「ストロングゼロはやばい」。それが気になって検索した方が、ここにたどり着いていると思います。
先に結論から。測り直したら、やばさの正体は人工甘味料でも「脳が溶ける」でもありませんでした。
問題は2つです。缶の値段が横並びの市場で、度数だけが高いこと。そして缶は薄められないので、開けた時点で入ってくる量が決まってしまうこと。測るのは、厚生労働省の飲酒ガイドラインが実際に持っている3つの物差しだけです。
安くて、すぐ酔える。そこに手が伸びる気持ちは、私にもわかります。嫌なことがあった時期に、ストゼロを買い込んで飲んだことがありました。今思えば、あれで何かが解決したわけではないんですが。
この記事は、私が以前ここに書いていた内容を4か所、訂正しています。数字を引き直したら、自分の書いたことが持たなかったからです。
- 500ml缶=純アルコール36g、350ml缶=25.2g(サントリー公式)
- 現行5種の公式成分一覧(カロリー・糖類・プリン体・甘味料の有無)
- 厚労省ガイドラインは「適量」を定めていない
- 毎日1本なら350ml缶でも週176.4gで、表1の3つの行を超える
- 純アルコール1gあたりの値段で他の酒と並べた表
- それでも飲むなら、週の本数をどう決めるか
先に対策だけ知りたい方へ。この記事の結論は「缶は薄められないことが問題」です。グラスに移して炭酸水で割れば、9%は約4.5%まで下がります(総量は変わりません)。私は炭酸水を箱で常備しています。
※厚労省の3つの物差しで測り直した結果は下に全部あります。
結論|ストゼロがやばいのは成分ではなく、開けた時点で36gが決まることだ
まず数字を1つ。-196ストロングゼロの500ml缶1本には、純アルコールが36g入っています。350ml缶なら25.2g。サントリーが公式ページに算出式ごと書いている数字で、メーカーは何も隠していません。
問題はここから先。缶チューハイは値段が横並びの市場なので、単価を下げる手段は実質的に度数を上げることしかない。ストロング系は、その構造が生んだ形だと私は見ています。ただし安いこと自体がリスクなのではありません(この切り分けは単価の章で)。
もう1つが、缶であること。ボトルと違って薄める操作が最初から無く、開けた瞬間に36gが確定します。
「安く酔える」と「量を自分で決められない」の同居が唯一の本当の問題です。世間の5つの説は、先に表で仕分けておきます。
| 世間で言われる「やばい」説 | 判定 | 判定の根拠 | 詳しくは |
|---|---|---|---|
| 度数9%=500ml缶1本で36g入る | 本当 | サントリー公式に「純アルコール量(500mlあたり)36g」の記載 | 理由1・物差し1 |
| 飲みやすくて量が自分で決まらない | 本当 | 缶は薄められず、開けた時点で量が確定する | 理由2 |
| 精神科医が「危険ドラッグ」と言った | 発言は事実。ただし個人の見解 | 2019年12月のFacebook投稿。査読を通った研究ではない | 理由3 |
| 人工甘味料が入っている | 条件つき(定番5種のうち4種) | 〈無糖ドライ〉は原材料に甘味料の記載なし | 理由4 |
| 「脳が溶ける」 | 根拠が確認できない | そういう現象を指す医学用語ではない | 悪酔いのセクション |
まず数字を確認する|ストロングゼロ現行5種の公式データ(2026年8月時点)
呼び方を1回だけ整理。「ストゼロ」はストロングゼロの略、「スト缶」はストロング系缶チューハイ(一般に度数7〜9%)の略で、ストゼロはその代表銘柄です(チューハイとサワーの違い)。正式名称は「-196ストロングゼロ」。ブランド「-196(イチキューロク)」の発売は2005年、ストロングゼロは2009年です。
ここで1つ訂正を。以前は「500ml缶で約240〜270kcal」と書いていましたが、現行5種はすべて52〜54kcal/100mLでした。500ml換算で260〜270kcal。240という下限に根拠はありませんでした。
以下はサントリー公式の値です。表示は「100mLあたり」なので、500mLへの換算は5倍でよく、100gあたりではありません。
| フレーバー | 度数 | 100mLあたり | 500ml缶 | 糖類 | プリン体 | 甘味料 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ダブルレモン | 9% | 54kcal | 270kcal | 0g | 0mg | アセスルファムK・スクラロース |
| ダブルグレープフルーツ | 9% | 54kcal | 270kcal | 0g | 0mg | アセスルファムK・スクラロース |
| ダブルシークヮーサー | 9% | 53kcal | 265kcal | 0g | 0mg | アセスルファムK・スクラロース |
| ダブル完熟梅 | 9% | 53kcal | 265kcal | 0g | 0mg | アセスルファムK・スクラロース |
| 無糖ドライ | 9% | 52kcal | 260kcal | 0g | 0mg | —(記載なし) |
〈無糖ドライ〉だけは甘味料が入っていない
表の補足を先に。350ml缶なら182〜189kcal。アルコール量は5種共通(500ml缶36g・350ml缶25.2g)、希望小売価格も350ml缶159円・500ml缶216円(税別)で共通です。
見てほしいのは一番右の列。〈無糖ドライ〉の原材料は「レモン、グレープフルーツ、ライム、ウオツカ(国内製造)、スピリッツ/炭酸、酸味料、香料」で、甘味料の記載がありません。他の4種にはアセスルファムK・スクラロースの記載があります。つまり「ストロングゼロ=人工甘味料」という言い方は、定番5種を母数にすると5分の4でしか成り立ちません(リキュールとスピリッツの違い)。
ただし甘味料が無いからといって、体に入るものが軽くなるわけではありません。度数は5種とも9%で、1本あたりのアルコール量は1gも変わりません。
「糖類ゼロ」は「糖質ゼロ」ではない
公式表示にあるのは「-糖類 0g」で、糖質ゼロとは書いてありません。実際、炭水化物は5種で0.1〜1.0g/100mL。糖類は糖質の一部にすぎないので、糖類が0でも、糖質が0とは限りません。プリン体0mgも、公式の注記は「100mlあたり0.5mg未満を0と表示」です。
そして糖類が0でも、カロリーは残ります。熱量の主な出どころは糖ではなくアルコールで、1gあたり約7kcal。36g分で単純計算250kcal前後と、表の260〜270kcalにほぼ一致します。カロリーは「甘さ」ではなく「強さ」から来ている、ということです(焼酎のカロリー)。
「やばい」と言われる5つの理由を、本当か噂かで仕分ける
さっきの表を1行ずつ開きます。根拠なしで「噂だ」と切って捨てたら、印象で語っているのは私のほうなので、5つとも根拠を付けます。銘柄の横断比較は体に悪いチューハイランキングに譲り、ここはストゼロ1銘柄に絞ります。
理由1:度数9%=500ml缶1本で36g(本当)
純アルコール量=お酒に含まれる純粋なアルコールの重さ。厚労省ガイドラインの算出式はこうです。
摂取量(ml) × アルコール度数/100 × 0.8(アルコールの比重)
ストゼロの500ml缶なら 500 × 0.09 × 0.8 = 36g、350ml缶なら 25.2g。同じ式をサントリー自身も公式ページに載せていて、答えも同じです。判定は「本当」。以降はアルコール量や「36g」と略します。
理由2:飲みやすくて、量が自分で決まらない(本当・これが核心)
9%はワインの3分の2くらいの度数です。それを冷やして、強炭酸と果実の香りに乗せる。飲んでいる最中に9%を感じさせないようにできています。
そしてもう一つ。缶は、薄められません。
ボトルの焼酎なら「今日は濃いから水を足そう」ができる。缶にはその操作がなく、開けた時点で36gが確定します。飲みやすさと、量を決められないことが重なると「気づいたら入っていた」が普通に起きる。判定は「本当」。これが、この記事で一番言いたいことです。
理由3:精神科医の「危険ドラッグ」発言(発言は事実。ただし個人の見解)
何度も引かれている発言があります。国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所 薬物依存研究部 部長(報道当時の肩書)の松本俊彦氏が、2019年12月31日にFacebookへ投稿したものです。
松本俊彦氏のFacebook投稿(2019年12月31日/報道より)
「ストロングZEROは『危険ドラッグ』として規制した方がよいのではないか。半ば本気でそう思うことがよくあります。私の臨床経験では、500mlを3本飲むと自分を失って暴れる人が少なくありません。大抵の違法薬物でさえも、使用者はここまで乱れません」
発言があったこと自体は事実です。ただし臨床経験に基づく個人の見解であって、査読を通った研究ではありません。報道からの孫引きである点も隠しません。この記事は以前、氏の肩書を「薬物依存症センター長」と書いていました。これも誤りです。
もう一つ。「ストロングゼロはやばい?」の見出しで医師に取材したBLOGOS記事の話者は、東京アルコール医療総合センター長の垣渕洋一氏。松本氏とは別人です。
判定は「発言は事実。ただし医学的コンセンサスではない」。ただ、臨床でそう言わせる何かがあるのは確かで、それはこのあと数字で説明がつきます。
理由4:人工甘味料への不安(条件つき|5種のうち4種)
先ほどの表のとおり、定番5種のうち4種に甘味料の記載があり、〈無糖ドライ〉には無いという状態です。
そのうえで正直に書くと、アセスルファムKやスクラロースの安全性そのものは、この記事で一次資料に当たれていません。だから「体に悪い」とも「問題ない」とも書きません。書けるのは、使われているかどうかと、甘味料の有無で度数もアルコール量も1gも変わらないことだけ。判定は「条件つき」です。
理由5:カロリー(条件つき|糖類0gでも500mlで260〜270kcal)
実際は500ml缶で260〜270kcal、350ml缶で182〜189kcal。熱量の大半はアルコール由来なので、糖類をゼロにしても、度数が9%である限りカロリーは下がりません。詳しくは上の「糖類ゼロ」のセクションで。判定は「条件つき」。体重への出方は人によるので断定はしません(ビールは太るのか)。
厚労省のガイドラインは「適量」を決めていない|あるのは3つの物差しだけ
「厚労省の適量は男性20g」——検索すると山ほど出てくるこのフレーズ、この記事も以前そう書いていました。
2024年2月公表の厚生労働省「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」に、その数字はありません。全文を検索すると、「適量」という語自体が一度も出てきません。
載っているのは、健康日本21(第三次)の目標値である「生活習慣病(NCDs)のリスクを高める量(1日当たりの純アルコール摂取量が男性40g以上、女性20g以上)」のほう。しかも、こう注記されています。
厚生労働省「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」(2024年2月)より
「※これらの量の飲酒をしている者の減少を目標としたものです。なお、これらの量は個々人の許容量を示したものではありません。」
ガイドライン自身が「これは個々人の許容量ではない」と断っているわけです。
補足すると、「20g」自体は、健康日本21(2000年開始の第一次)の「節度ある適度な飲酒=1日平均純アルコール約20g程度」として実在します。ただし2024年のガイドラインの数字ではありません。BLOGOSの取材で垣渕氏が言う「成人男性は1日の目安を20グラム」も、2018年時点のこの古い目安を指しています。
では2024年のガイドラインが実際に持っているものは何か。算出式(ml×度数/100×0.8)・一時多量飲酒60g以上・表1(疾病別の週あたりの量)の3つです。下の表の2つの「20g」と混ぜないでください。
| よく引かれる数字 | 本当の出どころ | 2024年ガイドラインに載っているか |
|---|---|---|
| 男性20g/女性10g(節度ある適度な飲酒) | 健康日本21(第一次・2000年)に約20gの記載。女性10gの明記は確認できず | × 載っていない |
| 男性40g/女性20g(生活習慣病のリスクを高める量) | 健康日本21(第二次・第三次)の目標値 | ○ 引用として掲載。ただし「個々人の許容量を示したものではありません」と注記 |
物差し1|1回に60g以上は「避けるべき」と名指しされている。ストゼロ2本で72g
算出式はもう使いました(36gと25.2g)。残る2つが本題です。
ガイドラインの中で、はっきり「避けるべき」と名指しされている行為があります。
厚生労働省「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」(2024年2月)より
「一時多量飲酒(1 回の飲酒機会で純アルコール摂取量 60g以上)は、外傷の危険性も高めるものであり、避けるべきです。」
ストゼロの500ml缶2本は72g。この行に当たります。500ml缶+350ml缶でも61.2gで超える。350ml缶2本なら50.4gで下回る。「もう1本だけ」の2本目で線をまたぐ構造です。
留保を1つ。「1回の飲酒機会」の時間的な定義は書かれていません。1時間で2本と5時間かけて2本を同じに扱ってよいのかは、この資料からは読み取れませんでした。それと、これは1回の話。週で見た総量は、次の物差しで測ります。
物差し2|毎日1本なら350ml缶でも週176g。「350mlなら安心」は成り立たない

2つ目の物差しが表1。疾病ごとに「これ以上の飲酒をすると発症等のリスクが上がると考えられる」量の一覧です。大事なのは単位が「週あたり」だということ。日割りも併記されていますが、注記には「研究結果の数値を元に、仮に7で除した場合の参考値(概数)」とあります。本体は週の総量のほうです。
毎日1本飲むと、500ml缶なら36g×7=週252g、350ml缶でも25.2g×7=週176.4g。
表1と照らすと、男性は 出血性脳卒中150g/週・大腸がん150g/週・前立腺がん(進行がん)150g/週 の3つを、缶を350mlに落としても超えます。女性はさらに手前で、脳梗塞75g/週・乳がん100g/週をはじめ5つの疾病に該当します。
そのうえで高血圧(男女)・食道がん(男性)・出血性脳卒中(女性)は表1で「0g<」、つまり少しでも飲めばリスクが上がると考えられる、とされています。缶のサイズも本数も関係ありません。
表1の数字は「これ以上でリスクが上がると考えられる」という閾値であって、超えたら発症するという意味ではありません。ガイドライン自身も「これらよりも少ない量の飲酒を心がければ、発症しないとまでは言えませんが、当該疾患にかかる可能性を減らすことができると考えられます」と書いています。
そして表を作って分かったこと。効いているのは缶のサイズではなく、頻度のほうでした。350ml缶でも毎日なら176.4g、週5本なら126g。500ml缶でも週4本なら144g。缶を小さくするより、飲まない日を作るほうが総量に効く。私も3日続いたら1日空けますが、数字にして順番が合っていたんだなと思いました。
| 缶サイズ | 週に飲む本数 | 週あたりのアルコール量 | 表1の150g/週(男性の出血性脳卒中・大腸がん・前立腺がん)と比べて |
|---|---|---|---|
| 500ml缶 | 毎日(週7本) | 252g | 超える |
| 500ml缶 | 週5本 | 180g | 超える |
| 500ml缶 | 週4本 | 144g | 超えない |
| 350ml缶 | 毎日(週7本) | 176.4g | 超える |
| 350ml缶 | 週6本 | 151.2g | 超える |
| 350ml缶 | 週5本 | 126g | 超えない |
この記事は以前「350ml缶なら適量ギリギリ」と書いていた。取り消します
旧版には、こう書いてありました。
「350ml缶を1日1本まで。このルールだけ守れば、男性なら適量ギリギリで収まります」
2つの点で成り立ちません。1つ目、ここで言う「適量20g」は2024年のガイドラインの数字ではありませんでした。2つ目、週の総量で見ると毎日1本は176.4gで、表1の3つの行を超えます。「ギリギリ」ではなく、はっきり外側でした。
言い訳はしません。何本ならいいのかは、後半で「国の基準ではなく、私が割り算した線」として出します。
他の酒と比べる|アルコール量・カロリー・そして「1gあたりの値段」
ビール500ml(5%)と比べると、アルコール量は20g対36gで1.8倍、カロリーは約197kcal対260〜270kcalで約1.35倍です(アルコール量はビール5%の慣行値、カロリーは食品成分表の4.6%換算値と、度数の前提が少し違います)。
そしてここからが、この記事だけの表。純アルコール1gあたり、いくら払っているかを出しました。ストゼロの500ml缶は216円÷36g=6.00円/g、350ml缶は6.31円/g。同じ159円で売られている7%缶が約8円/gですから、同じ値段の棚の中で、1gあたり2割前後安く酔える位置にいます。角ハイボールの350ml缶(7%・217円)は11.07円/gで、倍近い差です。
先に、自分の主張を一番弱める事実を。ストゼロは「最も安い酒」ではありません。甲類焼酎「直球勝負」12%の4Lペットは2,152円(税別)で純アルコール384g=5.60円/g。業務用の18Lパックなら3.73円/gまで落ちます。
正確に言えば、ストゼロが安いのは「缶で完結する=自分では薄められない形」の中でのこと。他社9%缶の希望小売価格は未確認なので、「ストゼロが最安」ではなく「9%缶というカテゴリーが最も安い層にいる」と書くのが正確だと思います(同じ9%帯は氷結ストロング、表のタカラの缶はタカラ焼酎ハイボールで個別に)。
そして単価と健康リスクは別の話です。4Lペットのほうが安くても、あちらは水で好きなだけ薄められる。問題は「安い」×「薄められない」×「飲みやすい」の3点セットが1本の缶に同居していることです。
※価格は希望小売価格(税別・2026年8月時点)で実売ではなく、2026年10月1日の酒税改正で改定予定。アルコール量は各社の公式表示値または算出式によります。
| 商品 | 度数 | 容量 | アルコール量 | 希望小売価格(税別) | 1gあたり |
|---|---|---|---|---|---|
| -196ストロングゼロ 500ml缶 | 9% | 500ml | 36g | 216円 | 6.00円 |
| -196ストロングゼロ 350ml缶 | 9% | 350ml | 25.2g | 159円 | 6.31円 |
| タカラ「焼酎ハイボール」〈ドライ〉350ml缶 | 7% | 350ml | 20g | 159円 | 7.95円 |
| こだわり酒場のレモンサワー 350ml缶 | 7% | 350ml | 19.6g | 159円 | 8.11円 |
| 角ハイボール〈濃いめ〉350ml缶 | 9% | 350ml | 25.2g | 217円 | 8.61円 |
| 角ハイボール 350ml缶 | 7% | 350ml | 19.6g | 217円 | 11.07円 |
| (参考)直球勝負 12% 4Lペット | 12% | 4,000ml | 384g | 2,152円 | 5.60円 |
| (参考)業務用 千石 25% 18Lパック | 25% | 18,000ml | 3,600g | 13,420円 | 3.73円 |
悪酔いする?「飲み続けた結果」はどうなる?
「ストゼロは悪酔いする」という声はよく見ます。私自身の実感としても、ストロングゼロはめちゃくちゃ残ります。同じくらいの量でも、ハイボールやビールなら翌日はまったく平気なのに、ストゼロだけは残り方が違う。500ml缶を2本飲んだ翌朝が、とくにきつかった。ウイスキーをロックで飲むこともあって、度数の高い酒そのものには慣れているつもりです。それでも缶だけは、どうも変な酔い方をする。
ただ、これを「ストゼロは悪酔いする酒だ」と一般化はしません。そもそも「悪酔い」に医学的な定義があるのかを、この記事では確認できていません。書けるのは量の話です。同じ350ml缶でも5%缶なら14g、7%缶なら19.6g、ストゼロなら25.2g。同じ「1本」で入る量が1.3〜1.8倍違う。私の体感の差も、単に量の差かもしれません。
その「量」で、私は一度だけ本当に痛い目に遭っています。急性アルコール中毒で、病院に運ばれました。原因はストロングゼロではありません。いろいろな酒をちゃんぽんした夜で、体調も少し悪かった。倒れる瞬間の記憶はなく、気づいたら病院のベッドの上でした。
私は酒に強いほうで、それまで記憶を失ったことも、酔い潰れたこともありませんでした。自分は大丈夫な側だと思っていたわけです。あの夜に分かったのは、限界は少しずつ近づいてくるのではなく、条件が重なると一気に来るということ。ガイドラインが「避けるべき」と名指しする一時多量飲酒60g以上——ストゼロなら500ml缶2本の72gで超える線——を、私が他人事と思えないのは、この体験があるからです。
次に「脳が溶ける」。そういう現象を指す医学用語はありません。ガイドライン全文で脳への言及は若年者に関するものだけでした(「10歳代はもちろん20歳代の若年者についても、脳の発達の途中であり、多量飲酒によって脳の機能が落ちるとのデータがある」、および20歳未満の飲酒は「脳の発育に悪影響を及ぼし」依存症の危険性も上がるという記載)。成人の脳萎縮についての記載は確認できませんでした。
「飲み続けた結果どうなるか」も同じで、「何年でこうなる」という時間軸を示した公的資料は、私が見た範囲にはありません。書けるのは、垣渕氏の言う依存の進み方——習慣的に飲む段階から、飲まずにいられない段階、連続して飲む段階へ——という整理と、ガイドラインの「毎日飲酒を続けた場合、アルコール依存症の発症につながる可能性があります」という一文までです(晩酌がやめられないとき)。

それでも飲むなら|週の本数を先に決めて、缶のサイズをレバーにする

「じゃあやめろってことか」と思われたなら、それは私の意図ではありません。
缶は開けたら量が確定します。裏を返すと、量を決められるタイミングは「どのサイズを買うか」と「週に何本買うか」の2つしかないということ。ガイドライン自身も、飲酒への配慮の例として「あらかじめ量を決めて飲酒をする」を挙げています。
表1の150g/週(男性の出血性脳卒中・大腸がん・前立腺がんの行)を超えない本数を逆算すると、350ml缶で週5本、500ml缶で週4本。さっきの表の「超えない」の行が、そのまま答えです。
ただし、この数字の性格をはっきりさせておきます。これは国が定めた本数ではありません。表1の1つの行を、私が割り算しただけの数字です。表1には缶のサイズにも本数にも関係なく「0g<」とされている疾病があり、ここまでなら安全、という意味ではありません。女性は閾値がもっと手前なので、この本数は当てはまりません。「休肝日」も同じで、週の総量を落とすための実務的なやり方です。
缶のまま飲まず、割って濃さを下げるという手もある
「缶は薄められない」と書いてきましたが、抜け道が一つ。グラスに移してしまうことです。
500ml缶を同量の炭酸水で割れば、度数は9%から約4.5%へ。氷を入れればもう少し下がる。ビール並みの濃さです。
ただし絶対に取り違えないでください。薄めても、アルコールの総量は36gのまま変わりません。減るのは1口あたりの濃さと、飲むペースだけ。それでも意味はあります。ガイドラインの配慮の例にも「水などを混ぜてアルコール度数を低くして飲酒をする」「飲酒の合間に水(又は炭酸水)を飲む」が入っています。
私の場合、水を並走させた日は3杯目までのペースが目に見えて落ちます。だから2Lのミネラルウォーターは箱で常備しています。強炭酸水も箱で常備しています。割り材とチェイサーの両方に使うので、水よりむしろ減りが早いくらい。炭酸水メーカーで作ることもありますが、飲みながら継ぎ足す日は箱で買っておくほうが結局ラクです。
ストロング系から降りるなら|量を自分で決められる選択肢
ストロング系から少し離れたい方向けに、選択肢を3つ。基準は1つだけ。「量と濃さを自分で決められるか」です。単価の話をした後に安さで選ぶと話が一周するので、安さでは選びません。
念のため、どれも「無くても困らない」ものですし、ストゼロをやめるべきだとも思っていません。同じサントリーの「-196無糖〈クリア〉」7%を挙げないのは、度数を下げる話で7%を勧めると基準がぶれるからです。
度数を1段下げる(ほろよい 3%)
350ml缶で純アルコール8.4g。ストゼロの350ml缶(25.2g)の3分の1です。
面白いのは、1gあたりの単価で見るとこの手の低アルコール缶は最も高い部類になること。缶の値段が横並びなら、度数が低いほど1gあたりは高くつくからです。ふつうはコスパが悪い話ですが、この記事の論理では逆。量が増えにくい設計です。甘さがしっかりあるので、酒というよりジュース感覚で1本で終われるタイプです。
甘味料が気になるなら(本搾り)
私自身、晩酌の定番にしている一本です。果汁とウオッカ(と炭酸)だけで作られていて、香料・酸味料・甘味料が入っていません。レモンは度数6%で、350ml缶なら純アルコール16.8g。ストゼロの350ml缶の3分の2です。
ただし「無添加だから健康」ではありません。体に入るアルコールの量は度数と飲んだ量で決まるので、そこは甘味料と関係がない。評価そのものは本搾りは体に悪いのかに書きました。
濃さを自分で決める(レモンサワーの素)
この記事の背骨に一番合うのがこれ。「今日はちょっと薄めにしよう」という判断を、自分でできます。缶にはできないことです。
先に自分から書いておくと、1gあたりの単価で見れば、1,800mlの紙パックはストゼロよりさらに安い。それでも挙げているのは、安いからではなく濃さと量を自分で決められるからです。
これはうちに常備していて、私も飲みますが、妻のほうがよく飲みます。作ってあげることも多い。酒が強くない人でも、自分が飲める濃さまで下げられるのが大きいところです。グラスに氷とレモンを入れれば見た目もそれらしくなるので、家で飲む分にはこれで十分。
一度、計量カップで測ってみるのがおすすめです。私も焼酎でやって、思っていたより多く注いでいました。目分量は濃いほうにずれます。
(表の「こだわり酒場のレモンサワー」は缶の完成品、こちらは割って飲む「素」。別商品なのでご注意を)
「販売中止」の噂と、公式サイトで実際に起きている変化
「ストロングゼロが販売中止になる」という話が定期的に流れます。事実を3つだけ。
1つ目。この記事は以前「サントリーは度数8%以上の新商品を今後発売しない方針」と書いていました。誤りです。表明したのはアサヒビールとサッポロビール。サントリーは「他社の動きなどを受けて新たな対応・検討をしていることはない」と回答しています(2024年2月14日・Business Insider Japan取材時点)。
ただし、この話には9か月後の続きがあります。2024年11月6日、サントリーホールディングスの鳥井信宏社長が「今年後半に予定したアルコール度数9%のストロング系の新商品の発売を中止した」と述べました。ただし同じ場で「販売は続ける方針」とも語っています(産経新聞 2024年11月6日)。つまり「サントリーは何もしていない」でも「サントリーも中止した」でもない。止めたのは予定していた新商品で、既存品は続ける——というのが正確なところです。
2つ目。公式の定番一覧は6種から5種になり、〈ビターレモン〉が載っていません。終売のリリースは無いので、書けるのは「定番一覧に無い」までです。
3つ目。ブランドトップの商品一覧にストロングゼロは無く、無糖ページの下層にあります。商品ページの表示は残したまま、販促の導線から外れている——サイト構造の観察であって、声明ではありません。
なお2026年10月1日の酒税改正で、RTD(発泡性)は1kLあたり2万円の増税。500ml缶なら酒税分だけで10円上がります(店頭価格の上げ幅とは一致しません)。
よくある質問(FAQ)
本文で拾いきれなかった聞かれ方に、短く答えます。
Q. ストロングゼロのアルコール量は何グラム?
500ml缶で36g、350ml缶で25.2gです。サントリーが公式ページに算出式ごと明記しています。ビール500ml(5%)が20gなので、その1.8倍です。
Q. 「スト缶」って何のこと?
ストロング系缶チューハイの略称です。一般に度数7〜9%の缶チューハイを指し、ストロングゼロ(ストゼロ)はその代表格。銘柄名ではなくカテゴリーの呼び名です。
Q. ストゼロは何本までなら飲んでいい?
国が本数の上限を決めているわけではありません。表1の150g/週(男性3疾病)から私が割り算すると350ml缶で週5本、500ml缶で週4本。ただし表1には「0g<」の疾病もあるので、安全という意味ではありません。
Q. 「脳が溶ける」って本当?
そういう現象を指す医学用語はありません。厚労省ガイドラインの脳の記述は10〜20歳代の若年者に関するもので、成人の脳萎縮についての記載は確認できませんでした。
まとめ
3つだけ持ち帰ってください。
1つ目。500ml缶=36g、350ml缶=25.2g。缶は薄められないので、開けた時点でこの量が決まります。
2つ目。厚労省は適量を決めていません。あるのは算出式と、1回60gという線と、表1の週あたりの量だけ。毎日1本なら350ml缶でも週176.4gです。
3つ目。やばさの正体は成分ではなく、缶という形の中で最も安く酔えてしまうことです。ただし、安いこと自体が体に悪いわけではありません。
だから提案は1つ。今週は何本にするかを、飲む前に決めておく。缶に対してこちらが握れるレバーは、結局そこしかありません。
※この記事の内容には個人の感想が含まれます。健康に関する具体的な判断は、かかりつけ医にご相談ください。20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。


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