居酒屋に入ったら、1杯目は絶対ビール。私はここだけは昔から譲っていません。
そのくらい好きな側の人間ですが、だからこそ「ビールが苦手なんだけど、飲みやすいのはどれ?」という問いには真剣に答えたい。検索して出てくるのは、メーカーや通販サイトの記事ばかりなんですよね。
なのでこの記事では、メーカーでも通販サイトでもない、ただ飲んできた側の人間として先に言い切ります。最初の1本は、アサヒのマルエフです。
ちなみに「女性向けの飲みやすいビール」という括りをよく見かけますが、飲みやすさを決めるのは性別ではなく苦味・炭酸・度数。この記事は、そのまま全員向けです。
- ビールが苦手な人の最初の1本と、方向別の定番3銘柄
- 「もっと飲みやすいもの」を選ぶ前に知っておく2つの引き換え
- 苦味・度数・炭酸で決まる「飲みやすさ」の仕組み
- 2026年10月の酒税一本化で、選び方の前提がどう変わるか


飲みやすいビールの答え|まずは大手の定番3本から
最初の1本を選ぶなら、アサヒ生ビール、通称マルエフ。苦味やアルコール感より、まろやかさが前に出るタイプです。
喉ごしのキレで飲みたいならスーパードライ。香りやコクで選ぶなら、ザ・プレミアム・モルツ(プレモル)。
この3本に順位はつけません。まろやかとキレと香りは別の方向であって、優劣ではないからです。ランキングを探してきた人には申し訳ないけれど、「どの方向が好みか」で選ぶほうが失敗しません。
下の表は、メーカー公式が掲げる味の言葉と、私の実感を分けて並べたものです。※「私の実感」列は個人の感想です
※プレモルの公式表記・度数は、サントリー公式サイトの表示を確認できていないため空欄にしています。確認できていない数字は書きません。
| 銘柄 | 公式の味の言葉 | 私の実感・向いている人 | 度数 |
|---|---|---|---|
| アサヒ生ビール(マルエフ) | 「やわらかな口あたり、まろやかな味わい、ほどよい苦味」 | 口当たりが柔らかい。苦手な人の最初の1本 | 5% |
| アサヒスーパードライ | 「辛口」「キレ」路線 | 後味が切れる。喉ごし・爽快派 | 5% |
| ザ・プレミアム・モルツ | —(確認中) | 香りが華やか。香り・コク派 | — |
| サッポロ生ビール黒ラベル | 「麦のうまみと、爽やかな後味の完璧なバランス」 | 苦味がしっかり。慣れてから | 5% |
最初の1本はアサヒ生ビール(マルエフ)|まろやか路線の定番
「ビールは苦くて無理」という人に1本だけ渡すなら、私はマルエフを選びます。
正式名称はアサヒ生ビール。マルエフというのは長年の愛称で、公式の商品ページでも、長年続く製法「まろやか仕立て」で造られ、「やわらかな口あたり、まろやかな味わい、ほどよい苦味が特長」とうたわれています。飲むと分かるんですが、口当たりに角がない。スーパードライのシャープさとは逆方向の、ふわっとした柔らかさがある。
私自身、外で飲むビールは昔はスーパードライかプレモルでした。それがマルエフが出てからは、すっかりこちらばかりです。本当にうまい。
苦味がゼロというわけではありません。ただ、「苦味が刺さって痛い」という感覚にはなりにくい味なのはたしかで、最初の1本として勧める理由はそこにあります。
居酒屋で「アサヒ生ビール」の札を見かけたら、それがマルエフです。外で1杯試してから箱で買う、という順番も堅実だと思います。
気になったら、まず今の価格だけでもチェックしてみてください。
キレ・喉ごし派ならスーパードライ
苦味の重さより、飲んだあとのキレ。スーパードライはそっち側の代表です。
公式が掲げるのも「辛口」「キレ」の路線。アルコール分5%、カロリーは100mlあたり42kcal(アサヒ公式の成分一覧より)。数字はごく標準的なビールなんですが、後味がスパッと切れるので、苦味が口に残り続けない。ここが「飲みやすい」と言われる理由だと思っています。
私も昔から飲んできた定番のひとつ。ゴクゴクいきたい人、1杯目の爽快感が欲しい人はこちらです。
こちらもコンビニで1本から試せます。冷蔵庫に常備したくなったら、箱の価格を見てみてください。
香り・コク派ならザ・プレミアム・モルツ
「苦い」より「ビール臭い」のが無理——そういう人もいますよね。麦というか発酵というか、あの独特の匂い。
その場合は、苦味ではなく香りで選ぶという手があります。筆頭がプレモルです。
私の実感で言うと、プレモルは香りが華やかで、鼻から抜ける印象がいわゆる「ビール臭さ」とはだいぶ違う。値段は少し贅沢な位置づけですが、そのぶん「普段のビールの匂いがダメだった」という人が案外いけたりします。
定番3本の中では、ゆっくり味わう夜の1本。「キレより香りかも」と思ったら、まずコンビニで1本試してみてください。気に入って常備するなら、箱の価格も見ておいて損はありません。
黒ラベルは?|苦味がしっかりあるので慣れてから
では、同じ大手の定番でも黒ラベルはどうか。
サッポロ公式の言葉は「麦のうまみと、爽やかな後味の完璧なバランス」(公式商品ページより)。苦いとはひと言も書いていません。苦味がしっかりしていると感じているのは、私の舌のほうです。だから、苦手な人の最初の1本には挙げませんでした。ビールに慣れていない人には、少し飲みづらいかもしれない。
ただ、これは欠点の話ではありません。あの飲みごたえこそ黒ラベルの持ち味で、ビールに慣れた頃に飲むと印象が変わるタイプだと思う。慣れた先の楽しみに取っておく1本です。その日が来たら、ぜひ。

「もっと飲みやすいもの」の前に|知っておく2つの引き換え

「定番3本より、もっと飲みやすいものは?」——そう思った人もいるはずです。第三のビール系とクラフトですね。
買うなという話ではまったくありません。買ってから「思ってたのと違う」とがっかりしないための情報です。飲みやすさの先には、2つの引き換えがあります。
第三のビール系|飲みやすいぶん「ビールっけ」が足りなく感じる
いわゆる第三のビール系(今の区分では発泡酒に統合されています)は、たしかに飲みやすいものが多い。ここは私も同じ意見です。
そして誤解のないように書いておきたいんですが、最近の第三のビール・発泡酒のクオリティは本当に高い。企業努力の塊だと思います。昔の「安かろう」のイメージのまま語ったら、完全に時代遅れです。
そのうえで、正直な実感をひとつ。
飲みやすい。でも言い換えれば、ちょっと「ビールっけ」が足りなく感じるんですよ。麦の厚みというか、飲みごたえの芯というか。品質が上がったからこそ、最後の一枚だけ違うのが分かる。悪くなったのではなく、そもそも設計が違うんだと思っています。
そう書いておいて何ですが、実は家で飲むのはキリンの淡麗グリーンラベルばかりです。お腹が気になるので。ビールっけが足りなく感じるのは分かっていて、それでも家ではこちらを選んでいる。矛盾しているようですが、引き換えを分かったうえで選ぶなら、飲みやすさは立派な理由になる——そういう話です。
もうひとつ、お金の話。
2026年10月から、ビール系飲料の酒税は350ml換算で54.25円に一本化されます(財務省「酒税に関する資料」より)。ビールと第三のビール系の間にあった、税金の差による後押しが無くなるということです。店頭の値札がどうなるかはメーカーと店次第なので断言しませんが、「安いから第三のビール」という選び方の前提は変わります。
味が好きで選んでいる人は、これからも何も変わりません。安さで選んでいた人には、ビールに戻る選択肢が出てくる。売り場に並ぶ顔ぶれを見ていても、第三のビール系の勢いは年々落ちてきていると感じます。私は、価格差が無くなればビール一択になるんじゃないか、とすら思っているんですよ。
酒税の一本化と発泡酒の区分について詳しくは、別の記事で書いています。
クラフトビール|ビール臭さが少ないぶん好みが分かれる
クラフトビールは、フルーティーだったり色んな味わいがあったりで、いわゆる「ビール臭さ」は少ないものが多いと感じています。大手のラガーの匂いが苦手だった人にとって、入口になりうる世界です。
ただ、そのぶん好みが分かれる。これが2つ目の引き換えです。
個性で選ぶ世界なので、1本目が口に合わなくても「クラフト全部が無理」とは限らないし、1本ハマったからといって隣の銘柄も好きとは限らない。振れ幅を楽しめる人には天国、外したくない人には少し博打です。
手がかりを挙げるなら、ラベルや商品説明に「フルーティー」「柑橘」とある方向から入ると、いわゆるビール臭さからは遠いところを引きやすいはず。ただ、そこから先は好み次第です。
個別の銘柄について語れるほど私は飲み込めていないので、ここで具体名は挙げません。エールやクラフトの選び方は、別記事で深掘りしています。
そもそも「飲みやすい」は何で決まる?|苦味・度数・炭酸

マルエフと黒ラベルは、度数だけ見ればどちらも5%。それでも私の舌には、飲みやすさがまるで違って感じられます。なぜか。
「飲みやすい」の中身を分解すると、だいたい苦味・度数・炭酸の3つに行き着きます。苦くないビールを探すときの手がかりにもなるはずです。
苦味はホップで決まる|IBUという指標もある
ビールの苦味の正体はホップです。
ホップに含まれるα酸という成分が、仕込みの煮沸工程で熱により変化(イソ化)してイソα酸になる。これがあの苦味の正体です(酒類総合研究所の資料より)。つまり苦味は原料と製法で設計されているもので、銘柄ごとの「苦さの違い」は偶然ではないわけです。
この苦味を数値化した指標もあります。IBU(国際苦味単位)といって、数字が大きいほど苦い。
クラフト大手のヤッホーブルーイングのコラムには、日本で一般的なラガービールのIBUは大体20くらい、という目安が書かれています。ただし、アサヒやサッポロの商品ページを確認した範囲では、大手はIBUを公表していません。だから「IBUの低い銘柄を探して買う」という使い方ができるのは、数値を公表しているクラフト中心の話になります。
なお、「何IBU以下なら飲みやすい」という線引きの資料は見つかりませんでした。数字は参考程度にして、持ち帰ってほしいのは苦味は狙って作られているということ。缶に書いてある「辛口」「まろやか」といった看板は、その設計の自己紹介なんです。
度数と炭酸|軽いほど飲みやすいが「らしさ」も薄れる
もう2つの物差しが、アルコール度数と炭酸です。
度数は低いほうが、アルコールの「カッ」とくる感じが薄れて飲みやすい方向。大手の定番はマルエフもスーパードライも黒ラベルも5%で、だいたいこの近辺に集まっています。一方、クラフトには度数が高めの銘柄も普通にあるので、買う前に缶の度数表示を見る癖はつけておいて損がありません。
炭酸は、強いほど喉への刺激が増します。あの刺激が爽快でたまらない人もいれば、刺激そのものがつらい人もいる。「苦味は平気だけど炭酸がきつい」というタイプの人も、実はいるはずです。
ただ、ここでも例の引き換えが顔を出します。
度数を下げて、苦味を抑えて、炭酸を穏やかにして……と軽くしていくほど飲みやすくはなる。でも同時に、ビールらしさからも一歩ずつ遠ざかっていく。第三のビール系で感じた「ビールっけの物足りなさ」と同じ構図です。
だから私は、いきなり一番軽いものを探すより、まろやか系の普通のビールから入るほうが近道だと思っています。飲みやすさとビールらしさの、ちょうどいい交差点がマルエフあたりなので。
度数が低くてもお酒はお酒です。体質的に合わない人は無理をせず、飲むなら適量を守ってください。

初心者がビールに慣れていく順番|缶のままで構わない
慣れていく順番には、ゆるい道順のようなものがあります。修行メニューではありません。
まずまろやか系の定番(マルエフ)でビールの輪郭に慣れる。いけそうならキレ系(スーパードライ)か香り系(プレモル)で、自分の好みの方向を確かめる。興味が湧いてきたら、黒ラベルの苦味やクラフトの個性に手を伸ばす。
逆に言えば、途中で止まってもまったく問題ありません。マルエフだけ飲み続ける晩酌も豊かです。「飲み続ければ必ず好きになる」という保証はどこにもないので、そこは約束しません。合わなければ、ビール以外にもお酒はいくらでもありますから。
普段は缶のままでいい|良いビールのときだけグラス
私も普段は缶のまま飲むことが多いです。グラスに移すのは、ちょっと良いビールのときと、人と飲むとき。グラスのほうが美味しいと感じるのはたしかなんですが、毎回やるかというと、やらない。
だから「缶のまま飲むのは邪道」という話は気にしなくていいです。アサヒの生ジョッキ缶のように、メーカー自身が缶のまま飲む前提の商品を出している時代ですし、私も飲んだことがありますが、缶のままでも泡は作れます。
グラスは「今日はうまく飲みたい」という日の楽しみに取っておけば十分。注ぎ方や温度の細かい話は、また別の記事で書く予定です。
よくある質問(FAQ)
Q. コンビニで買える飲みやすいビールはどれですか?
この記事の定番3本(マルエフ・スーパードライ・プレモル)は、コンビニやスーパーで普通に買えます。特別な店を探す必要はありません。迷ったら冷蔵ケースのマルエフを1本、が私の答えです。
Q. オリオンビールやキリンの晴れ風は飲みやすいですか?
正直に書くと、私は飲んだことがないので、ここでは評価しません。ひとつ事実だけ添えると、晴れ風は大手自身が「飲みごたえ」と「飲みやすさ」の両立を掲げて出した銘柄です。味の判断は、実際に飲んでから書きます。
Q. ビールにこだわらず、もっと飲みやすいお酒を探したほうがいいですか?
それも全然ありです。無理にビールで頑張る必要はありません。ビール以外も含めた「飲みやすいお酒」の選び方は別の記事でまとめているので、そちらが参考になるはずです。そもそもアルコール自体が体質に合わない人は、飲まない・ノンアルにするという選択が一番です。
Q. そもそもビールの味自体がどうしても苦手です
無理に好きにならなくていい、というのが私の答えです。苦手なまま付き合いの1杯を乗り切りたいということなら、この記事の3本の中ではマルエフがいちばん負担が軽いはず。「なぜビールをまずく感じるのか」という話は、近いうちに別の記事で詳しく書きます。
まとめ|迷ったらマルエフから。引き換えを知っていれば外さない
まろやか派はマルエフ、キレ派はスーパードライ、香り派はプレモル。迷ったらマルエフから。これがこの記事の答えです。
そして「もっと飲みやすく」の先には、引き換えが2つ。第三のビール系は飲みやすいぶんビールっけが薄まり、クラフトはビール臭さが少ないぶん好みが分かれる。これを知っていれば、がっかりする買い物はだいぶ減ります。
2026年10月には酒税が一本化されて、「安いから第三のビール」という前提も変わります。どうせ税金の差が縮むなら、この機会にビールに戻ってみるのも悪くない。
ビールは好きだけどお腹やカロリーが気になる——という人向けの話は、また別の記事でまとめています。
晩酌の1本目に迷わなくなるだけで、夜はけっこう豊かになります。まずはマルエフ、冷やしておいてください。


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