寝酒におすすめの酒を探して来た方には、先に謝っておきます。この記事には銘柄が1つも出てきません。
私自身、寝酒をしているつもりはないんです。ただ、夜ご飯を終えて、風呂に入って、やることを全部終わらせてから飲む。だから結果的に、飲み終わりが寝る直前になっている日はある。
実際のところどうなのかが知りたくて厚生労働省の資料を開いたら、Q&Aに私とほとんど同じ質問が載っていました。
答えは銘柄の話ではありませんでした。決めているのは、寝る時点で体にアルコールが残っているかどうか。そしてそれは、体重と量から計算で出せます。
- 公的資料に「寝酒向きの酒」が1つも出てこないこと
- 入浴・運動・カフェインには「就寝の何時間前」があるのに、アルコールにだけ無いこと(3資料の照合表)
- よく見る「就寝3〜4時間前」を、この記事自身が撤回する理由
- 体重×0.1で出す、自分の飲み終わり時刻(酒種別・体重別の早見表)
- 毎日飲んでいる人が急にやめてはいけない理由と、公的資料が示す2つの手順
結論|「寝酒におすすめの酒」は公的資料に1本も出てこない。決めているのは銘柄ではなく、寝る時点で残っているかどうか
先に結論から。厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」のアルコールの節、その見出しがこれです。
3 アルコール 晩酌は控えめにし、寝酒はしない
(睡眠ガイド2023・31ページ)
おすすめの銘柄が入り込む余地はありません。「寝酒に向いた酒」という発想そのものが、この資料には無い。
ただし同じ資料のQ&Aが見ているのは、飲む理由ではなく量と代謝のほうでした。つまり、「寝酒かどうか」という呼び名ではなく、寝る時点で体にアルコールが残っているかどうかが、実質を決めている。
そして、残っているかどうかは計算できます。式は1行。
体重(kg)× 0.1 = 1時間に分解できる純アルコール量(g)
体重60kgなら1時間に6g。ビール500ml缶1本(純アルコール20g)なら、飲み終わってから抜けるまで約3.3時間。0時に寝るなら、20時40分ごろに飲み終えていれば、計算のうえでは寝る時点で抜けています。
式の出どころと、付いてくる条件は後で正確に書きます。銘柄を並べるより役に立つはずです。
厚労省のQ&Aに、私とほとんど同じ質問が載っていた
資料をめくっていて手が止まったのは、巻末のQ&Aでした。
「寝るために飲んでいるわけではない人」への答え
そのまま引きます。
Q. 仕事上の理由で夜にお酒をよく飲むのですが、睡眠に悩んだことはありません。飲酒を続けても良いでしょうか?
A. 少量の飲酒であれば、眠る前にはアルコールやアセトアルデヒドの多くは代謝されます。しかし、多量飲酒では高率に睡眠に悪影響が生じます。また、アルコール代謝能力には性差・個人差があり、加齢によってもアルコール代謝能力は低下するので、飲酒量には注意が必要です。
(同ガイド32ページ「よくある質問と回答(Q&A)」/原文の注番号は省略)
「仕事上の理由で夜に飲む」。寝るために飲んでいるわけではない人で、私が知りたかったのもこれでした。
見てほしいのは答え方のほう。飲む理由の是非は問われていません。眠る前に代謝されているかどうかで答えている。
ただし「少量」が何gなのかは書かれていない。だから「◯gまでならOK」と数字に置き換えることはできない。言えるのは、判断の軸が量と代謝にある、というところまでです。
「寝酒」という言葉は、目的で定義されている
もうひとつ。同じ資料は、寝酒をこう定義しています。
寝つきを改善させるために飲酒をする、いわゆる「寝酒」
(同ガイド31ページ)
言葉としての「寝酒」は、飲む目的で決まっている。晩酌と寝酒の違いは、突き詰めるとこの一点です。
ただ、話は二階建てになります。一階が言葉の定義で、これは目的で決まる。二階が体の中で起きることで、こちらは量と時間で決まる。呼び名がどちらでも、寝る時点で残っている量が同じなら、体の中で起きることは変わりません。
私は一階では前者のつもりです。でも飲み終わる時刻は、後者の人と変わらない日がある。定義でこちら側に立っても、時計は味方してくれません。
「就寝の何時間前まで」という目安は、アルコールにだけ書かれていなかった
では、何時間前までに飲み終えればいいのか。調べていて妙なことに気づきました。同じ資料の中で、入浴には時間が書いてある。運動にも、カフェインにも、光にも書いてある。
アルコールだけ、無いんです。
PDF全51ページから「就寝の何時間前」にあたる記述を探して、出てくるのは入浴・運動・カフェイン・光だけ。アルコールの節は0件でした。同じことを、より新しい2つの資料でも確かめています。
| 対象 | 睡眠ガイド2023(厚労省・2024年2月) | e-ヘルスネット「快眠と生活習慣」(2025年6月更新) | 解説書「良い目覚めは良い眠りから」(2025年9月版) |
|---|---|---|---|
| 入浴 | 就寝の約1〜2時間前 | 就寝1〜2時間前 | ―(項目なし) |
| 運動 | 就寝の約2〜4時間前まで | 就寝の2〜4時間前まで | ―(項目なし) |
| カフェイン | 「夕方以降は控えめに」(研究の紹介として約9時間前・約13時間前の記載あり) | 敏感な人は就寝の5〜6時間前から | 「夕方以降の摂取は避ける」とだけ(時間の数字なし) |
| アルコール | 時間の数字なし | 時間の数字なし | 時間の数字なし |
書いていないのは、項目が無いからではない
「―(項目なし)」は、その資料に項目自体が無かった欄です。入浴や運動は、資料によっては項目ごと無い。ところがアルコールは、3つの資料すべてが取り上げたうえで、時間の数字だけが無い。時間の代わりに置いてあるのは、こういう言葉です。
睡眠薬代わりに飲用されることの多いアルコールも決して勧められません。アルコールは一時的には寝付きをよくしますが、深いノンレム睡眠を減らす、中途覚醒を増やすなど、睡眠の質を低下させるからです。
(e-ヘルスネット「快眠と生活習慣」執筆:三島和夫/2025年6月1日更新)
前半だけを取り出せば、寝酒をすすめる文章に読めてしまいます。でも、一文です。後半まで読めば、言っているのは「決して勧められません」のほう。
留保を1つ。確かめたのは厚労省系の5本(睡眠ガイド2023/睡眠指針2014/飲酒ガイドライン/e-ヘルスネット「快眠と生活習慣」/解説書2025年9月版)です。この5本には無かった、というのが正確な言い方になります。
逆方向の誤読も避けたい。書いていない=いくら空けてもいい、ではありません。同じ節が「しない」と言っている以上そもそも時間で区切る話にしていない、とは読めますが、それは私の解釈です。
【訂正】この記事に書いていた「就寝3〜4時間前」を撤回します
ここで自分の記事の話を。この記事は2026年3月の公開時から、こう書いていました。
ルール2:就寝3〜4時間前までに飲み終える
(中略)体重60kgの方が純アルコール20g(ウイスキーシングル2杯相当)を分解するには、約3〜4時間かかる計算になります。逆算すると、就寝の3〜4時間前には飲み終えておくのが理想なんですよ。
(この記事の旧版より)
撤回します。
計算そのものは間違っていません。体重60kgで40度のシングル2杯なら19.2g、抜けるまで約3.2時間。今回も同じ式を使います(旧版はシングル2杯の19.2gを20gに丸めていました)。
成り立たないのは、そこから「3〜4時間前が理想」と言い切ったところ。3.2時間は体重60kg・シングル2杯という前提から出た数字にすぎず、量が変われば動くし、体重が変われば動く。誰にでも当てはまる「理想」の裏づけは、前の章のとおり見つかっていません。
ついでに1つ。「3〜4時間」という数字は睡眠指針2014にも出てきますが、アルコールではなくカフェインの記述としてです。
就寝前 3~4 時間以内のカフェイン摂取は、入眠を妨げたり、睡眠を浅くする可能性があるため、控えた方が良いでしょう。
(厚生労働省「健康づくりのための睡眠指針2014」/後略)
数字が一致している、という事実だけ書いておきます。誰がどこから持ってきたのかは確認できていないので、流用だとは断定しません。
では何時間空ければいいのか。ここからは計算に切り替えます。
代わりに計算できること|体重×0.1で、1時間に抜ける量が出る

使うのは、厚労省の情報サイト「e-ヘルスネット」が載せている分解の速さの目安です。
一般的には1時間で分解できるアルコールの量は「体重×0.1g程度」とされています
(e-ヘルスネット「アルコールの吸収と分解」執筆:横山顕/後略。原文は続けて、代謝速度は酵素の遺伝子型や飲酒習慣で大きく異なるとし、これより低いケースも多くあります、と注記しています)
「一般的には〜とされています」という書き方のとおり、厚労省が定めた基準ではありません。それでも軸にするのは、公益社団法人アルコール健康医学協会が公表している数字と検算が合うからです。
体重約60kgの人が1単位のお酒を30分以内に飲んだ場合、アルコールは約3~4時間体内にとどまります。2単位の場合ではアルコールが体内から消失するまで約6~7時間かかります。
(公益社団法人アルコール健康医学協会「飲酒の基礎知識」/後略。原文はこのあと個人差に触れています)
条件が3つ付いています。体重約60kg・1単位(純アルコール20g)・30分以内に飲んだ場合。数字は式と合います。60×0.1=6g、20÷6=3.3時間で、協会の「約3〜4時間」に収まります。
もう1つ要るのが、飲んだ酒の純アルコール量。こちらは飲酒ガイドラインに式があります。
摂取量(ml)× 度数/100 × 0.8
ビール500ml(5%)なら 500×0.05×0.8=20g。ガイドライン自身の例示です。2つを組み合わせると、こうなります。
| お酒(1杯) | 純アルコール量 | 50kg | 60kg | 70kg | 80kg |
|---|---|---|---|---|---|
| ビール5% 500ml缶 | 20.0g | 4.0時間 | 3.3時間 | 2.9時間 | 2.5時間 |
| ビール5% 350ml缶 | 14.0g | 2.8時間 | 2.3時間 | 2.0時間 | 1.8時間 |
| 日本酒15% 1合(180ml) | 21.6g | 4.3時間 | 3.6時間 | 3.1時間 | 2.7時間 |
| ウイスキー40% シングル30ml | 9.6g | 1.9時間 | 1.6時間 | 1.4時間 | 1.2時間 |
| ウイスキー40% ダブル60ml | 19.2g | 3.8時間 | 3.2時間 | 2.7時間 | 2.4時間 |
| ワイン12% グラス120ml | 11.5g | 2.3時間 | 1.9時間 | 1.6時間 | 1.4時間 |
| 焼酎25% 1合(180ml) | 36.0g | 7.2時間 | 6.0時間 | 5.1時間 | 4.5時間 |
| チューハイ9% 500ml缶 | 36.0g | 7.2時間 | 6.0時間 | 5.1時間 | 4.5時間 |
表の読み方と、外してはいけない注記
9%のチューハイ500ml缶は36gで約6時間。同じ「1本」でも、5%のビール(約3.3時間)と3倍近く違います(ストロング系の缶がなぜ効くのか)。
日本酒1合は180mlで21.6g(日本酒1合は何ml)。焼酎は度数と割り方で大きく動くので、焼酎の度数のほうで確かめてください。
注記を2つ。1つは個人差。出典のページ自身が、5〜7%の日本人はアルコールの分解が遅い型の酵素(ADH1B)を持つ、肝臓の大きさには個体差が大きい、女性は総水分量が少ないため同じ量でも血中アルコール濃度が高くなる、と書いています。表より長くかかる人がいる前提で読んでください。もう1つは私から。これは体から抜けるまでの目安時間であって、これだけ空ければ睡眠に影響しない、という時間ではありません。そう書いてある資料は1本もありませんでした。
それと、数えるのは飲み終わりから。協会の記述が「30分以内に飲んだ場合」と速さを条件にしている以上、だらだら飲めばその分うしろにずれます。
何時までに飲み終えればいいか|0時に寝るなら、逆算するとこうなる
ここで出しているのは、体内からアルコールが抜けるまでの代謝の計算であって、睡眠への影響が消える時刻ではありません。公的な目安が無い中でそれでも時刻を出すのは、量と時間を自分の生活に当てはめる道具が他に無いからです。
そのうえで逆算します。体重60kgの場合。
| 飲んだ量(純アルコール量) | 23時に寝るなら | 0時に寝るなら | 1時に寝るなら |
|---|---|---|---|
| 缶ビール500ml 1本(20.0g) | 19時40分ごろ | 20時40分ごろ | 21時40分ごろ |
| 缶ビール500ml 2本(40.0g) | 16時20分ごろ | 17時20分ごろ | 18時20分ごろ |
| 日本酒1合(21.6g) | 19時25分ごろ | 20時25分ごろ | 21時25分ごろ |
| ウイスキー シングル2杯(19.2g) | 19時50分ごろ | 20時50分ごろ | 21時50分ごろ |
| ウイスキー シングル3杯(28.8g) | 18時10分ごろ | 19時10分ごろ | 20時10分ごろ |
動かせるのは、時刻ではなく量のほうだった
寝る時刻と飲む量を決めて、ぶつかったところが飲み終わりの目安です。
ちなみに私が一晩に飲むのはウイスキーでシングル2〜3杯くらいなので、表でいうと下の2行(gに直した数字は当サイトの計算で、私が測ったわけではありません)。思っていたより早い時刻が出てきます。
自分の一日の順番に戻ります。夕食、風呂、残りの片づけ、それから1杯。これだと飲み始めがどうしても遅い。でも問題は「飲むのが遅い」ことでも「寝るのが早い」ことでもなく、その2つの間隔だけです。
そして就寝時刻は翌朝の予定で決まっているし、夕食と風呂の順番の入れ替えはけっこうな生活改造です。だとすると、現実に動かせるのは量のほう。表の縦軸です。次はその話を。
寝る前にウイスキーを飲むなら|シングルとダブルで、抜けるまでの時間が倍違う
この記事はもともと「寝る前のウイスキー」というテーマなので、ウイスキーの話も残します。ただし銘柄は出しません。理由はまとめに。
ウイスキーがややこしいのは、1杯の量が曖昧なまま語られること。バーで「1杯」と言えばシングル30mlですが、家で自分に注ぐ「1杯」は、たぶんもっと入っています。
40度で計算すると、こうなります。
| 注ぐ量(40度) | 純アルコール量 | 抜けるまでの目安(体重60kg) |
|---|---|---|
| シングル 30ml | 9.6g | 約1.6時間 |
| ダブル 60ml | 19.2g | 約3.2時間 |
| シングル3杯 90ml | 28.8g | 約4.8時間 |
割ることと、薄めることは違う
シングルとダブルで倍違います。そして、ここが一番間違えやすいところ。
お湯割りにしてもハイボールにしても、入れたウイスキーの量が同じなら、純アルコール量は1gも変わりません。薄まるのは濃さであって、総量ではない。だから「薄めたから早く抜ける」は成り立ちません。
チェイサーの水も同じ。旧版の「ルール4」は残しますが、理由を書き分けます。水を飲むのは脱水を避け、ペースを落とすためであって、アルコールの分解が早まるからではありません。
もう1つ。上の表は40度での計算です。銘柄によっては43度も46度もあって、43度のダブルなら20.6gと1割ほど多い。だからこの記事では、銘柄ごとの換算表を作りません。公式表示度数を引き直さないと数字が動くからです。
量そのものの線|厚労省の資料に出てくる数字は、体重1kgあたり0.75g
時間の話が終わったので、量の話に移ります。
0.75g/kgは「ここまでならOK」の線ではない
睡眠ガイド2023のアルコールの節に、唯一の量の数字が出てきます。
多量(0.75g/kg以上)のアルコール摂取はレム睡眠を著明に減少させることから、長期的な健康リスクとなりうるとの指摘もあるため、飲酒量には注意しましょう。
(同ガイド31ページ/前後略・注番号は省略)
0.75g/kg。体重にかければ自分の数字が出ます。60kgなら45g——ビール500ml缶で約2.2本、40度のウイスキーならダブル約2.3杯です。ただしこの掛け算をやったのは当サイトであって、厚労省が体重別の早見表を出しているわけではありません。
この数字を許可ラインとして読まないために
念のため。0.75g/kgは「これ以下なら安全」という意味ではありません。
同じページの見出しは「晩酌は控えめにし、寝酒はしない」で、本文には「毎日の飲酒は推奨されません」とある。許可ラインとして読むと逆になります。しかもこの0.75g/kgは厚労省が定めた基準ではなく、ガイドが引用している海外の研究レビューの数字です。
体質の差もあります。同じガイドは、アルデヒド脱水素酵素の活性が低い人(日本人を含むアジア人に多い)は少量でも影響を受けやすいとしています(お酒が強い・弱いの基準)。
毎日飲んでいる人は、急にやめてはいけない
ここまでは1回の飲酒の話でした。毎日になっている場合は話の種類が変わります。先に言っておくと、やめる方向に異論はありません。ここから書くのは手順の話です。
Q. お酒を飲んで眠っていますが、やめると眠れません。どうすれば良いですか?
A. 眠るために飲むお酒(寝酒)は睡眠に強く悪影響を及ぼします。毎日寝酒を続けている場合は、急にやめると離脱等によって不眠となることがあります。週単位で徐々に量を減らしていくか、あるいは、医療機関で相談しながら断酒すると良いでしょう。
(厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」32ページ Q&A)
急にやめると眠れなくなることがある、と資料のほうが先に言っています。これは大きい。やめた初日に眠れなかったとき、「やっぱり自分には酒が要る」という結論に飛ばずに済むからです。2025年9月版の解説書にも、こうあります。
継続的な飲酒を中断すると睡眠潜時が延長して入眠に時間がかかるようになり、レム睡眠が増加することもわかっています。
(解説書「良い目覚めは良い眠りから 知っているようで知らない睡眠のこと」2025年9月版)
つまり、やめた直後に寝つきが悪くなるのは、想定内の反応です。方法として書かれているのは、週単位で徐々に減らすか、医療機関で相談しながら断酒するかの2つだけ。ここに「毎週2割ずつ」のような刻みを足すことはしません。資料に無いからです。
なぜ「毎日」がまずいのかも、同じ資料が書いています。
アルコールは連用することで依存や耐性を形成し、離脱作用によってアルコールを飲まないとよく眠れない状態に至る可能性があります。
(睡眠ガイド2023 31ページ)
「可能性があります」であって、断定ではありません。ただ、順番として耐性が先に来る、とは頭に入れておいていい。
私の話も1つ。仕事とプライベートで嫌なことが重なった時期に、少しだけ、飲まないと寝つけない日がありました。ずっとではありません。その時期だけです。今思えば、あれで何かが解決したわけではないんですよね。嫌なことは翌朝もそのままありましたし。
着地は、私の言葉ではなく資料の言葉にします。
不眠に悩み睡眠薬の代わりに寝酒をしている場合には、医師に相談することが推奨されます。
(同 解説書2025年9月版)
寝る前の一杯ではなく、晩酌そのものを減らしたい場合は晩酌がやめられないときのほうに書きました。
相談先|各都道府県の精神保健福祉センター
資料が「医師に相談」と書いていても、いきなり病院という気になれないことはあります。
その手前に、各都道府県には精神保健福祉センターという窓口があります。こころの健康全般を扱っていて、アルコールの相談も受け付けています。本人だけでなく家族からの相談も対象です。
相談すれば解決する、とは書きません。知らないより、知っているほうがいい類のものだと思うので、事実だけ置いておきます。
「寝酒の代わりに何を飲むか」の前に、確かめること

寝酒の代わりの定番、ホットミルクやカモミールティー。その効能はここでは書きません。書ける根拠を持っていないからです。代わりに、制約のほうを。
寝る直前の一杯をカフェインに置き換えるのは、同じ資料の別の項目と正面からぶつかります。睡眠ガイド2023は「夕方以降はカフェインを控えめに」、e-ヘルスネットの最新版は敏感な人は就寝の5〜6時間前から、と書いています。緑茶にも紅茶にもカフェインは入っている。
麦茶、そば茶、黒豆茶、カフェインを含まないハーブティーへの置き換えなら、同じ資料が挙げている方法です。
ノンアルコールを選ぶ手もあります。選択肢は焼酎のノンアルとノンアルコールカクテルにまとめました。
この記事に商品カードを1枚も置いていないのは、弊害を書いた記事から寝酒用の酒をすすめるのが、単純に筋が通らないからです。
寝酒についてよくある質問
本文で扱いきれなかった聞かれ方に、短く答えます。
Q. 寝酒をすると太りますか?
純アルコールは1gあたり約7kcal。ビール500ml缶(純アルコール20g)ならおよそ140kcalがアルコール由来です。ただし「寝る前に飲むから太る」という因果は、当サイトでは確認できていません。書けるのは、飲む時刻に関係なくそのカロリーは入る、というところまで。缶チューハイの数字は体に悪いチューハイにまとめました。
Q. 一口だけ、少しだけならいいですか?
本文で引いたとおり、厚労省のQ&Aは少量なら眠る前に代謝されるとしていますが、その「少量」が何gなのかは定義されていません。だから「一口ならOK」とは言えません。あなたの体重と量で、寝るまでに抜ける計算になるかどうか——上の早見表で確かめてください。
Q. 寝酒をするといびきをかきやすくなりますか?
睡眠ガイド2023に「アルコールは閉塞性睡眠時無呼吸をはじめとした様々な睡眠障害を増悪させます」と書かれています。増悪させる、というのが資料の言い方です。診断・治療はこの記事の範囲外なので、気になる場合は医療機関で相談してください。
まとめ|銘柄を探すより先に、飲み終わる時刻を決める
最後に4つだけ。
「寝酒におすすめの酒」は、公的資料に1本も出てきません。だからこの記事から銘柄が消えました。以前ここには4本並んでいましたが、弊害を書いておいて隣で酒を売るのは筋が通らない。
入浴にも運動にもカフェインにも「就寝の何時間前」があるのに、アルコールにだけありませんでした(私が確認した5本の資料では、という条件つきで)。よく見る「3〜4時間前」は、誰にでも当てはまる目安としての根拠を示せず、この記事自身の分は撤回しました。
代わりに計算できるのが体重×0.1。60kgなら1時間に6g、ビール500ml缶1本で約3.3時間。そして毎日になっている場合は急にやめない。週単位で減らすか、相談しながら断酒するか。
だから今夜やることは1つだけです。飲む量を決めて、飲み終わりの時刻を先に決める。銘柄を選ぶより、時計を見るほうが先。「やめましょう」でも「楽しみましょう」でもない、これがこの記事の答えです。
※この記事には個人の感想が含まれます。健康に関する具体的な判断は、かかりつけ医にご相談ください。20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。


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