マッコリ、飲んだことがあります。正直に言うと、飲みやすいお酒でした。ただ、好みは分かれると思います。
先に答えを書きます。「マッコリだから体に悪い」と言える根拠は、公式スペックにも公的な資料にも見当たりませんでした。決めているのは、注いだ杯に入っている純アルコールの量のほうです。しかも日本で売られているマッコリは、同じ棚に6度と8度が並んでいます。同じ1杯でも、中身が1.33倍違うということなんですね。
で、さっきの「飲みやすい」というのが曲者でしてね。飲みやすい酒は、そのまま「量が読めなくなる酒」でもあるんですよ。
「マッコリ 体に悪い」で調べると、まず乳酸菌の話が出てきます。この記事はそこから始めません。杯から始めます。
- 「マッコリだから体に悪い」と言える根拠は確認できなかった
- 決めているのは杯に入る純アルコール量。1杯200mlなら6度で9.6g、8度で12.8g
- 同じメーカーの同じ1Lペットで常温品6度・生8度。ただし常温の瓶360mlは8度、生の750mlは6度なので、「生だから度数が高い」も成立しない
- 酒類は機能性表示食品の対象外で、トクホの許可要件からも外れている。乳酸菌の話は国の制度を1つも通っていない
- 生マッコリのほうに人工甘味料が入り、生ではない米マッコリのほうが「人工甘味料無添加」という組み合わせが公式表示にある


マッコリが体に悪いかを決めているのは、杯に入る純アルコール量

結論から書きます。「マッコリだから体に悪い」と言える根拠は、メーカーの公式スペックにも公的な資料にも見当たりませんでした。
決めているのは、注いだ杯に何グラム入っているか。乳酸菌でも、米でもありません。
ただし「根拠が見当たらない=安全」という意味ではありません。アルコールそのものは残りますし、杯が増えればその分だけ増えます。
では、マッコリの1杯は何グラムなのか。ここは公式に書かれている度数と容量だけで計算できます。
同じやり方でウイスキーの1杯を数えたのがウイスキーは体に悪い?の記事です。他の酒の1杯と比べたい方は、あわせてどうぞ。
この記事では、コップ1杯を200mlとして数えます
この記事の「1杯=200ml」は、私が計算のために置いた仮定です。公的に定められた1杯ではありません。
家で使っているグラスが150mlなら150mlで、コップが250mlなら250mlで置き換えてください。大事なのは数字そのものより、自分の器を単位にして数えられるかどうかのほうです。
計算式は、厚生労働省のガイドラインにそのまま載っています。
純アルコール量(g)=摂取量(ml)×アルコール濃度(度数/100)×0.8(アルコールの比重)(厚生労働省「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」2024年2月19日)
比べるための例も、同じガイドラインの中にあります。
例: ビール 500ml(5%)の場合の純アルコール量 500(ml) × 0.05 × 0.8 = 20(g)(同ガイドライン)
ビールの500ml缶1本で20g。この20gを物差しにすると、マッコリの1杯がどのくらいなのかが見えてきます。
6度と8度で、同じ1杯が1.33倍違う
同じ式に、マッコリの度数を入れるだけです。6度と8度を並べたのは、同じメーカーの同じ1Lペットで、この2つが並んでいたからです(次の章で公式スペックを引きます)。現行品には5度もあるので、表には5度の行も入れました。1杯=200mlはこの記事が置いた仮定です。
| 度数 | 1杯(200ml) | 2杯 | 3杯 | 4杯 | 男性40gに届く杯数 | 女性20gに届く杯数 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 5度 | 8.0g | 16.0g | 24.0g | 32.0g | 5.0杯 | 2.5杯 |
| 6度 | 9.6g | 19.2g | 28.8g | 38.4g | 約4.2杯 | 約2.1杯 |
| 8度 | 12.8g | 25.6g | 38.4g | 51.2g | 約3.1杯 | 約1.6杯 |
「届く杯数」の2列は何の数字か|公的な線は「1日あたり男性40g・女性20g」
6度なら1杯で9.6g、8度なら12.8g。12.8÷9.6で、約1.33倍です。
同じ器に、同じように注いで、同じ「1杯」と数えている。それでも中身は1.33倍違う。杯で数えているかぎり、この差は見えないんですよ。
1.33倍は割り算の結果であって、8度のほうが危険だという意味ではありません。
表の「男性40gに届く杯数」「女性20gに届く杯数」の2列は、厚生労働省のガイドラインから引いた数字です。そのまま引用します。
令和6年度開始予定の健康日本21(第三次)では、「生活習慣病(NCDs)のリスクを高める量(1日当たりの純アルコール摂取量が男性40g以上、女性20g以上)を飲酒している者の減少」(※)を目標とし、男女合わせた全体の目標値として10%を設定し、健康づくりの取組を推進することとしています。 ※これらの量の飲酒をしている者の減少を目標としたものです。なお、これらの量は個々人の許容量を示したものではありません。(同ガイドライン)
大事なのは※の一文です。これは集団としての目標であって、一人ひとりの許容量ではない、と原典が自分で書いています。
だから私は「何杯までなら大丈夫」とは書きません。書けるのは、何杯目でその線に届くかまで。
6度なら男性が約4.2杯・女性が約2.1杯。8度なら男性が約3.1杯・女性が約1.6杯です。
8度のマッコリだと、男性は4杯目の途中(約3.1杯)で、女性は2杯目の途中(約1.6杯)で目標の線に届く計算です。3杯の時点で38.4g。40gの手前まで来ています。

まずラベルの度数を見る|マッコリは6度と8度が同じ棚に並んでいる
「マッコリの度数は6〜8度」。幅のある書き方をよく見ます。
では、この幅はどこから来ているのか。公式スペックを並べて確かめました。
答えは単純でした。製品ごとに度数が違うからです。
以下はすべて、2026年9月19日時点でメーカー(輸入元)の公式サイトに掲載されていたスペックです。同じ韓国の酒だと、鏡月は体に悪い?の記事でも同じように公式表示から確かめています。
同じメーカーの同じ1Lペットで、6度と8度が並んでいる
二東ジャパン(E-DON)の公式サイトから、2つの商品スペックをそのまま引きます。
容 量 1000㎖/保 管 常温/アルコール分 6度/区 分 リキュール/賞味期間 12ヶ月(二東ジャパン「二東マッコリ(ペットボトル)」JANコード 8809677330159・2026年9月19日時点)
容 量 1000㎖/保 管 冷蔵/アルコール分 8度/区 分 リキュール/賞味期間 3ヶ月(二東ジャパン「二東生マッコリ(ペットボトル)」JANコード 8809677330166・2026年9月19日時点)
同じメーカーの、同じ1Lのペットボトルです。それでも6度と8度。
1本まるごと空けたとして計算すると、こうなります。
| 二東マッコリ(ペットボトル)1000ml | 二東生マッコリ(ペットボトル)1000ml | |
|---|---|---|
| 保管 | 常温 | 冷蔵 |
| アルコール分 | 6度 | 8度 |
| 区分 | リキュール | リキュール |
| 賞味期間 | 12ヶ月 | 3ヶ月 |
| 200mlの杯で何杯ぶん | 5杯 | 5杯 |
| 1本の純アルコール量 | 48.0g | 64.0g |
「生だから度数が高い」わけではない
差は16.0gです。この16.0gという差は、ビールの350ml缶1本ぶん(5度で14.0g)より大きいんですよ。
では「生が8度で、常温が6度」なのかというと、そうでもありませんでした。
同じ二東の瓶入り360mlは、保管が常温(生ではない製品)なのにアルコール分8度。
容 量 360㎖/保 管 常温/アルコール分 8度/区 分 リキュール/賞味期間 12ヶ月(二東ジャパン「二東マッコリ(瓶)360㎖」JANコード 8809677330128)
逆に、同じ二東の「E-DON生マッコリ750㎖」は冷蔵の生なのに6度です。
容 量 750㎖/保 管 冷蔵/アルコール分 6度/区 分 リキュール/賞味期間 120日(二東ジャパン「E-DON生マッコリ750㎖(ペットボトル)」JANコード 4589454730054)
つまり、生か殺菌かと度数は対応していません。「生だから強い」「常温だから弱い」という当たりの付け方ができない、ということです。
なぜ製品ごとに度数を変えているのか。その理由は公式に説明が見当たらなかったので、ここは推測しません。
分かっているのは、銘柄の知識ではなく、ラベルを見るしかないということだけです。
売られているボトルは、200mlの杯で何杯ぶんか
買う前に見当がつくように、上の二東1Lペット2本を除いて、公式スペックを確かめた主な製品を「200mlの杯で何杯ぶんか」に並べ替えました。ここでも1杯=200mlはこの記事の仮定です。
※表の度数が「6%」と「6度」で混ざっているのは、メーカー公式の表記に合わせているためです。
| 製品(メーカー公式) | 度数 | 200mlの杯で何杯ぶん | 1本の純アルコール量 |
|---|---|---|---|
| 二東マッコリ(瓶)360ml | 8度 | 1.8杯 | 約23.0g |
| JINROマッコリ 375ml | 6% | 約1.9杯 | 18.0g |
| 麹醇堂生マッコリ 750ml | 6% | 3.75杯 | 36.0g |
| 麹醇堂米マッコリ 750ml | 6% | 3.75杯 | 36.0g |
| E-DON生マッコリ 750ml | 6度 | 3.75杯 | 36.0g |
| 麹醇堂1000億プリバイオマッコリPET 750ml | 5% | 3.75杯 | 30.0g |
| JINROマッコリ 1L | 6% | 5杯 | 48.0g |
小さい容器ほど、度数を見落としやすい
表を見ていて、いちばん引っかかったのがここでした。飲み切りサイズに見える360mlの小瓶でも、8度なら1本で約23.0g。ビール500ml(5%)の20gを超えています。
容器が小さいほど、度数を見ないまま1本空けてしまう。私はここがいちばん危ないと思っています。
度数の幅について、もう1つだけ。眞露(JINRO)の公式サイトには4%のフレーバー品(マンゴー/ピーチ・各750ml)も載っていますが、こちらは「※製造終了」と明記されています。
現行品として数えられるものではないので、この記事の表には入れていません。いま買える製品だけで見ると、5〜8度です。
「マッコリは体に悪い」と言われるとき、何が指されているのか
「体に悪い」で調べる人が気にしているのは、だいたいこの4つだと思います。
- 太るのではないか(カロリー・糖質)
- 肝臓に負担がかかるのではないか
- 翌日に残るのではないか
- 眠りが浅くなるのではないか
ここで分けたいのは、この4つが「マッコリ固有の性質」なのか、それとも「杯に入った純アルコール量の話」なのか、です。
調べた範囲での答えは、4つとも後者でした。太るも、肝臓も、翌日も、眠りも、「マッコリだから」と言える根拠は公式スペックにも公的な資料にも見当たらず、残ったのはどの酒にも共通する「杯に何グラム入ったか」の話です。
私はマッコリを飲みやすいと感じました。そして飲みやすい酒は、杯が進みやすい。これは味の良し悪しではなく、行動の話です。
だから「マッコリは太る」「マッコリは二日酔いしやすい」とは書きません。体質の差が大きく、当ブログで判定できる範囲を超えているからです。書けるのは、量の揃え方までです。
成分表示の数字だけでは決まらない、という話はジンは体に悪い?の記事にも書きました。
「太る」について|そもそも公式のカロリー表示が無い
確かめようとして、逆に分かったことがあります。
日本食品標準成分表(2020年版・八訂/増補2023年)に、マッコリは収載されていません。し好飲料類の酒類34行を全文検索して0件でした(2026年9月19日確認)。同じアジアの醸造酒でも、紹興酒は16013番として載っているのに、です。
さらに、調べた範囲(二東ジャパン・百歳酒ジャパン・眞露の公式商品ページ)で、エネルギーや炭水化物の栄養成分表示を載せている製品は見つかりませんでした。
その理由は制度の側にあります。国税庁のQ&Aに、酒類は「栄養成分(たんぱく質、脂質、炭水化物及びナトリウム)の量及び熱量」の表示を省略できる、と書かれています(国税庁「食品表示法における酒類の表示のQ&A」問25・平成30年7月版)。公式の数字が無いのは制度どおりで、メーカーが隠している、という話でもありません。
だから、ネットで見かけるマッコリのカロリーの数字は、この記事では使いません。出典をたどれなかったからです。書けるのは「日本の成分表には載っていない」「調べた公式サイトには表示が無かった」という事実まで。
つまり「太るか」も、マッコリ固有の数字では見られません。見るのは他の酒と同じで、度数と容量、そこから計算できる純アルコール量です。杯が増えれば、入っている純アルコールもその分だけ増える。そこはマッコリでも変わらないんですよ。
「翌日つらい」「眠りが浅い」について
ここは原因を断定しません。体質の差が大きすぎます。
代わりに、切り分けの手順を1つだけ置いておきます。「マッコリのせいか」を考える前に、飲んだ純アルコール量が前回と同じだったかを確かめる。これが先です。
というのも、6度のつもりで8度のマッコリを3杯飲むと、28.8gが38.4gになります。
差は9.6g。6度の1杯まるまる多く飲んだのと、同じことなんですよ。
銘柄を変えただけのつもりでも、杯の中身は変わっている。まずそこを揃えてから体調の話をしたほうが、原因にたどり着くのは早いと思います。
逆に言えば、量を揃えても同じことが起きるなら、それは量以外の何かかもしれません。そこから先は、私ではなく医師の領域です。
量が増えているかもしれないと感じたら
飲む量や回数が増えている気がする、というときに相談できる窓口が、公的に用意されています。
各都道府県に精神保健福祉センターがあり、本人でも家族でも相談できます。窓口の一覧は厚生労働省のページにまとまっています。
飲む量や飲み方が気になってきたときは、各都道府県の精神保健福祉センターで相談を受け付けています(厚生労働省・こころの健康相談)。

乳酸菌について、何が言えて何が言えないのか
マッコリといえば乳酸菌。ここを避けては通れません。
ただ、この記事は乳酸菌が体にどう働くかには触れません。代わりに、どこまでが確かめられていて、どこからが確かめられていないのかを、制度の側から整理します。
表にすると、こうなります。
| 内容 | 根拠 | |
|---|---|---|
| 確かめられる | 生マッコリは加熱処理をしていない(製法の記述) | メーカー公式の商品説明 |
| 確かめられる | メーカーが本数あたりの菌数を公表している(約80億個/1000億個) | 百歳酒ジャパン 公式商品ページ |
| 確かめられる | 酒類は機能性表示食品の対象にならない | 国税庁Q&A 問24/食品表示基準第2条第1項第10号 |
| 確かめられる | 酒類の栄養機能食品表示は望ましくないとされている | 国税庁Q&A 問27 |
| 確かめられる | 酒類は特定保健用食品(トクホ)の許可要件からも外れている | 消費者庁 トクホ審査等取扱い及び指導要領 3(5) |
| 確かめられない | その菌が体にどう働くか | 届出制度の対象外のため、公的に確かめられた情報が存在しない |
| 確かめられない | 加熱殺菌で菌がどうなるか | 日本の輸入元公式に測定値の記載なし |
「確かめられない」は「効かない」ではない
表の読み方を、先に1つだけ。
「確かめられない」は「効かない」という意味ではありません。「制度の上で確かめる仕組みが用意されていない」という意味です。
ここを混ぜると、話が一気におかしくなります。確かめられていないものを、良いとも悪いとも言えない。それだけのことなんですよ。
では、その「制度」とは具体的に何なのか。条文まで下りていきます。
酒類は、機能性表示食品の対象から外れている
根拠は、国税庁が出している「食品表示法における酒類の表示のQ&A」です。問24をそのまま引きます。
(問24 酒類は、機能性表示食品の対象となりますか。)機能性表示食品※の対象から、アルコールを含有する飲料は除外されているため、酒類は対象となりません。(食品表示基準第2条第1項第10号)(国税庁「食品表示法における酒類の表示のQ&A」平成30年7月版。2026年9月19日時点で国税庁サイトに掲載されている本編はこの版のみ)
根拠になっている条文の側も同じです。食品表示基準第2条第1項第10号ハ(3)は、対象外の食品として「アルコールを含有する食品(アルコールを人体に摂取するためのものに限る。)」を挙げています(消費者庁「機能性表示食品の届出等に関する手引き」令和7年10月1日一部改正版に収録)。
栄養機能食品と特定保健用食品(トクホ)も、扱いは変わりません。同じQ&Aの問27は「酒類について、栄養機能食品の表示をすることは望ましくないと考えます」とし、トクホは許可の要件そのものに「アルコール飲料ではないこと」が入っています(消費者庁「特定保健用食品の審査等取扱い及び指導要領」3 許可等の要件(5)・令和7年4月23日最終改正)。
つまりマッコリに限らず、酒に付いている健康の話は、真偽以前に国の届出制度を1つも通っていないんですよ。
だから当ブログは、効くとも効かないとも判定しません。国が判定する仕組みを持っていないものを、個人のブログが判定できるはずがないというだけの話です。
メーカーが公表している数は、同じ会社の中で12.5倍違う
数そのものは、公式に書かれているものがあります。麹醇堂(輸入元:百歳酒ジャパン)の2製品から引きます。
また、加熱処理をしてない発酵進行中の「生酒」だから、生きた乳酸菌がたっぷり含まれています。(1本当り約80億個)(百歳酒ジャパン「麹醇堂生マッコリ」)
1000億個の乳酸菌をマッコリ1本で! 乳酸発酵を重ね、1本当たり1000億個の乳酸菌を培養に成功!世界初!!(百歳酒ジャパン「麹醇堂1000億プリバイオマッコリPET」)
| 製品(メーカー公式) | 容量 | メーカーが公表している乳酸菌数 |
|---|---|---|
| 麹醇堂生マッコリ | 750ml | 1本当り約80億個 |
| 麹醇堂1000億プリバイオマッコリPET | 750ml | 1本当たり1000億個 |
だから「マッコリは乳酸菌が多い酒」と一括りにできない
同じメーカー、同じ750ml。それでも約80億個と1000億個で、12.5倍の開きがあります。
ここから言えることは1つだけです。「マッコリは乳酸菌が多い酒だ」と、ひとまとめには言えない。
数の多い少ないも評価しません。どちらの製品も測定方法と測定時点の記載が見当たらず、しかも生マッコリは発酵が進行していく酒です。本数あたりの数は、いつ測ったかで変わりうる数字だと考えたほうがいいと思います。
ヨーグルトと比べた倍率が商品の販売ページに出ていることもありますが、メーカー(輸入元)の公式商品ページには見当たらず、比較の条件も示されていませんでした(2026年9月19日確認)。数字に出会ったら、誰がどこで出しているかを見る——それだけで、同じ数字がずいぶん違って見えてきますよ。
生マッコリと殺菌マッコリ|公式スペックで違うのはどこか

生マッコリは加熱処理をしていないもの(二東も麹醇堂も、生の商品ページに公式にそう書いています)。いわゆる殺菌マッコリは、加熱処理をして常温で流通させるものです。
公式スペックで裏が取れる違いは、思ったより少なくて2つでした。賞味期限の長さと、保管(冷蔵か常温か)です。ただし保管の欄があるのは二東のスペック表のほうで、麹醇堂の公式ページは賞味期限の差として出ています。
加熱処理で乳酸菌がどうなるかについては、当ブログでは判定しません。日本の輸入元の公式サイトに、その測定値の記載が見当たらなかったからです。書けるのは加熱処理をしている/していないという製法の事実まで。
「生のほうが自然」は、原材料表示だと逆になることがある
麹醇堂の2製品を並べます。同じ750ml、同じ6%、同じ「リキュール」。公式の表で違うのは、賞味期限と原材料の2行だけです。
| 麹醇堂生マッコリ | 麹醇堂米マッコリ | |
|---|---|---|
| 容量 | 750ml | 750ml |
| アルコール度数 | 6% | 6% |
| 品目 | リキュール | リキュール |
| 原材料 | 米、麹、ブドウ糖、クエン酸、乳酸、アスパルテーム | 米、小麦麹、酵母、果糖、二酸化炭素、クエン酸、乳酸 |
| 賞味期限 | 製造日から150日 | 製造日から1年 |
人工甘味料が入っているのは、生のほうだった
原材料の行を見てください。生マッコリのほうにブドウ糖とアスパルテームが入っていて、生ではない米マッコリ(賞味期限1年のほう)に、公式が「人工甘味料が入ってない」と明記しています。
米と麹と酵母だけで造られた人工甘味料が入ってない米マッコリ!(後略)(百歳酒ジャパン「麹醇堂米マッコリ」)
つまり、生かどうかは、添加物の多い少ないを決めていません。むしろ逆になっている組み合わせが実在する、ということです。
ただし、これは麹醇堂のこの2製品に限った話です。マッコリ全体がそうだとは言えません(二東・眞露は原材料を公式に掲載していませんでした)。
そして、そこから「だから生のほうが良くない」へは進みません。甘味料の健康への影響は、当ブログが判定できる範囲ではないからです。
なお、麹醇堂生マッコリの公式ページには「糖質がゼロ」という記載もあります。
さらにうれしいのは「糖質がゼロ」!(百歳酒ジャパン「麹醇堂生マッコリ」)
同じページに、数値の裏付けとなる表示は見当たりませんでした。糖質がゼロかどうかも、当ブログでは判定しません。そして糖質がゼロでも、アルコールそのものは残ります。750mlの6%なら、1本で36.0g。そこは動きません。
選び分けの基準になるのは、保存と賞味期限
では何を基準に選ぶか。公式スペックから、はっきり言えることがあります。
生は賞味期限が短く、二東の表示では冷蔵です(麹醇堂生マッコリ750ml=製造日から150日/二東生マッコリ1L=冷蔵・3ヶ月/E-DON生マッコリ750ml=冷蔵・120日)。
生ではないほうは長く、二東の表示では常温です(麹醇堂米マッコリ750ml=製造日から1年/二東マッコリ1Lペット=常温・12ヶ月)。
味の優劣では選び分けません。好みは分かれると思うというのが正直なところで、銘柄を並べて比べた記録も持っていないからです。
買ってすぐ飲み切れないなら常温品、冷蔵庫に入れてすぐ開けるなら生。この選び方はできます。
生の例を1つ挙げておくと、麹醇堂の生マッコリ750mlは、公式スペックで賞味期限が製造日から150日と表示されている製品です。
裏ラベルが「リキュール」になっているのはなぜか
調べた銘柄は、二東も麹醇堂も眞露も、品目(サイトによっては「区分」)の欄が全部「リキュール」でした。
米から造る酒なのに、なぜリキュールなのか。これも条文に書いてあります。
米だけを発酵させた酒なら、酒税法第3条第19号の「その他の醸造酒」に入る余地があります。
その他の醸造酒 穀類、糖類その他の物品を原料として発酵させた酒類(第七号から前号までに掲げる酒類その他政令で定めるものを除く。)でアルコール分が二十度未満のもの(エキス分が二度以上のものに限る。)をいう。(酒税法第3条第19号)
ところが、原材料を公式に載せている麹醇堂の製品を見ると、ブドウ糖・果糖・オリゴ糖・甘味料が原材料に並んでいます(二東・眞露は原材料を公式サイトに載せていません)。発酵させた酒にこうした糖類などを加えると、次の号に当たります。
リキュール 酒類と糖類その他の物品(酒類を含む。)を原料とした酒類でエキス分が二度以上のもの(後略)(酒税法第3条第21号)
条文の読み方としては、糖類などを足しているからリキュールになる。裏ラベルの「リキュール」は、それだけの意味なんですよ。
だから、この表示は「体に悪い」という意味でも「糖質が多い」という意味でもありません。品目の区分は原料と製法の分類であって、健康の指標ではないからです。
清酒と分けているのは「こしたもの」の一語
ついでに、清酒との違いも条文で分かります。
清酒 次に掲げる酒類でアルコール分が二十二度未満のものをいう。イ 米、米こうじ及び水を原料として発酵させて、こしたもの(酒税法第3条第7号イ)
「こしたもの」。この一語です。もろみをこさないマッコリは、ここで清酒の枠から外れます。
白く濁っているのは、こしていないから。見た目の違いが、そのまま区分の違いになっているわけですね。
なお、個別の製品がどの号で区分されたかまでは、ラベルから読み取れません。「この商品は第21号により」という言い方はできないので、ここは条文の読み方までにとどめます。麹醇堂1000億プリバイオマッコリのように「リキュール(発泡性)」と表示されている製品もあります。
裏ラベルの品目欄の読み方は、リキュールとスピリッツの違いをまとめた記事に詳しく書きました。缶チューハイの裏を見るときにも、同じ読み方が使えます。
同じように条文から答えを出したのが甲類焼酎は体に悪い?の記事です。

マッコリは杯で数える|今夜からできること
ここまでを、今夜そのまま使える形にします。3つだけです。
- 買うときにラベルの度数を見る(6度か8度かで、同じ1杯の中身が1.33倍変わります)
- 最初に使うグラスを1つ決めて、何ml入るか測っておく(この記事の200mlは仮定なので、自分の器に置き換えてください)
- ボトルを「何杯ぶん」に読み替えておく(1Lの6度=5杯・48.0g/1Lの8度=5杯・64.0g)
順番が大事です。度数を見る、器を決める、本数を杯に読み替える。この3つで、初めて数えられるようになります。
器を決めると、目分量のズレに気づく
2つ目は、私が実際にやっていることです。
ワインでは使うグラスを決めて、注ぐ量を最初に決めるようにしています。銘柄が変わっても、器が同じなら比べられますからね。
一度、焼酎の量を計量カップで測ってみたことがあるんですが、目分量は、想像よりだいぶ多かったんですよ。
あれ以来、自分の器が何ml入るかを知っているかどうかは大きいと思っています。
マッコリは、この記事で見たとおり同じ見た目の1Lペットで6度と8度が並ぶ酒です。器を決めておけば、度数が変わっても杯の数で比べられます。
ボトルは「1本」ではなく「何杯」で見る
3つ目が効くのは、ボトルが「1本」という単位に見えてしまうからです。
1Lのペットは、200mlの杯なら5杯ぶん。6度で48.0g、8度で64.0g。ガイドラインが例に挙げているビール500ml(5%)の20gと並べると、どのくらいかが見えると思います。
先に引いたとおり、厚生労働省の40g・20gは個々人の許容量ではありません。だからこの記事が言えるのは、数えられるようにするところまでです。
私自身は、飲める日は飲みますが、3日以上続いたら意識して1日空けるようにしています。これは私の習慣であって、誰かに勧めるものではありません。
マッコリのよくある質問
どれも、メーカー公式の表示と公的資料で確かめられた範囲だけで答えています。
Q. マッコリのカロリーはどれくらいですか?
公式の表示が見つからない、というのが答えです。日本食品標準成分表にマッコリは収載されておらず、調べた範囲のメーカー公式サイトにも栄養成分表示はありませんでした。制度上も、国税庁のQ&A(問25・平成30年7月版)に「酒類については、「保存の方法」、「消費期限又は賞味期限」、「栄養成分(たんぱく質、脂質、炭水化物及びナトリウム)の量及び熱量」の表示を省略することができます」とあります。確かめられるのは度数と容量、そこから計算できる純アルコール量だけです。
Q. マッコリの度数は何度ですか?
製品ごとに違う、が答えです。2026年9月19日時点で公式サイトに載っていた現行品は5〜8度。製造終了品まで含めると4%のフレーバー品もありました。同じメーカーの同じ1Lペットでも常温品が6度・生が8度なので、銘柄で覚えるのではなくラベルを見るのが確実です。
Q. 生マッコリと普通のマッコリ、どちらを選べばいいですか?
体への良し悪しでは選べません。公式スペックで違うのは賞味期限の長さと保存で、生は3ヶ月〜150日と短く(二東の表示では冷蔵)、生ではないほうは1年(二東の表示では常温)といった差があります。買ってすぐ飲み切れないなら常温品、という選び方はできます。味は、私は飲みやすいと感じましたが好みは分かれると思います。
Q. マッコリは二日酔いしやすいですか?
断定できません。体質の差が大きく、当ブログで判定できる範囲を超えています。先に確かめられるのは量のほうで、6度のつもりで8度を同じ杯数飲めば、それだけで1.33倍入っています。3杯なら28.8gと38.4gで、差は9.6gです。まず量を揃えてから考えたほうが早いと思います。
Q. 生マッコリと、生ではないマッコリで、賞味期限はどう違いますか?
公式スペックで見ると、生は短く、生ではないほうは長い、が答えです。生は、二東生マッコリ1Lが3ヶ月、E-DON生マッコリ750mlが120日、麹醇堂生マッコリ750mlが製造日から150日(二東の表示では保管は冷蔵)。生ではないほうは、二東マッコリの1Lペットと瓶360mlが12ヶ月、麹醇堂米マッコリ750mlが製造日から1年(二東の表示では保管は常温)。同じ「生」でも3ヶ月と150日で違うので、買うときはボトルの表示を見てください。
まとめ|マッコリは「杯に何グラム入っているか」で決まる
確かめられたことだけを並べます。
- 「マッコリだから体に悪い」と言える根拠は確認できなかった
- 決めているのは杯に入る純アルコール量。1杯200mlなら6度で9.6g、8度で12.8g
- 同じ棚に6度と8度が並んでいる。だから見るのは銘柄ではなくラベルの度数
- 乳酸菌の話は、酒類が機能性表示食品の対象外である以上、国の届出制度を1つも通っていない領域だった
マッコリという酒に良し悪しがあるのではなく、杯に何グラム入っているか。答えはこれだけです。
飲みやすい酒ほど、杯は進みます。だからこそ、度数を見て、器を決めて、数える。
今夜からできるのは、それくらいのことなんですよ。
それで十分だとも思っています。


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