いちばん手っ取り早いのは、焼酎ハイボールのノンアル缶をそのまま飲むこと
ここまで書いておいてなんですが、いちばん手っ取り早いのは辛口ゼロボールやのんある晩酌ハイボールを冷やしてそのまま飲むことです。焼酎の代わりを探すなら、「焼酎そのもの」より「飲み方」で探すほうが選択肢が多い。

焼酎1杯をノンアルに替えると、何が減るのか
最後に、算術だけ置いておきます。前提はロック1杯=焼酎60ml・25度。この前提を書かずに数字だけ出すと、同じ飲み方に違う数字が並ぶことになるので、必ずセットで読んでください。
純アルコール量は 60 × 0.25 × 0.8 = 12g。0.00%に替えればこの12gがそのまま減ります。エネルギーのほうは表にします。
| 焼酎ロック1杯(焼酎60ml・25度) | 純アルコール量 | エネルギー | 出典と導出 |
|---|---|---|---|
| 甲類(連続式蒸留)25度 | 12g | 約83kcal | 度数からの計算値。当ブログの正典と同じ値 |
| 乙類(単式蒸留)25度 | 12g | 約84kcal | 成分表144kcal/100g × 0.970 = 139.7kcal/100mL × 0.6 |
| ノンアル(0.00%) | 0g | 表示上ゼロ | 表示できる基準は100ml当たり5kcal未満 |
分かるのは算術まで。そこから先は書きません
「1杯やめれば健康になる」という書き方は、私にはできません。体質も体調も人によって違いますし、そこを断言できる根拠を持っていないからです。
分かるのは、その1杯に入っていた純アルコール12gと、約83〜84kcalが無くなるという算術だけ。数字が分かれば、あとは自分で決められます。飲む日は適量を守って楽しみましょう。

焼酎のノンアルコールについてよくある質問
本文で書ききれなかった、表示と法律まわりの質問をまとめます。本文の要約になる質問は置いていません。
Q. 妊娠中・授乳中に飲んでもいいですか?
医学的な可否は私には書けません。書けるのは2つです。表示上のアルコール分は0.00%であること。そして業界の自主基準が「健康上の理由で禁酒・断酒している人や妊産婦をターゲットとした広告やキャンペーン、サンプリングは行わない」としていること。ただしこれはメーカーが妊産婦向けとして売り込まないという広告のルールであって、「妊娠中に飲んではいけない」という意味ではありません。不安があれば主治医に確認してください。
Q. アルコール0.00%なのに、なぜ20歳未満は買えないのですか?
法律ではなく、業界9団体の自主基準に基づく運用だからです。酒税法で「酒類」になるのは1度以上のもので、0.00%は酒類ではありません。自主基準が「ノンアルコール飲料についても(酒類と)同様に対応する」と定めているため、販売側が年齢確認をします。
Q. 運転前に飲んでも大丈夫ですか?
0.00%と表示されているものは酒税法上の酒類ではありません。ただし「大丈夫です」と私が断言することはしません。0.00%ではない微アルコール飲料との区別や道路交通法との関係はノンアルコールカクテルの記事で整理しているので、運転前に飲むなら必ず自分の目で表示を確かめてください。飲酒後の運転は絶対にしないでください。
Q. ノンアルコール焼酎は自分で作れますか?
焼酎そのものの再現は家庭では無理です。発酵させたもろみを蒸留してつくるものなので設備が要りますし、家庭でお酒をつくること自体が酒税法上の問題になります。やらないでください。近づけたいなら、そば茶・麦茶の香ばしさ、強炭酸+レモンのキレ、トニックの苦味という方向が現実的です。
最後に、数字ではなく私の実感も書いておきます。ノンアルの焼酎系を飲んでみた正直な感想は、「本物にはもちろん勝てない」です。そこは期待しすぎないほうがいい。ただ、味が好きな人には十分にありだと思っています。そして何より、昔飲んだノンアルと比べると明らかに進化を感じます。「ノンアルはまずい」で止まっている人は、一度いまのものを飲んでみる価値があります。
まとめ|「無い」と分かったうえで、飲まない日をどう組み立てるか
最後に整理します。
- 焼酎テイストのノンアルは、4つのソースを横断しても1商品だけ。麦焼酎テイストは確認できませんでした(2026年8月19日時点)
- 「日本に1つ」ではなく「4つ数えても1つ」です。数え方の限界も本文に書きました
- 焼酎ハイボールのノンアルは宝酒造とサントリーが出していて、「飲み方」で探すほうが選択肢は多い
- ノンアルコールビールを焼酎で割った1杯はノンアルではありません(焼酎60mlで純アルコール12g)
書き始めたときは「自分の探し方が下手なだけだろう」と思っていました。数えてみたら、本当に1つしか出てこなかった。無いものは無い、と分かるだけでも探す時間は減ります。
飲まない日の1杯くらいは、自分で選びたいと思っています。


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