「温めればアルコールは飛ぶ」。ホットワインについて、そう思っている人は多いはずです。
ところが、作り方を公開している側は逆のことを書いているんですよ。
レシピはアルコールを飛ばしきらない為、アルコールは残ります。(エノテカ「自宅で簡単にホットワイン!プロが教える美味しいレシピ」)
書いているのはワインの輸入・販売会社です。キリンのお客様相談室も「加熱し過ぎると、アルコール分が飛んでしまいますのでご注意を。」——飛ばさないように気をつけろ、という案内。
読者の前提と、作り手の想定が真逆なんですね。
先に答えを書きます。温めてもアルコールは飛びません。そして体に入る量の上限を決めているのは、加熱時間ではなくマグカップに注いだワインの量のほうです。
私はワインを家で開けることが少なく、飲むのはもっぱら外。作り方は全部「公式の手順」として紹介します。
- 温めてもアルコールは飛ばない。公式レシピの加熱は数分で、飛ばしきる工程になっていない
- 料理での実測(米農務省)でも、熱い液体に混ぜて85%、15分煮込んで40%が残る。ホットワインそのものの行は無いが、数分で大半が飛ぶ側の数字はどこにも無い
- 15分を30分にしても、減るのは5ポイントだけ
- ホットワインはノンアルコールにはならない
- 弱くなるのは度数だけ。体に入る量の上限は、注いだワインの量で決まる
結論|ホットワインを温めてもアルコールは飛ばない
結論から書きます。公式レシピが想定している数分の加熱では、ホットワインのアルコールはほとんど残ります。
根拠は3つです。
1つ目は、作り手自身が「残る」と書いていること。導入で引いたエノテカの一文(「レシピはアルコールを飛ばしきらない為、アルコールは残ります。」)がそれです。
2つ目は、公式の加熱がそもそも短いこと。飛ばすための工程が、レシピに存在しません。
3つ目は、加熱時間とアルコールの残り方を実際に測った表があること。料理での測定なので、ホットワインそのものの値ではありません。それでも、時間がどう効くかの目安にはなります。この表は次の見出しで全部出します。
限定を1回だけ置いておきます。何時間も煮込み続ければ、アルコールは確かに減っていきます。ただしそれは、飲み物を作る工程ではありません。この記事で「飛ばない」と言っているのは、ホットワインとして飲む前提の加熱についてです。
エノテカの公式レシピは「沸騰直前まで」で火を止める
エノテカが公開しているホットワインの手順を、逐語で引きます。
1.小鍋に赤ワインとAを入れ沸騰直前まで火にかける。/2.Bを入れひと混ぜしながら温め、火を止める。/3.カップに移し、お好みで甘さを足してください。(エノテカ「自宅で簡単にホットワイン!プロが教える美味しいレシピ」)
読んでのとおりです。沸騰直前まで温めて、ひと混ぜして、火を止める。
「何分煮る」という工程が、どこにもありません。アルコールを飛ばすための時間が、そもそもレシピに存在していないんですよ。
公式3社とも、加熱時間を指定していない
この記事で確認した範囲(メーカー・輸入販売会社の公式ページ3件と、市販グリューワインの商品ページ2件)では、加熱の指示はこう揃っていました。
- キリン(お客様相談室)…「沸騰寸前の赤ワイン」を注ぐ
- エノテカ(ワインの読み物)…「沸騰直前まで火にかける」
- オエノン(公式サイト)…「弱火にかける」「温まったら」
3社とも沸騰させる工程が無く、しかも1社も「何分」を書いていません。市販品の商品ページ2件も「沸騰させないよう」「沸騰させてしまうとアルコールがとんでしまいます」と、同じ方向です。
全メーカーを調べ尽くしたわけではないので「どこにも無い」とは言いません。ただ、調べた範囲では、公式の情報源に「何分で抜けるか」の答えが用意されていないのは確かです。
加熱で変わるのは1杯の濃さ。鍋に入れた量は変わらない
ここで、よく混ざる2つを先に分けておきます。
度数は、1杯の濃さの話。加熱で多少は下がります。
純アルコール量は、体に入る総量の話。こちらは、注いだワインの量でほぼ決まります。
「薄くなるから大丈夫」と「量が減るから大丈夫」は、まったく別のことなんですね。お湯で割って度数を下げても純アルコールの総量は動かない、という話は梅酒のお湯割りの記事で扱いました。加熱の場合は多少減りますが、上限を決めているのが注いだ量である点は同じです。
何分でどれだけ残るのか|米農務省(USDA)の実測表

ここからがこの記事の本体です。
先に正直に書いておくと、ホットワインそのものを温めて、アルコールがどれだけ残るかを測った公表データは、私が探した範囲では見つかりませんでした。
あるのは、料理に使ったアルコール飲料が加熱でどれだけ残るかを、実際に測って公表している一次資料——米農務省(USDA)の栄養素保持率表です。
ホットワインの値そのものではない。それでも「数分温めれば飛ぶ」という思い込みを確かめるには、この表がいちばん近い。原典をそのまま出します。
調理法別のアルコール残存率(USDA Release 6)
表の見方を先に。数字は「元のアルコール量のうち、何%が残るか」です。度数ではありません。
出典:USDA Table of Nutrient Retention Factors, Release 6(2007年)Food Group 14・Retention Code 5001〜5010 の Alcohol, ethyl(Nutr. No. 221)列(https://www.ars.usda.gov/ARSUserFiles/80400530/pdf/retn06.pdf )
| 調理の条件 | 残るアルコールの割合 | USDAのコード |
|---|---|---|
| 加熱しない・一晩置く | 70% | 5001 |
| 熱い液体に混ぜる | 85% | 5002 |
| フランベ(火をつける) | 75% | 5003 |
| 混ぜずに25分焼く | 45% | 5010 |
| 混ぜて15分 煮込む/焼く | 40% | 5004 |
| 混ぜて30分 煮込む/焼く | 35% | 5005 |
| 混ぜて1時間 煮込む/焼く | 25% | 5006 |
| 混ぜて1時間30分 煮込む/焼く | 20% | 5007 |
| 混ぜて2時間 煮込む/焼く | 10% | 5008 |
| 混ぜて2時間30分 煮込む/焼く | 5% | 5009 |
この表で分かること・分からないこと
強い数字ですが、そのままホットワインに貼り付けられるものではありません。断っておくことが4つあります。
1つ目。数値は5%刻みで丸められています(原典「reports nutrient retention factors to the nearest 5 percent」)。40%と35%の差は、丸めの幅と同じくらいです。
2つ目。元データは「料理にアルコール飲料を使った場合」の測定です(原典の説明では、加熱なし・沸騰した液体に加える・フランベ・時間を変えて焼く、の4系統)。ワインそのものを温めた測定ではありません。
3つ目。「残るアルコールの割合」であって、度数ではありません。長く加熱すれば水も蒸発して量が減るので、残る割合と度数の下がり方は一致しません。
4つ目。ホットワイン(沸騰させず数分温める)そのものの行は、この表にありません。だから「ホットワインなら◯%残る」という数字は出しません。
では何が言えるのか。いちばん短い「熱い液体に混ぜる」でも85%が残り、15分煮込んでようやく40%。数分の加熱で大半が飛ぶ、という数字はこの表のどこにもありません——ここまでは言えます。
公式レシピの加熱は「沸騰直前で火を止める」だけ。時間だけを見れば、この表の短い側です。どの行に当たるかは、上に書いたとおり断定しません。
そして、「飛ばない」の根拠をこの表だけに置いてはいません。作り手が「残る」と書いていること、レシピに飛ばす工程が無いこと。この2つが先にあって、表はそれを数字の側から裏づける役です。
「アルコールの沸点は78.5℃」では答えにならない
「アルコールの沸点は水より低いから先に飛ぶ」。この説明をよく見かけます。
数字自体は正しくて、厚生労働省の職場のあんぜんサイトにあるエタノールの安全データシートには「沸点、初留点及び沸騰範囲 78.5℃」と記載があります(原典はMerck Index第14版)。
ただ、この数字からは、飛ぶか飛ばないかは決まりません。
水と混ざった状態では、その温度に届かなくても蒸発しますし、逆に温度が届いても短時間では抜けきらないからです。
温度は「抜け始める合図」ではあっても、「抜けきった証拠」にはならないんですね。
だからこの記事は、理由づけを温度ではなく、公式の記述と実測の表に置いています。
料理に加えて一晩置くだけでも、3割は抜けている
表の1行目をもう一度見てください。料理に加えて火にかけず、一晩置いた条件で、残るのは70%。火を使わなくても3割は抜けています。
つまり「アルコールが抜ける」こと自体は、珍しい現象ではないということです。ただしこれも料理での値で、ワインをそのまま置いた測定ではありません。
この行が示しているのは、多少抜けることと、飲めないくらい抜けることは、まったく別物だということです。
度数は下がる。それでも上限を決めているのは「注いだ量」

ここまでで「飛ばない」は済みました。次は「じゃあ何を見ればいいのか」です。
加熱で下がるのは度数、つまり1杯の濃さのほう。体に入る純アルコール量の上限を決めているのは、鍋に入れたワインの量です。
加熱時間をどう変えても、これから出す表の数字が上に動くことはありません。これは「これ以上は入らない」という上限の表です。
純アルコール量の出し方(厚労省の式)
厚生労働省「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」が、計算式をそのまま公開しています。
お酒に含まれる純アルコール量は、「純アルコール量(g)=摂取量(ml)×アルコール濃度(度数/100)×0.8(アルコールの比重)」で表すことができ(厚生労働省「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」2024年2月)
量(mL)×度数÷100×0.8。これだけです。
純アルコール量そのものの考え方はお酒が強い基準をまとめた記事に詳しく書いたので、ここでは式を1回出すだけにします。
マグカップ1杯で、どれだけ入るのか
注ぐ量で計算してみます。度数は12%で統一しました。表の数字は、加熱による減少を見込まない「上限」の値です。実際には多少は減るので、これより上に行くことはありません。
度数は銘柄で変わります。成分表の赤ワインは11.6容量%、市販のグリューワインには10%表示のものも。ワインの度数一覧を見て、使う1本に合わせて計算し直してください。
| 注ぐ量 | 純アルコール量(12%換算・加熱による減少を見込まない上限) | 厚労省が示す量との比較 |
|---|---|---|
| ワイングラス1杯 120mL | 約11.5g | 女性20gの約6割/男性40gの約3割 |
| エノテカのレシピ(赤ワイン500mL)を4人で分けた、1人分のワイン 125mL | 約12.0g | 女性20gの約6割/男性40gの約3割 |
| 同じレシピを3人で分けた、1人分のワイン 167mL | 約16.0g | 女性20gの約8割/男性40gの約4割 |
| レシピ1回分をひとりで 500mL | 約48.0g | 女性20g・男性40gのいずれも上回る |
厚労省の目安と並べてみる
表の右端に置いた20g・40gは、厚生労働省のガイドラインの数字です。
「生活習慣病(NCDs)のリスクを高める量(1日当たりの純アルコール摂取量が男性 40g以上、女性 20g以上)を飲酒している者の減少」(※)を目標とし(厚生労働省「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」2024年2月)
大事なのは、付いている※注記のほうです。
※これらの量の飲酒をしている者の減少を目標としたものです。なお、これらの量は個々人の許容量を示したものではありません。
つまりこれは「ここまで飲んでよい」という線ではありません。
書けるのは、レシピ1回分(赤ワイン500mL)をひとりで飲むと12%換算で約48gという事実まで。どう扱うかは飲む人が決める話です。
私が、注ぐ量を先に決めている理由
ここは私自身の習慣の話です。ワインを飲むときは、使うグラスを決めて、注ぐ量を最初に決めています。
ワインは私にとって、ほかの酒より酔いやすい酒だからです。飲んだあとに頭が痛くなることもあります(ワインの頭痛については別記事に)。気分で注いでいると、何杯飲んだのか分からなくなるんですよ。
もうひとつ。純アルコール20gが実際どれくらいの量なのか、計量カップで量ってみたことがあります。焼酎25度なら約100mL、ウイスキー40度なら約62.5mL。
同じ式をワインに当てはめると12%で約208mL(こちらは計算値で、私がワインで量ったわけではありません)。マグカップになみなみ注げば、それくらいはすぐ入ります。
- 数分の加熱では飛ばない。作り手自身が「アルコールは残ります」と書き、レシピに飛ばす工程が無い
- 料理での実測(米農務省)でも15分煮込んで40%、30分で35%が残る。ホットワインそのものの行は無いので「何%残る」とは書かないが、数分で大半が飛ぶ側の数字はどこにも無い
- 下がるのは度数だけ。上限を決めているのは、注いだワインの量
「アルコールを飛ばす方法」は効くのか|レンジ・煮込み・フランベ
「それでもどうしても飛ばしたい」という人のために、よく挙がる3つの手段を、公式の記述と、先ほどの表(料理での値)で検証します。
先に結論を。どれも思ったほど飛びません。そして飛ばそうとするほど、味のほうが先に壊れます。
電子レンジでは、さらに飛ばない
質問として多いのがレンジです。
キリンのお客様相談室は「もっと簡単にホットワインを楽しむ場合」として、マグカップにワインを注ぎ、電子レンジで加熱し、はちみつを加えるという3ステップを案内しています。ここにも「何分」はありません。
市販のグリューワインを扱う小売店の商品ページも同じで、加熱について書いてあるのはこれだけです。
湯気が立ち上るぐらいで止めてください。沸騰させてしまうとアルコールがとんでしまいます。(大和屋酒舗・シュテルンターラー グリューワイン商品ページ)
売る側も「飛ばすな」と書いているわけです。
表にレンジの行は無いので、「レンジなら何%」という数字は出しません。分かるのは方向だけ——飛ばす目的でレンジを使うのは逆向きの努力です(熱燗をレンジで作る手順は別記事に)。
煮込む時間を倍にしても、5ポイントしか減らない
では煮込めばいいのか。料理での値ですが、表をもう一度見てください。
15分で40%、30分で35%。時間を倍にして、減ったのは5ポイントだけです。しかも数値は5%刻みで丸められているので、「15分を30分にする」という努力は、ほとんど報われません。
もっと伸ばせば確かに減ります。1時間で25%、1時間30分で20%、2時間で10%、2時間30分で5%。
ただ、想像してほしいのは2時間半煮込まれたワインのほうです。フルーツからは苦味や雑味が出て(エノテカが注意しているとおり)、水分も飛んで量はかなり減っている。それはもう、マグカップに注いで飲むものではありません。
欲しいのは「飲めるホットワイン」のはずです。その条件の中では、時間で解決する道はないんですよ。
火をつけても(フランベ)75%が残る
いちばん直感に反するのがフランベです。火をつけて燃やしても、75%が残ります。
炎が上がっている間に燃えているのは、表面から出た蒸気のごく一部だけ。派手なわりに、中身はほとんど減っていないんですね。
なお、ホットワインで火をつける工程は、確認した3社の公式レシピのどこにもありません。
飛ばそうとすると、味のほうが先に壊れる
アルコールの話と、おいしさの話は、同じ結論を指しています。
フレッシュフルーツは、鍋の中でグツグツ煮立たせると苦味や雑味が出やすいので、飲む直前に加えます。(エノテカ)
なお、温めすぎると突沸しヤケドの危険がありますのでご注意ください。(キリン お客様相談室)
突沸は本当に危ないので、沸騰させる方向の工夫はおすすめしません。
「アルコールを飛ばすな」と「おいしく作れ」が、どちらも同じ『沸騰させない』を指している。
これがホットワインという飲み物の設計なんだと思います。
ノンアルコールにはできるのか|酒税法の「1度以上」という線
ここが、検索のなかでいちばん切実な問いだと思います。温めてアルコールを抜いて、ノンアルコールにできるのか。
答えはできません。
法律が引いている線と、実測の数字と、両方から書きます。
酒税法では、アルコール分1度以上が「酒類」
まず線の位置から。国税庁のQ&Aにこうあります。
酒税法において酒類とは、アルコール分1度以上の飲料(飲用に供し得る程度まで水等を混和してそのアルコール分を薄めて1度以上の飲料とすることができるものや水等で溶解してアルコール分1度以上の飲料とすることができる粉末状のものを含みます。)をいいます。(国税庁「お酒に関するQ&A【総則】」)
1度以上が酒。だから1度未満なら酒ではない、という線引きです。
ややこしいのは、酒税法が「ノンアルコール」という言葉自体を定義しているわけではない点。市販のノンアル飲料にも0.00%表示のものと、1%未満だけれどアルコールを含むものがあります。
家庭の加熱でその線に届くか
届きません。理由は2つです。
1つは、公式レシピの加熱が数分だということ。飛ばす工程がそもそも入っていません。
もう1つは、料理での実測でさえ、いちばん長い条件(2時間30分煮込む)でもまだ5%が残っていること。
何時間も煮続けてようやく近づくかどうか、という水準で、そのときにはもう飲み物ではありません。
だから答えは一言です。ホットワインは、家庭の加熱ではノンアルコールになりません。
ただ、ここで終わりにはしません。抜きたい理由によって、取る手が違います。
- 酒を入れたくない(運転する・体質的に飲めない・妊娠中や授乳中)…加熱ではなく、最初からアルコールの入っていないもので作る。方法は後半の「どうしてもアルコール抜きで楽しみたいなら」に
- 弱くしたいだけ…加熱時間ではなく、注ぐ量を減らす。1杯に入る量は先ほどの表のとおりで、小さいカップにすれば上限もそのぶん下がる
妊娠中・授乳中の方へ|加熱してもアルコールは残ります
この記事から言えるのは、ひとつだけです。加熱してもアルコールは残るので、ホットワインはノンアルコール飲料の代わりにはなりません。
飲んでよいかどうかを当ブログが判断することはしません。ただ、公的機関の答えは、はっきりしています。そのまま引きます。
また少量の飲酒でも、妊娠のどの時期でも影響を及ぼす可能性があることから、妊娠中の女性は完全にお酒をやめるようにしましょう。(厚生労働省 e-ヘルスネット「胎児性アルコール・スペクトラム障害」)
一方で、ここまでなら大丈夫という飲酒量のしきい値はわかっていません。(同上)
「完全にやめる」が公的な答えで、「ここまでなら」という線は示されていません。温めたホットワインも酒ですから、この「お酒」の外には出ません。
授乳中について、厚生労働省のガイドラインが書いているのはここまでです。
妊娠中・授乳期中の飲酒/妊娠中の飲酒により、胎児へ胎児性アルコール症候群等をもたらす可能性があります。授乳期中などには、家庭内などの周囲の理解や配慮が必要です。(厚生労働省「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」)
量の目安も、許容範囲も、この記事では示しません。気になることがあれば、かかりつけの医師に相談してください。
アルコールを入れずに同じ雰囲気を楽しむ方法(ぶどうジュースで作る等)は、後半の「どうしてもアルコール抜きで楽しみたいなら」に置きました。
運転する予定があるなら飲まない
ここは断定できます。加熱してもアルコールは残る=ホットワインは酒です。
運転の予定があるなら飲まない。それだけです。
「どのくらいなら」という目安は、この記事には書きません。飲みたい日は、後半のアルコール抜きの作り方をどうぞ。
公式の温め方|3社とも、沸騰させる前に止めている
作り方も載せておきます。ただし全部、公式が公開している手順です。私が自分で工夫した作り方ではありません。
面白いのは、どの手順も、沸騰させる前に止めていること。
ここまで読んだ方はもう分かると思いますが、これはアルコールを飛ばさない前提の加熱なんですね。
鍋で作る基本の手順(エノテカのレシピ)
材料から。エノテカの公式レシピ(3〜4人分)はこうです。
- 赤ワイン 500ml
- A:はちみつ大さじ2〜3/シナモン1本/クローブ2〜3個/スターアニス(八角)2個/生姜スライス2枚/リキュール30ml(無くても可)
- B:オレンジスライス2枚/レモンスライス2枚
手順は先ほどの逐語のとおり、沸騰直前まで火にかけ、Bを入れてひと混ぜして、火を止める。それだけです。
1点だけ補足を。リキュール30mlは「無くても可」とされていますが、入れればその分アルコールは増えます。はちみつのカロリーや糖質はワインのカロリーと糖質の記事に譲ります。
それにしてもスパイスは、シナモン・クローブ・八角・生姜と、意外に種類が要りますね。ホットワイン用に配合済みのスパイスミックスも市販されていて、エノテカもキリンも市販のスパイスを使う方法を紹介しています。
マグカップに注ぐだけの作り方(キリンのFAQ)
鍋を出したくない日には、キリンのお客様相談室の方法があります。
マグカップ等に、ハチミツ、オレンジ、レモンスライス、シナモン、ナツメグ、ショウガ等を入れて、鍋等で温めた沸騰寸前の赤ワイン(軽めの赤ワイン)を注ぎます。加熱し過ぎると、アルコール分が飛んでしまいますのでご注意を。(キリン お客様相談室)
注目したいのが「軽めの赤ワイン」という公式の指定。「どのワインでもいいのか」に、メーカーが答えている数少ない箇所です。
白やロゼのホットワインも、エノテカが公式レシピを出しています。元の度数はワインの度数一覧をどうぞ。
市販の「温めるだけ」グリューワインも、酒として売られている
もっと簡単なのは、最初からスパイスの入った市販のグリューワインを買う方法です。温め方はエノテカがこう書いています。
沸騰させないようお鍋で60℃ぐらいに温めるか、 マグカップなどに移して電子レンジで温めるだけで簡単にホットワインが出来上がり!(エノテカ)
ここでも「沸騰させないよう」。公式が想定しているのは、一貫して沸騰させない温度帯です。
そして、この手の商品にはきちんと度数の表示があります。
シュテルンターラーというドイツのグリューワインは、小売店(大和屋酒舗)の商品ページに「アルコール分 10%」と記載されています(※小売業者の記載で、メーカー公式の発表ではありません)。
温めて飲む前提で売られている商品にも、度数が書いてある。なお同ブランドには、アルコールの入っていない「グリュープンシュ」という別商品もあります。
温めるだけで一杯になるので、スパイスを集めるところから始めなくて済みます。
焼酎や日本酒を温めるのとは、何が違うのか
温めて飲む酒は、ワインだけではありません。
焼酎のお湯割りはお湯が先で、比率は6対4から(焼酎のお湯割りの記事)。日本酒の熱燗はレンジでも作れます(熱燗の温度とレンジの記事)。
違うのは道具と手順だけで、「温めたから弱くなる」わけではないという点はどれも共通しています。
どうしてもアルコール抜きで楽しみたいなら
加熱では抜けない。なら答えは単純で、最初からアルコールの入っていないもので作るしかありません。
方法は2つです。
- ノンアルコールのワインテイスト飲料を使う…公式レシピと同じスパイスを入れて温める
- ぶどうジュースを使う…シナモン・クローブ・八角・生姜・オレンジ・レモンをそのまま入れて温める
これは「アルコール抜きで同じ雰囲気を楽しむ方法」の紹介であって、誰が飲んでよいかという判断ではありません。妊娠中・授乳中については、先ほど書いたとおり、かかりつけの医師に相談してください。
工程は公式レシピと同じで、沸騰させないこと。ジュースは煮立てると香りが飛びやすいので、温まったら火を止めます。
ノンアルのワインテイスト飲料は、赤ワインタイプも増えてきました。0.00%表示のものと、1%未満でもアルコールを含むものがあるので、パッケージのアルコール分の表示だけ確認してから選んでください。
ホットワインとアルコールのよくある質問
本文で拾いきれなかった疑問を、まとめて置いておきます。どれも公式の記述と、公的資料の範囲で答えています。
Q. ホットワインは沸騰させたほうがいいですか?
させないほうがいいです。キリンは「沸騰寸前」、エノテカは「沸騰直前まで」、オエノンは「弱火にかける」「温まったら」。確認した3社とも、沸騰させる工程がありません。キリンは「温めすぎると突沸しヤケドの危険がありますのでご注意ください。」とも書いています。
Q. ホットワインに向いているワインは?
キリンのお客様相談室は「軽めの赤ワイン」と指定しています。エノテカは白とロゼのレシピも公開しているので、赤でなければならないわけでもありません。元の度数が気になる方はワインの度数一覧の記事をどうぞ。度数が変われば、1杯に入る純アルコール量も変わります。
Q. はちみつを入れるとどうなりますか?
公式レシピの材料そのものです。エノテカは「はちみつ大さじ2〜3」、キリンもマグカップにハチミツを入れる手順を出しています。加わるのは甘みで、アルコールの量は変わりません。カロリーや糖質はワインのカロリーと糖質の記事に書きました。
Q. アルコールを飛ばすには何分加熱すればいいですか?
飲み物として成立する範囲の加熱では抜けません。公式レシピに「何分煮る」という工程が無く、作り手のエノテカ自身が「アルコールは残ります」と書いています。料理での実測(米農務省)でも、混ぜて15分煮込んで40%、30分で35%が残り、時間を倍にして5ポイントしか変わりません。「何分」で解決しようとするのは筋が悪いんですよ。
Q. レンジで温めてもアルコールは飛びませんか?
飛びません。キリンのお客様相談室が案内するレンジの手順にも、市販グリューワインの商品ページにも、加熱時間の指定はありません。小売店の商品ページは「沸騰させてしまうとアルコールがとんでしまいます」と、飛ばさない方向で注意しています。レンジは温めるための道具であって、アルコールを抜くための道具ではありません。
Q. 作り置きして温め直すと、アルコールは減りますか?
温め直せば多少は減るかもしれませんが、飛びきることはありません。温め直しは数分の加熱を1回足すだけで、飛ばす工程にはならないからです。なおエノテカは「作り置かずに、飲みきる分だけ作りましょう!」と書いています。作った分をその日に飲みきるのが、公式の前提です。
Q. ワインが苦手でもホットワインなら飲めますか?
私自身、もともとワインは苦手で、とくに赤の渋みがだめでした。ホットワインはスパイスと甘みが加わるぶん、元のワインとは別の飲み物になります。苦手の理由が渋みなら、印象は変わるかもしれません(渋みの正体はワインがまずいと感じる話の記事に)。ただし酒であることは変わりません。
まとめ|見るのは加熱時間ではなく、注いだ量
最後に3行でまとめます。
- 温めてもアルコールは飛ばない。公式レシピの加熱は数分で、作り手自身が「残る」と書いている。料理での実測(米農務省)でも、15分煮込んで40%が残る
- ノンアルコールにはならない。酒税法でいう1度未満に、家庭の加熱で届く道はない
- 弱くなるのは度数だけ。体に入る量の上限は、注いだワインの量で決まる
だから、やることは1つに絞れます。
飛ばす工夫をするより、マグカップに何mL注ぐかを先に決めるほうが早い。
レシピ1回分の赤ワイン500mLなら、3〜4人で分けて1杯125〜167mL。ひとりで飲み切れば12%換算で約48gです。加熱時間をどう変えても、この上限が上に動くことはありません。
温度で悩む必要はありません。沸騰させないこと、そして注ぐ量を先に決めること。
ホットワインで気にすることは、この2つだけです。


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